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ロストキルレシオ  作者: 湿った座布団
たとえ灰になっても
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五十二話・撤退戦(2)

 

 詠唱を終え、俺は炎の剣の魔術を発動する。


「『炎剣フレイムアーツ』」


 発火する剣を突きの形で構えながら、俺はディティスに向かって走り出す。

 一撃を入れるなら体勢を崩している今しかない。

 脇目もふらず真っ直ぐに走る。


 しかし、俺が逃げずに戦うとは夢にも思っていなかったのだろう。

 駆け寄って来た俺に対しての、ディティスの反応が確かに遅れた。


「……舐めるな」


 睨みつけながら、俺は凍りついた顔面に渾身こんしんの突きを叩きつける。

 その一撃は防がれることはなかった。

 これも敵の油断だ。

 きっと取るに足らない存在、戦えない獲物だと思われていたのだ。


 俺はずっと怯えて逃げていたのだから、そう認識されても仕方ないのかもしれない。

 でもやつらはリリアナを半殺しにした。

 もう俺は、とっくに退けないところまで追い込まれている。


 そして刃の命中と同時、刀身の炎が膨れ上がった。

 突きの軌道上に瞬間的にほとばしった熱が、刺突の威力を増幅する。

 だがそれでも鎧はびくともしなかった。

 手に返る感触はあまりに硬く、俺は思わず息を漏らす。


「……っ!」


 突きで鎧を貫くことはできなかった。

 伸ばした剣は氷に受け流されて上に逸れる。

 それでもディティスは衝撃に呻き、勢いよく背中から地に叩きつけられる。


 炎の剣でも鎧は壊れないが、体勢を崩すくらいならわけはなかった。

 首尾しゅびよく転がしたところで、俺は手早く濡れそぼった外套がいとうを脱ぐ。

 そしてその広い布をディティスの頭にかぶせてしまう。


「凍る……よな」


 半ば確信を持って呟いた。

 そして頭にかぶせたあと、暴れだす敵から一度離れる。

 すると予想通り、ディティスの顔面に俺の外套が張り付いているのが分かった。

 寝たままとはいえ暴れているにも関わらず、敵の顔から布が離れることはなかった。


「……よし」 


 俺の外套はよく雨を含んでいて、敵が纏っているのは超低温の氷の鎧だ。

 だから布と鎧が接触すると、鎧の冷気は外套の水分をも凍りつかせてしまう。

 このせいで布が含んでいた水が氷の鎧の一部になってしまった。

 そうなるともう簡単には引き剥がせない。


 原理としては、冬に氷に触れると手が張り付くのと同じだろうか。

 あれも指に触れた氷が溶けて、その溶けた水分が再び凍ることで指と氷を()()のようにくっつけている。

 今回は外套が含む水分が、氷の鎧と布の間でのりの役割を果たした。

 直前に顔の氷が炎の剣で溶けていて、体積を戻そうと冷気を集めていたことも大きかっただろう。


 ともかく、結果としてディティスは頭を覆う布によって視界を奪われることになる。

 多少手をかけなければあれは取れない。

 接近は危険だったが、まずは一つ俺が賭けに勝った。


「やれる……」


 たかぶりを押し殺し、冷静になるために俺は呟く。

 正直中位魔獣の相手は荷が重いが、こうなれば光明こうみょうが見えた。

 運良く目を奪えた今なら、時間を稼ぐくらいならできるはずだ。


「――――――!!!」


 膝立ちで、ディティスが怒りの叫びを上げる。

 空気をビリビリと震わせるような強者の咆哮だった。


 だが臆せずに接近する。

 これから一度も、リリアナが助かるまで、俺はあいつを前進させない。

 そう決めて次の詠唱を開始する。


「力よ、矢となり飛び、敵を貫け」


 俺が唱えたのは炎の『矢』の魔術だ。

 もちろん、あの氷の鎧に俺の『矢』なんかが効くとは思っていない。

 本当に当てたいのは『構造劣化』……大鉈を壊すための魔術だった。 

 だからそのための布石として、まずはこの『矢』を使うのだ。


「『炎矢ファイアアロー』」


 俺はメダルを握った左手から小さな炎の矢を飛ばす。

 狙いはクランツくんたちの方にいた一体のオークだ。

 その敵の右腕を焼きえぐることで、俺はあえてこちらに敵を呼び込んだ。


 もちろん、これはクランツくんたちを助けようとしたわけではない。

 向こうも向こうで大変そうだが、俺は二人を信じている。

 だから余計な手出しをしたかったわけではない。

 でもディティスに近づくためには必要なことだった。


「来てみろ」


 唐突に射抜かれ、俺に標的を変えたオークへと呼びかける。

