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グランドアース

「アポロニアの消息がわかったと」

ギルドの依頼を受けながら鉱山都市グランドアースに向かって依頼の履歴がありその中にはワイバーンの討伐もあり驚かされる。

「どうやら護衛をして一週間程前に到着をしておりそこからは動きがありませんが」

「あの山向こうは最果ての地だからな何かの目的があれば滞在しているな、向こうのギルド長スワメルには貸しもあるから調べてもらい良かったら接触をしてもらうとするか」

「母親に知らせてもよろしいですか、最近調子が悪いと」

「そうだな、息子は無事でワイバーンを討伐するほどの冒険者になったとな」

あの時場外へ一緒に叩き落とされたミーシャが頷くと部屋から出ていき私は水晶の部屋へと向かった。



ベルミル山の麓にあるグランドアース、そこは巨大な鉱山がありドワーフのベルグルが移り住んでおり会うために長い道のりを旅してようやく到着をした。

「すごい人だねソフィア、皆顔真っ黒」

炭坑から出てきたのかススで汚れた人々が仕事終わりなのか大量にあふれかえり、中央広場には巨大な噴水がありその下で黒いススを流すと酒場へと入っていった。

通りを抜けようやく工房に到着する。

金属を叩く音が響き渡り活気の満ちた声があちらこちらから聞こえドワーフが忙しそうに働いている。

「俺がベルグルだ、よく来たな」

愛想のない顔で他のドワーフよりふたまわりは大きく巨大なハンマーを担いでいる。

「成人の儀式の武器の製作を盟約により依頼したい」

マロウニが私にリュックから青光している鉱石を取り出すように言い渡すと、

「盟約か、いつの頃の話だまったく、しかしこれじゃあ足らんな」

思わぬ言葉にマロウニが顔を赤くして言おうとするとベルグルが私を指差し、

「しかしオーいやヒューマンか、こいつのもだろだから足りない」

そう言われてしまいこの町で調達できるかと言うと希少なので出回ってないと言われ、

「この西の山の奥にワイバーンが住んでいる。その場所からとれるから何とかしてこい」

そう言われマロウニは言葉を飲み込み頷いた。


「600才を越えてるらしい古小竜種、かなりずる賢いぞ」

リデリオが知っている限りの知識を教えてくれ作戦をたてる。

「最大で6mと言うのがその年から考えられる大きさで力は弱くなっているが生き残ってると言う事はある意味すごいからね」

「先ずは動きを封じるのに上からヒュージスパイダーの糸を投げて羽に絡めれば、前足は退化して短いし動きも元々遅いから噛みつきだけだから僕らでも何とかなるだろう」

そう言うと皆がそれぞれ準備を始めヒュージスパイダーの糸を矢の先に細工をして取り付けたり怪我や不足の事態の薬草などの薬、武器や装備を整備して翌日に出発した。



古い盟約だって、何代前かいや何十代かそれ以上か、昔からの事でエルフが成年に達したときにドワーフがそれぞれにあった武器をつくる事になっており、ドワーフが疫病と亜人達に襲われ命を落としていった時に病をなおし守ってくれたお返しと言うことだが何時まで縛られているのか、しかし匠として先代から継いだときに何があってもと言われているので守るが武器の材質であるブルーメタリックが何故か一緒にいるヒューマンの武器までとなると足りないと言うと何処に有るかと聞かれたので例のワイバーンの場所を教えた。