 見るからに殺意をみなぎらせているが、アレは今の『矢』ですでに右腕を潰されている。

 武器をまともに扱うことはできないだろう。


 だが俺のような子供なら、左腕で頭を殴られるだけで死んでしまう。

 なので十分な警戒を保ちつつ、俺は音を殺してディティスの背後へと回り込もうとする。

 こちらもめちゃくちゃに大鉈を振り回しているので、近寄るのも神経を使う。


「…………」


 すると足を止めたところで、ちょうどあのオークが突進してきた。

 さらにディティスの前に来たところで同士討ちが起こる。

 つまり錯乱さくらんのままに振り回されていた大鉈が、オークの厚い体に突き刺さったのだ。


 なにしろオークは頭に血が上っていたし、ディティスは視界を封じられてめちゃくちゃに刃を振っていた。

 だからこうなるのは見えていた。

 この瞬間を狙って詠唱を済ませていた俺は、肉にめり込んで停止した大鉈に飛びつく。


「『構造劣化チープ』」


 魔術が発動した。

 力が伝わった手応えはあった。

 そして大鉈が引き抜かれ、こちらへ向けて振り抜かれた。

 俺は両手で剣を握り渾身の斬撃で迎撃する。

 次の瞬間、劣化した大鉈は炎の剣を前にたやすくへし折られる……はずだった。


「あっ……」


 負けたのは俺の剣だった。

 振った剣ごと勢いよく吹き飛ばされ、無様に地面を転がった。

 視界が明滅めいめつして受け身すら取れずに地に叩きつけられる。

 内臓が潰れて息が詰まるような衝撃に体中の骨がきしんだ。


「…………っ」


 全身がまんべんなく痛む。

 視界がちかちかして目眩めまいと吐き気もする。

 特に右の手首は火がついて燃えているかのようだった。

 俺はなんとか足に力を込め、ふらつきながらも立ち上がる。

 それからやはり健在けんざいな大鉈を確認した時、ようやく状況を理解する。


「そうか、氷が……」


 可能性は二つだった。

 だがどちらにせよ、あの大鉈を覆う氷が刀身の欠損けっそんを防いでしまった。


 まず一つは氷の魔法が『構造劣化』の働きを妨害した可能性だ。

 魔術はあまりに強い他の魔力にぶつかると、ルーンの形を崩されて魔術としての機能を失ってしまう。


 これはいわゆる魔術への耐性と言われるもので、上位魔獣あたりになると身に纏う魔力だけであらゆる魔術を無効化してくる。

 そしてあの氷の大鉈にも俺の『構造劣化』より遥かに強大な魔力が宿っていて、劣化の機能を抑制したのかもしれない。


 あるいは正しく劣化が機能したものの、刀身を包む氷が刃を保護して容易には折れなかったという可能性もある。

 どちら正しいのかはわからないが、どちらにせよ何度やってもあれを折るのは難しい。


 それに、そもそも武器を握る手を負傷した俺に()はない。


「たった一撃で……こうなるのか」


 小さくつぶやく。

 一撃を受けただけでもう体がボロボロだった。

 完全に敵の力を見誤っていた。


 小手先の策を巡らせてはみたものの、結局のところ俺には強大な魔力を持った敵との交戦経験がない。

 さらに敵の肉体の強さを軽視して、結果として手痛い反撃を食らった。


 後悔しても遅いが、一つのミスで一気に計画が狂ってしまった。

 時間稼ぎすら危うくなり、俺はもう心が折れそうになっていた。

 歯の根が合わずに震え始める。


「だめだ、殺される……」


 そもそも最初に運良く視界を奪えていなければ、俺なんかとっくに死んでいる。

 俺には敵のふつうの斬撃すらほとんど目で追えない。

 語るのもバカバカしいほど力の差がある。


 ウォルターが例外なだけで、ほとんどの人間にとって中位魔獣は死神でしかない。


「…………」


 なんだかすごく心細くなって、一瞬だけリリアナの方に振り向いた。

 横たわった彼女のそばにはウォルターがいた。

 治療が続いているということはまだ生きているはずだ。

 彼の治癒魔術は本当にすごいので希望を持てる。


 しかし治療に専念しなければ治るものも治らない。

 無理だろうがなんだろうが今はここに踏みとどまるしかない。

 俺は思い切り歯を食いしばって震えを止める。


「…………よし」


 腹を決めると戦意が戻ってきた。

 たった一撃でぐちゃぐちゃにされた心が、なんとかまた戦えるようになった。

 深呼吸のあと剣のつかに手をかける。


 しかし。


いたっ」


 剣を握ろうとした右手に鋭い痛みが走った。

 さらに、いつの間にか剣の炎が消えていたことに気がついた。

 きっと意識が乱れてしまったせいだろう。

 しかし魔術ならまた改めて使えるので、今は握る手に力を込めることに集中する。


「うっ……」


 しかしそれは全くの無駄だった。

 握ろうとすればするほど痛んで手から力が抜けて、俺はついに刃を取り落としてしまう。

 もう剣を握ることはできない。


「どうしよう……」


 からっぽの右手をだらりと下げて、俺はなんとか冷静を取り戻そうとした。

 一応、足止めならまだなんとかなる可能性はある。

 相変わらず視界は封じたままだからだ。


 しかし怖いのは敵が魔法を使い始めることだった。

 流れ弾でも俺は死ぬ。

 いや、他のみんなもそうか。

 だから俺はなんとか攻撃を続けて意識を乱し、魔法を使わせないようにしなければならない。


「…………」


 不意に思いつき、呼吸を整えて俺は左手で鎖を握る。

 そして右手にはメダルを握った。

 鎖ならば、これを武器にするのであれば今の左手でもなんとか戦えるはずだと思った。


「『炎剣フレイムアーツ』」


 炎の鎖を手に間合いを詰める。

 そして分銅の部分を当てるよう意識して鞭のように振るう。

 中距離からの攻撃に徹しながらも絶対に足は止めない。

 絶えず動き回りながら魔法の狙いを絞らせないようにする。


 そうして盲目の敵を翻弄し続けた。

 打たれるたびに怒り狂う様子を見るに、炎をまとった鞭は敵の不快感を煽る程度の威力はあったらしい。



 だが当然、一筋縄でいく相手ではない。

 暴れ狂うのみではなく、ウォルターに見せた突進も不規則に攻めに組み込んでくる。

 盲目の精度とはいえ、かすれば即死の高速機動は鳥肌が立つような重圧を与えてきた。

 そして何度目かの突進を繰り出したあと、距離をとった俺の前でディティスが吠える。


「――――――ッ!!!!」


 あまりに濃密な殺意を受けて冷や汗が流れた。

 魔法が来る。

 俺は自分の失敗に気がついた。


 突進をかわしたあと無意味に間合いを離しすぎたのだ。

 ディティスとすれ違うように動いて、そこからさらに下がったせいで大幅に距離が開いてしまった。

 妨害は間に合わない。

 魔法を使われる。


「しまった……」


 次の瞬間、ディティスの周囲に十二の氷塊ひょうかいが現れる。

 ウォルターがことごとく撃墜したものより三倍は数が多い。

 多分、あれが本気の魔法なのだろう。


 ぞわりと背筋が凍る感覚に身震いをした。

 もう覚悟を決めるしかない。


「…………」


 俺は眼前で質量を増し続ける氷塊をじっと見つめた。

 そしてこともなげに叩き落としたウォルターの姿を思い出す。

 前回は無様な姿を晒したが、今回はそうはいかない。

 賭けているのは俺の命だけではない。

 あいつのようにはいかなくても自分で凌いでみせる。


 それに、俺にはここが正念場だとわかっていた。

 ここを切り抜ければ、魔法に専念し無防備になったディティスに触れることができる。

 だからさらに集中を深め、俺は氷の魔法をじっと見つめる。

 すると極限まで研ぎ澄まされた認識の中で、咆哮の声も吹き荒れる吹雪の風もなにもかもが音を失ったように感じた。


「…………」


 一つ一つの氷の軌道を予想する。


 敵は目が見えていない。

 だから攻撃は狙撃ではない。当てずっぽうの面制圧だ。

 そしてあの魔法は一斉に放たれるわけではなく、一発一発の射出の間にわずかだが遅延がある。

 なら必ず抜け道が生まれる。

 文字通りの活路を走り抜け、魔法に専念し無防備になった敵へと最後の細工をぶつけるのだ。


「………」


 走り出した。

 氷は無数にあるが、早く作られたものから放たれるのは分かっていた。

 最初に作られた氷ほど早く成長し、十分な体積を得て射出される。

 だから俺は頭の中で何度も順番を確認し、どう動くかを先に決めていた。


 まず初撃、右に身をかわすことで叩きつけられた魔法をかわす。

 次は飛び込み前転でかろうじて範囲を逃れ、三発目はギリギリ当たらないのでそのまま走る。

 最短距離で接近しなければならないので回避は常に紙一重だ。

 それに思っていたよりも速度も大きさもあって、発射の間隔もかなり短い。

 一瞬でもためらったりミスをすれば死んでしまう。

 吐きそうなほどの恐怖を無視して、俺は集中を維持しつつ死力を振り絞って突き進む。


「っ……!」


 苦しい息を漏らした。

 五発目までくぐり抜けたが、やはり想像以上に厳しい。

 これもかするだけで死ぬとは思っていたが、着弾の衝撃すら体にこたえる。

 すぐそばに着弾するたび、すでに打ち身を負ったあちこちの骨が悲鳴を上げた。

 だがそれでも怯まずに進み続けると、徐々に弾幕の脅威は薄れていく。