「良いんですかい、俺らでもヒューマンの冒険者でも討伐しようとしましたが失敗してますし」

弟子のレベルに言われあの大男の武器はスタッフだけであり無茶も良いところ、

「おまえ、これ持っていけ」

私の祖先がら代々使っている両手持ちのバトルアックスを投げると受け取り頭を下げて出ていく、

「良いんですかい、大切もののでしょに」

「黙って行かすのはドワーフの誇りにおいてもできんだろう」

「それにソフィアとか言う赤ん坊まで背負っていきましたぜ」

「本人達が良いって言うんだから良いんだ、手が止まってるぞ」

そう言いながらハンマーで白く熱せられた鉄の棒に叩きつけた。



「大きいね、私と同じくらいかなあ」

「これって魔神大戦で使用した戦斧じゃないかな柄に色々彫ってるけどそう書いてあるけど」

あのドワーフがアポロニアに投げて寄越した戦斧は巨大で、私達ではアポロニアしか重くて持てないほどなのだが何故貸してくれたのかがわからない、

「きっとソフィアが可愛かったかただよね」

ネーベが相変わらずなのに心配もあり、

「ネーベ、これから命懸けな相手と戦うんだからもっと緊張しろ、だいたいソフィアを預ければ心配しなくて言いはずなのに」

「マロウニ、ネーベだから逆に緊張しすぎているのを緊張をほぐすために言ってるんだよ」

リデリオが気をまわしネーベが頷くのを見て山道を登る。

「しかしこの辺りは廃坑の後がたくさんあるけど崩れないのかなグラス」

そう言った瞬間に横の廃坑が大きな音と共に崩れ落ち私がなにか言おうとするとネーベは、

「私じゃないし、たまたまなんだからね、多分」

ネーベの口に出した事はエルフの血から来る言霊でありそれが事実として起こることがあるのだが、本人は悪気は無いが悪い方向に発してしまい結果がマロウニを怒らせる。

「ネーベの言葉が廃坑を崩したなんてさすがにないよな、マロウニ」

ホルスが言うのもわかるが不用意な発言をするなと言い続けているのにネーベを見るとリリア後ろに隠れて私から逃れていた。



鉱山の深淵でありワイバーンがいるため開発が進まない場所であり、何回か冒険者が討伐を試みたが失敗しており近年は受けるものは居ないと、鉱山を管轄するギルドからは多額の報償金が準備されており年々加算されているがと言う話をギルドで出発前に聞いており依頼を受けるか聞かれたので悩むと、

「お願いです。失敗の違約金はとらないので、冒険者ギルドも向こうのギルドから未だに討伐できない嫌みを貰っているのでお願いです」

そう言われそれならと受けたが、

「この穴か、ここからは静かにシルフに頼んで音を遮断させて進む」

マロウニが皆を見回して静かに進む、

ごつごつとした岩穴を通り抜けるとシルフがおびえたようにリデリオの背中にまわり隠れてしまう。


「あれだ、思った以上に大きいなあのワイバーン」

マロウニが確認して色々伝え準備にはいる。

ホルスがワイバーンを見て少しだけ考えているので聞くと、

「あのワイバーンなにか違うような気がするんだけど」

悩んでいるとマロウニが始めると言って配置についた。



目の前のくすんだ赤色のワイバーンを見て何かが引っ掛かる。

アポロニアに聞かれたが確たる確信はないのだけれども、マロウニの指示通りスパイダーの糸で紡いだネットをシルフが合図と共に飛び上がりワイバーンの上から落として飛ばせないようにしてワイバーンが立ち上がった時に確信した。

「皆、あれはハーフだドラゴンとの、ネットなんかじゃ押さえられない、魔法とシルフで羽を切り裂かないと」

自分の迂闊さに情けなさを感じワイバーンにはない立派な前足がネットを切り裂いていった。



ドラゴンとのハーフで納得した。

「アポロニア、サラマンダーを召喚してくれリデリオはサラマンダーの炎をシルフと共に竜巻でワイバーンにぶつけてくれ」

撤退をと思ったがアポロニアはすでに逃げるには近すぎる場所におり攻撃を続行と決める。

「残ったのはワイバーンに目眩ましで動きを遅らせ竜巻消えると同時にブレードカッターを羽と足に叩きつけろ、飛び上がったら勝ち目はないぞ」

アポロニアがサラマンダーを召喚して炎のブレスを吐きリデリオがシルフに竜巻を作らせる。私達はドラゴンの目の前にウィルウプスを召喚しては取り消すとその瞬間大きく光を放ち消え去り目眩ましをした。