 何故なら敵は、俺が接近してきているなどとはかけらも思ってはいないからだ。

 九発目から先は、接近した俺の後ろへと飛んでいく。

 もう避ける必要すらない。

 あとは走るだけだ。


「最後か……」


 痛む体を引きずって、ディティスのもとへとたどり着いたのは最後の魔法が放たれる寸前だった。

 生き残れた奇跡に喜ぶよりも先に、俺はスライディングで敵の股をくぐり最速で背後に滑り込む。


 そして炎を消した鎖を長く持ち、その先端をディティスの足首に結びつけた。

 知っている一番頑丈な結び方で、痛む右手を無理やり動かして棒立ちの左足を縛ったのだ。


「硬化する形よ、あまねく実体に力を加え、結合を……」


 『土』に持ち替えていたメダルを触媒に、鎖を結びながら『構造強化』の詠唱を始める。

 切れる息でなんとか唱えつつ、俺はさらにオークの右腕へと鎖を巻きつける。

 さらに続けて首に回し……と目まぐるしく手を動かしながら、意識するのは最大限に体の動きを阻害する鎖の使い方だった。


 余裕を持たせる部分には持たせて鎖を壊れにくくし、張り詰める部分は徹底的にきつく縛って拘束を強める。

 氷の鎧の構造すら逆手に取って、肉体の機能を限界まで制限していく。

 人外の膂力りょりょくを持つのなら、その怪力を発揮させないように縛ってやればいい。

 そして拘束を済ませた時、ちょうど俺の詠唱も終わった。


「『構造強化アダマント』」


 仕上げに『構造強化』の保険付き、しかも今度はディティスの影響を受けない鎖自体へ魔術をかけた。

 簡単には破壊もできないだろう。


「……大人しくしろ、頼むから」


 低くつぶやいてディティスの背中を蹴り飛ばす。

 弾幕をくぐる際の異常な集中が尾を引いたのか、捕縛は八秒弱で終了した。

 縛法ばくほうの手ほどきはシーナ先生から受けているが、それでも人生で一番早く手が動いた。


「――――!」


 一瞬の内に拘束が完成されたことで、無防備に立っていたディティスは何が起こったかを理解できていない。

 蹴りで倒されたあと、ただ体の自由が利かないことを訝しむように唸り続けている。


 本当はこのままトドメを刺せればいいのだが、氷の鎧を破壊できるかは賭けになるし、試した時点で間違いなく魔力がなくなってしまう。

 だから安全な離脱を第一にするのなら、こいつはこのまま捨て置くのが一番いい。


「……死ぬかと思った」


 ひと息つきつつも、他の二人はどうなったかと考える。

 戦いに加わるために彼らがいる方へと目を向けた。


 すると戦闘は続いていて、二人とも健在のようだった。

 どうやらクランツくんのお得意の手が有効に機能しているらしい。


 それは『障壁』で生み出した空気の壁でシールドバッシュを繰り出すという戦術だ。

 広い壁を押しつければ空中の敵にも対抗できるし、相手の魔法を潰すこともできる。

 回避すら難しいので、オークたちを押し返すにも便利だろう。


 だから攻めの防壁は足止めには最適な戦術なのだが、壁の維持が難しくなるし魔力の消費も多くなる。

 長くは続けられないだろうが、余力を残す俺も加わればみんなで逃げられるはずだ。

 わずかに状況に光が見えてきてた。


「今手伝う……」


 そして戦列に加わるために声をかけようとしたが、ちょうど背後から聞こえたニーナの声がさえぎった。


「処置が終わりました! 逃げてください!! リリアナさんは助かりました!!」

「っ……」


 大声で呼びかける言葉の内容を聞いて、俺は思わず目を見開いた。

 リリアナが助かったのが嬉しくて、気が抜けてへたりこんでしまいそうだった。

 想像よりだいぶ早かったから、きっとニーナも壁を壊したあとで治療に加わってくれたのだ。

 ニーナとウォルターには本当に頭が上がらない。


「聞いたか! 逃げるぞ!!」


 クランツくんの声で我に返る。

 すでに二人は撤退し始めていた。

 当然ヒギリが魔法を使おうとするものの、その一瞬の隙をついて何かが飛来した。

 凄まじい勢いで胴体に突き刺さり撃墜する。

 地に堕ちた体に刺さっていたのは……どうやらひと振りの大剣だった。

 つまりウォルターの仕業だ。


 俺は後方へ逃げ帰りながら、小さくひとりごとを漏らす。


「……すごいな」


 さすがにあの投射速度ならニーナに強化をかけてもらったのかもしれない。

 でも呆れるしかなかった。


「…………」


 そして不意打ちとはいえヒギリを叩き落としたあいつは、すまし顔で撤退する俺たちを見ていた。


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