先程のホルスの言葉に恐怖が生まれるが体は勝手に走るとワイバーンは前足でネットを切り裂き叫ぶ、私は指示通り心のなかでサラマンダーを呼ぶとすぐに現れ指示通りにブレスを吐いてくれる。

それはすぐに炎の竜巻となりワイバーンを飲み込んだがワイバーンは竜巻を破ってこちらに顔を出してきたところを、

「アポロニア、眼」

ホルスの言葉に顔の前に腕を持ってきて現れては光を放ち消えていくのを足元が光るのを確認しながら戦斧を両手に持ち直し竜巻が消えると同時に両脇から魔法が放たれワイバーンを切り裂いていく、

「魔法抵抗力がワイバーンとは違う」

後ろでホルスが叫ぶのを聞きながら目の前のぶっとい足首に戦斧を叩きつける。

「硬い」

思わず口に出してしまうほど鱗は硬く少しだけ傷をつけただけで、再度振りかぶり叩きつけた瞬間握力のあるかぎり握りしめると鱗は割れて青い血しぶきが飛ぶ、

「アポロニア上」

そう言われてとっさに飛び退くと目の前にワイバーンの腕が通りすぎ地面を削った。

「まだまだ」

奮い立たせるように叫んでもう一度戦を叩きつけ傷口を広げるが何かおかしい、

「傷口は広げてるのに広がっていく感じがしない」

後ろに叫ぶと、

「ドラゴンの再生だ、サラマンダーに傷口を焼かせれば再生しない」

直ぐに心の中で伝えるとブレスで焼くが耐性でかんばしくない、仲間が次々と魔法やシルフとウィンディーネで攻撃と防御を行っているが飛び上がらせないだけで精一杯であちワイバーンではあり得ないブレスを吐き露出した肌が焼け、後ろでリリアが倒れネーベが叫ぶ、目の前のワイバーンをにらみつけながら立ち上がり叩きつけると横殴りに何かがきて飛ばされた。


「力が欲しいか、自分の不甲斐なさに仲間の命が消えようとしているのに」

手の中にある戦斧から声が聞こえ、視界にはリリアの命が消えかけているのが見える。

「欲しい、自分はどうなってもいい、あいつを倒せれば」

自分の攻撃で敵が倒れたと認識したのかワイバーンは憎らしいわたった顔をしたのを怒りが自分の中にわきだし立ち上がると走った。


一歩一歩が地面をえぐるように走り渾身の力をこめて叩きつけながら考える。

戦斧は鱗を破壊してさらに食い込ませた瞬間刃先から炎が上がり傷口を刃の高温で焼き再度振りかぶり叩きつけ焼く、ワイバーンは怒りの叫びをあげ先程と同じ横殴りの尻尾攻撃を仕掛けてきたのを体を一回転させながら尻尾に叩きつけた。

太さはネーベの背丈と同じくらいの尻尾が戦斧とぶつかった瞬間に跳ねとんで後ろに落ちる。

ワイバーンは自分の尻尾がどうなったか落ちた瞬間にわかったのかバランスを崩して前のめりに倒れてきたのを首の部分に叩きつけ首をはね飛ばした。



「リリア、リリア」

何度も名前を呼ぶが反応がなくブレスで焼けた肌はウィンディーネが守ってくれたのかひどくないはずだが意識が戻らず霊が抜けていこうとしておりマロウニを呼ぶ、

「どけ」

マロウニはリリアの様子を見てあわてて駆け寄り腰袋から小瓶を取り出して口に持っていくが閉じたままのリリア、マロウニは意を決した顔で口に液体を含みキスをした。

「マロウニ」

思わずと言うか顔が熱くなるのを感じながら慌てる。

唇が離れるとマロウニが、

「エリクサを流し込んだだけだ、何で各自に持たせたかわかってないのか」

そう言われて気がついたが後の祭り、何度も謝りリリアの霊が戻ったのだが眼が覚めずにいた。



なんてことをしたんだ、ネーベに言われ思わずきつく言い返したが時間がたてばたつほど動揺が収まらず感触がよみがえる。

自分にはリリアが自力でエリクサを飲むことができずにいたので仕方がなかったと言い訳をしているが徐々に顔が赤くなるのがわかった。

「アポロニア」

誰かの悲鳴ににた声に未だワイバーンとの戦闘中だと思いだし顔をあげると凄惨な状況がわかる。

青い血と赤い血がお互いを染めて戦っており何時ものアポロニアではなくあの始めてみたオーガであり、凄惨と言う状況以上に恐怖が私達を支配した。

あの太い尻尾の攻撃を受けてなおかつその尻尾を両断してしまった。

ワイバーンはバランスを崩して前足で体を支え落ちてきた頭にアポロニアが戦斧を叩きつけ深手をおわせさらに攻撃している。

私を含めエルフの仲間はそれを恐怖と共にただただ見つめ続け小さい声をあげたワイバーンは動かなくなった。



自分のか相手の物かわからないが目の前は染められ拭ってもかわらない、口の中にも血が溜まり喉が乾いてるせいもあり思わず飲み込んでしまう、大きく息をして後ろを振り向くと皆無事なようでほっとした。

「ネーベ、リリアは大丈夫かい」

息はしているようだがネーベに抱かれたリリアが心配になり声をかけると圧し殺した悲鳴が上がりその眼は恐怖に染まって顔をひきつらせており、自分を見ると青い血と少しの赤い血で体が染められてこれが怖がらせた要因かと思いながら、

「マロウニ、ホルスに街に知らせに行って人手を頼まないと」

そう言うとマロウニでさえ躊躇しながら頷き足の早いホルスを走らせるのを見届けると岩影で寝ているはずのソフィアを確認しにいくと目を覚ましており私を見てキョトンとしており手を伸ばそうとすると横から手が伸びて抱いた。


リデリオがソフィアを抱きしめて恐怖の眼差しをこちらに向けておりこの姿がそんなに怖がらせているのかと思いながら、グラスもリデリオをソフィアごと私から離れるように後ろに引いていくのをみてようやく姿だけではないと思いふりかえりワイバーンの元へと戻った。



「ワイバーンを倒したんですか」

片言の共通語で話してきたエルフの男性は頷くとギルド長を呼びに行き

「ギルド長、ワイバーンを討伐したそうで至急回収の人を寄越してくれと」

書類を前に良くないことでも書かれていたのか唸っていたギルド長は顔をあげるとあわてて出てきて、

「あの一番奥に住み着いていた邪魔物をか、本当に倒したんだな」

「依頼をしたパーティーのエルフが知らせに来たので」

そう言うと人を集めろ、冒険者も臨時で依頼をして送り込めと指示して自ら行ってしまった。

「これで毛が少しは戻ってくれば機嫌も良くなるんだろうにね」

同僚の失礼な言動を注意しつつもワイバーンの件も上や他のギルドから言われなくなれば同僚のいったように落ち着くのではと期待しながらフロアーにいる冒険者達に緊急の依頼で後を追わせた。



これで一番問題だった案件がクリアーになり気持ちも体も軽く鉱山への登り道を駆けあがる。

ペナルティー無しの依頼を受けたあの大きな体の冒険者が失敗をしたら赤字にもなるかもしれないが王都から上級それもTOP3の冒険者に指名依頼をかけなければと思っていた矢先で、胃痛も収まりお腹が鳴き始めたので保存食を腰袋から取り出し歩きながら食べる。

しかしこの街でも王都に負けないくらいの冒険者がおりそれが失敗をしてそれが続き誰も依頼を受けなくなったと、しかし気になったのはワイバーンのはずだがワイバーンに比べるべくもないほどに強い個体で失敗時の報告をして来たが確かめるすべもなく今回の討伐にいたり詳細に調べなければと思いながら私を追い抜いたエルフの後に続き洞窟へと入った。


穴を下るとワイバーンにしては大きい老体なのか静かに横たわっておりエルフが集まり仲間を介抱しており一人だけあの大男がワイバーンのそばにいる。

「討伐感謝する」

声をかけると全身返り血を浴びた冒険者が振り向き少し驚いたが生死に関わるギリギリの戦いをすればああいう顔をするのが当たり前でありワイバーンなら、

「これワイバーンに似てるがドラゴン並みの前足と鱗だな」

その横にワイバーンの前足があるがしなしなの枝のような腕ではなくぶっとい、

「友人のエルフがハーフではと」

「そう言うことか、顔つきはワイバーンだが他はドラゴン、討伐に失敗するのも頷ける」

この若者はランクはCのはずだがそれ以上の力を持っていると考え、後ろのエルフ達はブレスを食らった火傷以外の外傷は無さそうで一人で倒したのかと思い、

「前衛は私だけです」

それだけ言うと仲間を少しだけ見て泣きそうになりながらワイバーンの頭を見つめていた。


ギルドの職員や冒険者が到着して次々と到着をしてドラゴンとのハーフと聞いてあわてて処理を始める。

ワイバーンとドラゴンでも価値は天地でありハーフであっても価値は段違いで血でさえも秘薬として取引されており切り分けては箱に入れ次々と運びだし、落ちた鱗も確認しながら枚数を確認して封印していった。

「顔ぐらい洗え」

水袋を持ってこさせ両手に注ぐと顔を洗う、装備からブレスを真っ向からあびてボロボロなのだが顔は赤ん坊にようにつやつやでさわりたくなる。

「仲間は、居ないか帰るぞ若いの」

そう言うと素直に歩き始め私の後ろを黙ってついてきておりそのままギルドに戻った。


職員に言って近くの風呂がある旅館に連れていかせるように言い討伐を聞き付けた上や他のギルド長が待っており説明をしていくと直ぐに坑道の拡張をする話をしていると鍛冶の親方であるベルグルが顔を出し、

「あそこの巣穴からブルーメタリックが出たはずだ、あの若いのに武器を作る約束をしているのからーくれ、それと鱗と血そして皮もだ」

いきなり言われて本人に確認を取れないのに渡すのは絶対あり得ないがベルグルの言うこととあの若者のことを思いだし渡した。



「親方、あのエルフがワイバーンを討伐したと、ギルドでは大騒ぎになってます」

工房にうるさい足音で入ってきた弟子に怒鳴り付けると報告をして来る。

「本当か、やったかそうかそうか」

この若者なら何とか出来るんじゃ無いかと思い戦斧まで貸し出したのだが眼に狂いはなく持ってきたブルーメタリックの材質を確認して炉で熱し始める。

鱗と皮はチェインメイルの表面に並べるようにして加工しその辺のプレートメイルよりも強固で軽くしなやかに作る。

「わしの一斉一代の代物になるかな」

白色に温度が上がった物に特別な金槌を使い叩きつけた。


バスタードソードよりも大きく長くヘビーソードよりも一回り小さい、通常のミスリルだけよりは硬いがしなやかであり輪郭が出来上がり仕上げにはいる。

「親方、こんなんでいいですか」

他のエルフの武器は弟子に打たせており確認のために見せに来るのだが、

「いちいち持ってくるな、それなりの技量があるんだ自信を持て」

差別はするつもりはないが短期間に仕上げるには数人で打たなければならないのでこうなったまでで、

ここからが本領発揮であり他の弟子には出来ない技で仕上げていく、

「それブリリアントスターでは、そんなすごいのをって、どうやったら、密着している」

作業を見つめていた弟子達が驚くのも無理ない、秘伝中の秘伝を見せてしまったがこの中でそれが出来るようになるのはいないだろう、ただ置いただけの宝石が一体化したように動かず光を集めて優しく光っている。


「自分で考えろ、普段のしていることと同じ事だからな」

しばらくは弟子を悩ませ夜も眠れないだろうと昔の自分を思い出しながら装飾をほどこして研ぎ終わるとようやく深い青に引き込まれるような刀身に弟子達もため息をおぼえており今度はそれに合う鞘を製作しているとスケイルメールを弟子が持ってきた。



ギルドの職員に連れられある家に到着する。

中に通されると横の部屋につれていかれお風呂だと言うことで温かいお湯が満たされており体を洗わずに入るようにと言われて大きな桶に体を沈める。

お湯があふれ体にこびりついた青い血がお湯にとけだしてあおくなり素肌が見えるが、

「傷口がない、あれほど血が流れたのに」

自分の体を調べたが昔の古傷も無くなっており変な気分で風呂から上がった。

用意されたベットで意識が沈むように寝てしまいようやく目を覚ますと別室につれていかれ、

「問題なしだ、赤ん坊のような肌にしなやかな筋肉、本当に戦ったのかと言いたくなる」

医者らしいが私の健康診断をしながら感心し、

「ドラゴンの血は若返りと傷を用意に治すと言うが事実じゃな」

風呂場に見に行き呟きながら出てきてギルドが用意してくれた服を着てどうしようか途方にくれていると鍛冶屋の親方であるベルグルが呼んでいると連れていってくれた。



宿に皆で戻ると静寂が支配する。

あの光景を見てショックもあるが初めて受ける恐怖に声もかけられずにいた自分に何も言えずお互い眼も合わせずに時間が過ぎていく、

誰ともなく装備を外して火傷した肌を水を浸した布で拭いくすりを塗ると寝てしまった。

「どうしたら良いのだろう」

静かな部屋のベットの中で呟く、何時も気をまわしてくれるリデリオでさえ言えずにおり根の深さを感じながら気がつくと窓は白みはじめていて数日寝れなかった。


リリアは二日後に目を覚まして皆が無事だと伝えるとホッとした様子で姿が見えないアポロニアを呼ぶ、

「今、ギルドに呼ばれてるからゆっくり休んでおきなよ」

リデリオに言われて頷くと再度寝てしまい何時話せば良いか互いに目線を交差させながら過ごした。



「先ずはこれが武器じゃ、ブルーメタリックの重量は重めにつくっておりお前さんなら楽に振り回せるじゃろう」

私は礼を何度も言いながらベルグルに戦斧を返し代わりに鞘に収まった長身幅広のミドル程のソードを渡してくれる。

抜くと深い青に引き込まれそうになりながらずっしりと重いがふりやすくバランスも良い、

「色々施しているが気にせずに使え、お前を助けてくれる」

ベルグルに言われ礼を言うと赤いあの鱗を重ねている鎧で軽いがかなりの防御力があり、首まで防御されておりヘルムをかぶればフルアーマーになる。

身に付けると内側のワイバーンの皮が密着しており多少の火なら無傷と言われ体を動かすと自分の肌のように馴染む、

「いらん」

代金をと言うとベルグルは鼻息荒く言い放ちこれをつくれたことに誇りをもって満足していると言ってくれた。


嬉しさからギルドに連れていかれ現実を思い出させる。

このまま仲間の元に戻れるとは会いに来ないのを見ても考えられるしではどうしようかと考えていると、

「考えても仕方がないじゃないか、新たに仲間をつのり冒険を続ければ」

「そうですが先立つものが」

ソフィアと会えない寂しさもあるが彼らの元に有り金も含めてあり今日の食事と宿代もと思っていると、

「カードを出しな」

ギルド長が言うので身に付けているのを渡すと水晶に差し込み何かを操作して渡してくる。

「ランクがBになってますが、課題をクリアーしないとでは」

「ワイバーンの討伐で十分だ、それとこれだ」

カウンターに硬貨が入ってふくらんでいる皮袋をおき、

「あの素材を売って人数分で分けた一部だ、戻る気はないのだろう」

察してくれたギルド長に感謝をしてエルフ達が故郷に無事に帰れるように頼むと任せろと言ってくれ握手をする。

「いくならこのまま川沿いに船で下れば新しい土地にでる」

ギルドからでると簡単な旅の準備を行い船着き場へ向かった。



「リリア目を覚ましたのね」

ネーベが心配そうに上からのぞきこみ反対側にはマロウニが心配そうに見ており私は微笑みながら助けてもらって体を起こす。

「まだ寝てた方が」

心配してくれるネーベに感謝をして久しぶりに起き上がり水を飲み栄養の凝縮されているノルマの実を苦いのを我慢しながら食べていると二人の訪問者がやって来た。

「これがそれぞれの武器だ」

1人目の訪問者はベルグルで約束の武器を持ってきてくれたようでそれぞれが持つと昔から馴染んで細身で軽いレイピアでようやく成人として迎えることが出来て嬉しい、

もう1人はこの街のギルド長でスワメルと言うヒューマンで今回のワイバーンを倒した報償金を持ってきたことと希望をするならエルフの森の近くまで送り届けようと言われ同意した。

私以外は未だ早口言葉の共通語はなかなか聞き取りにくいので私中心に話を進めていくのだけれどもアポロニアがいないのでネーベにひそひそ聞いてみるが後で話すと言う、何かあったのではと思い共通語を考えギルド長に聞くと、

「アポロニアは仲間が自分を怖がっているのに哀しみ1人で先程旅立った」

私は何か聞き違いと思いマロウニに聞くと歯切れが悪く、

「ここで別れることにしたんだ、アポロニアもヒューマンの世界に戻りたいと」

どうやら私が気絶していた時にアポロニアは皆を守る為にバーサークになりそれを見てショックを受けたと、皆もわかってはいるようだが生理的に受け付けないようで沈黙しており私を寝かせて下に降りていった。


私は直ぐに起き上がり火に表面を焼かれた装備を身に付け成人を迎えるためのライフオブレイピアと言う私の武器を身に付け窓から降りてゆっくり走る。

しばらくするとあのスワメルと言う男に追い付きどこにいったか聞くと、

「川沿いにある船の発着所に行っただろう」

そう言われて場所を聞いて走る。

フードは穴空きだがかろうじてエルフと言うことや私が女と言うことを隠してくれており門を抜けて川へと急いだ。



リリアに嘘をついてしまった、しかもそれを見破っている眼差しで私を攻めている。

皆もリリアの悲しげな顔に居たたまれなく食事をしに1階へと降りると無言で食事を食べる。

苦手な肉だがこの際時間をかけながら食べ続けて戻ったときに寝ていてくれればと思いながらかなりの時間を食事にかけて部屋へと戻ることにした。

「寝ているようだね」

静かに部屋にはいると何も言ってこない所を見ると寝ているようで安堵しながら静かに別途に潜り込んだ。


「マロウニ」

朝早くにネーベの悲鳴があがる。

飛び起きてネーベを見るとリリアのベットの前にいて指差している。

様態が急変したのかと飛び起きてベットをみるとそこにはいるはずのリリアが居なかった。

「消えた何時だ」

ネーベに聞くが知らないと、リデリオもホルスも知らず誰も、

「手分けして探そう、街中を」

でかける準備を整え街中へ散る。

路地や酒場やベルグルの工房にも再度足を運んだが見つけられなかった。



「アポロニア」

船に乗り込もうとしたとき不意に自分を呼ぶ声がして振り向くとボロボロのマントを着たリリアが息をきらせながら立ち止まり私を見て泣きながら抱きついてきた。

「もう1人でどこにもいかないで」

いきなり現れこんな大胆な事をするリリアに驚きながらも、

「何でここに、皆は」

少しの淡い期待をこめたが、

「皆が頑張ったアポロニアによそよそしいからギルドの人に聞いたらそんなことでって、私はついていくからね」

リリアの迫力に私もだけど周りも圧倒され乗船を急がせるはずの船頭も見ているままだった。


「皆のところに帰った方がいいよ、心配してるしこれからどうなるかわからないし、1人でも大丈夫だから」

1人でもと言った瞬間にリリアは怒り泣く、

「アポロニアは1人でいちゃダメなんだよ、そんなのよくないよ、だから私が一緒にいくの」

そう言うとおもむろに紙を取り出しその場で手紙を書くとずいぶん上手になった共通語で渡し場の役人にお金と共にギルド長に渡してくださいと頼み船が出発した。


お互い何を言って良いかわからずに座っていると声をかけられる。

「良ければお嬢さんの服をお作りしましょうか」

そう言われて私もだけれどもリリアも自分の服がボロボロで肌をかなり露出しているのを今更ながらに気がつきローブをかけてからお願いをする。

「今戻りなので素材があまりないんですよね」

申し出てくれた母親と同じくらいの年の女性はレビリンスと自己紹介を行い私達も答える。

「それなら、使えるかわからないんですけど」

自分の鎧の補修用に皮と鱗を持っていたのでリュックから取り出すとレビリンスは大きく目を開き、

「始めてみます。伸縮性があり滑らかですね、この鎧のインナーにも使用しているのですね、いいですよ十分良いものが使えますから」

そう言うと、

「みんな集まって、素敵なのを創りますよ」

そう言うとキャビンの影から10人程の女性達が嬉しそうに現れ素材とリリアに寸法を計るから個室にいこうと嵐のように現れ嵐のように去っていき1人取り残されてしまった。



「エルフの言葉で早口で言われてもわからん、落ち着け」

自室で報告書を読みながら久しぶりに交易船で到着し購入したお茶を飲んでいるとカウンターの方が騒がしく収まる気配がない、何事かと仕事を中断してドアを開くとあのエルフ達が受付の職員に顔を赤くしながら何かを伝えようとしているがエルフは珍しいので話せるものは私か副長しかいない、副長はエルフの娘が波止場まで影で護衛を頼んで行ったのでいないので私が対応をすることになった。


「仲間を捜せと言うんだな」

居なくなった原因は私だが事情が事情なのでどうするかと思っていると副長が戻ってきて手紙を渡される。

「これお前宛ではないのか」

エルフに渡すと直ぐに中を見て何処でこれをと言い副官が、

「波止場です。もう」

すべて言う前に出ていくがわかっているのだろうか、肩をすくませる副長に後を任せて追いかけた。



「だからリリアを何処にやった、早く答えろ」

ギルドとか言う所に来たがカウンターのヒューマンの女は怯えて言葉が理解できない、苛立ちを押さえることができずにいると後ろからワイバーンの時に真っ先に駆けつけアポロニアと一緒にいた男が現れエルフの言葉を話すので言うがゆっくり言わないと通じないらしく苛立ちで爆発しそうな時に別の男が着て何かを渡すと男が差し出して私宛ではと言う、


「マロウニそして親愛なる皆、私はアポロニアを1人にさせとくなんてできない、だからアポロニアと旅に出ます。故郷の両親や長老には謝っておいてください、いずれ帰れる日があると思います。森の恵みが皆の幸せにあらんことを」


男に何処でと聞くと波止場だと、皆で一斉に走りだし外に出て大きい広場に出るとそこで気がつく、

「波止場って言うのは何だ、何処にある」

皆に聞くが初めて聞く言葉に下を向く、

「誰か教えてくれ」

そう叫ぶが皆顔を引き面せ怖いものを見たとでも言いたそうに物陰に隠れる。


「そんなに叫ぶな連れていくから街の皆を怖がらせるな、あの時のお前達のように」

あの時の、確かに彼らはエルフを見馴れていないから感情に任せていれば、そうか私もそうだったのか、アポロニアとわかっていたはずなのにただ怖がり理解をしようとしなかった。

「もういい、リリアは自分の意思でアポロニアについていったんだ、それは尊重しなければならない、里に戻るぞ」

自分に言い聞かせて何か言いたげな皆を連れて馬車の手配をしてくれたギルドの男に感謝して帰途へとついた。

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