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冒険者

「しかし、まああなたが言うなら問題はないのでしょう」

野営をすることになりマロウニと話し合い男は拘束を解けないが女子供は拘束を解く、

よく見ると長い逃避行でまともに食事もとれていないのか子供が痩せている。

「我々ではなくヒューマンの責任だろう」

マロウニは私が言う前に断るので、

「命は命、それに我々より弱い子供が苦しんでいる」

「だよね、マロウニはいつも弱いのは助けろって言ってるよね」

ネーベが言いリリアも、

「助けてもバチは当たらないと思うけど」

そう言うとマロウニは向こうを向いて、

「わかったネーベに任せる」

そう言うと回りを見てくると行ってしまった。



気がつくととうちゃん達は縛られてオーガの様な大男とフードをかぶった怪しいやつらに囲まれている。

母ちゃんも横でおいらを隠そうとしているのか体を押し付けてきた。

何かを話しているのかわからないがかなり危ないと思っていると不意に腕に絡みついた草が縮みおいらや母ちゃん達は自由になりオーガが、

「夕食や身の回りの世話をしてほしい、逃げようとは思わないでくれ頼む」

一方的な言いぐさに腹が立つが母ちゃんはおれに大人しくしているように言うと食事の準備を始めた。


拘束されないが冒険者がこちらを監視しているのでとうちゃんに近づけない、

「子供達立ち上がれ」

オーガが言うのを周りの子供は泣くか泣きそうになりながら立つがおれは泣かない、オーガの前に立ちとうちゃんよりももっと大きい顔を睨み付けると少しだけ笑われムカつくと、

「今から食料を探しにいく、ついていくように」

そう言うとフードの1人が顔を現してきて思わず見とれてしまった。



アポロニアに頼まれて森に探しにいくのにヒューマンの子供を連れていくようにと言われていたずらをしたくなりフードを脱いで顔を見せると少年少女はポカンとしてこちらを見つめていてよだれをたらしている。

「ネーベやり過ぎよ驚いてるじゃない、マロウニに怒られるよ」

リリアから言われて返事の代わりにリリアのフードを外して顔を見せるとさらに驚きの声が上がる。

「なんでよ、リリアでもっと驚くなんて」

後ろでアポロニアが少しだけ笑いながら私達について行くように伝えたのか子供達は見とれならがついてきた。


森へ入りノームに食べられる物の場所を聞くと教えてくれ移動しながら食べ物を採取していく、子供達はこちらを見ながらもお腹が空いてるのか木苺がなっているのを見ると皆で食べ始める。

「お腹すいてるんだ、すごいねリリア」

リリアは真面目にもっと食べ物を探そうと思ってるらしくシルフに聞いているが季節が悪いのかさほど食べ物がとれない、

「ネーベどうしよう、この子達の分も足らないよ」

「だよね、仕方ない良いかな」

リリアは少しだけ考えて、

「とりすぎないようにだね」

珍しく同意してくれたので私は弓を背中から手に取ると空に向けて放った。



どうやら戻ってきた様でヒューマンの子供は迷惑をかけてきたんじゃないかと思いながら森の入り口を見ると子供達が両手に抱えながらこちらに駆けてくる。

手に持つのは木の実などだが後ろから飛び出してきたのには眉を潜めてしまう。

「ネーベ、ネーベ」

森から出てきたのを見つけて呼ぶと元気よく駆け寄ってきて、

「なあにマロウニ、沢山とれたでしょう」

「沢山じゃない、あれはなんだ」

森の生き物達が命を奪われ運ばれていく、

「仕方がなかった」

そう言われて思わず手を出してしまうがリリアに止められ、

「私がお願いしたのネーベに、この季節だと果物や木の実が少なくて」皆に行き渡る量がとれなかったから、

「だからあれが許されるのかリリア」

そう言うとアポロニアが間に入り、

「すまないヒューマンの為にしてくれて、リリアにそうさせたのは僕だ」

「そうだ、ヒューマンは何時もそうだ奪う全てを」

「全てではないよ、言い訳にしか聞こえないかもしれないがこれがなければ真っ先に弱い子供達が死ぬ、それをわかってそうしてくれたんだ」

お前はやっぱりヒューマンなのか、

「生命を生かすためには生命でしか無いというのはわかっているはずだよ、感情に流されないでマロウニ」

リデリオいつの間にか横に来て言いながら私の手を引っ張り連れていった。



わかっていたがマロウニの怒りはもっともで、ネーベとリリアに任せてしまった。

リデリオが諭してくれているがマロウニのヒューマン嫌いはさらにひどくなるのかと思いながら岩に座りため息をついてると目の前に女の子二人が走ってきて、

「お姉ちゃん達に伝わらないから代わりにありがとうっていってね」

そう言うとはにかみながら戻っていき少しだけ心が軽くはなるがリリアは落ち込みネーベが慰めている。

「何か不味いことになってるいうだな」

ゼーレがそれらを見ながら話しかけてくる。

「必要以上の命を奪ったと、エルフなら当然のことなんだが」

「それで100人も命を奪わずと言うことか、エルフと言う者なのか」

「我々のように必要以上はと言うことさ」

そう言いながら夕食を取った。


翌日も到着せず翌々日も到着せず食料をと言うことになる。

「ネーベ、リリアは行かなくて良いよ、僕が子供達を連れていってくるから」

「でもさアポロニアって弓へただし、鳥なんか落とせないじゃんか」

弓も教えてもらったのだがセンスなしと最終的に言われ自覚しているが、

「下手な弓も数打ちゃ当たるから」

「むりむり、当たったらビックリして雨が降るよ」

ネーベが笑っているとマロウニが不機嫌そうにリデリオとやって来た。

「食料を確保するのに行ってくる」

マロウニに言うと眉間にシワを寄せて少しだけためらいながら、

「アポロニアの言うこともリリアのおこなった行為も生きるためと言うことも理解しているが必要だったと、割りきれないが」

そう言うとマロウニは弓を構えて空に向け矢を放った。

「僕が狩る。それもけじめだ」

真面目で真っ直ぐなマロウニが複雑な顔で落ちてきた鳥に祈りを捧げ私に手渡した。



冒険者からの報告がギルドにそして領主である私にくる。

父の兄であるクレセント伯の子が一昨年後を継いだのだが、どう育て方を間違えたのか隣接する貴族の鉱山ほしさに稚拙な策略を仕掛け国王の知るところとなり私に鎮圧を命じられた。

戦いと言うにもあまりにも愚かしい戦いで農兵を前に出し自分達は逃げ出し館にも戻らずに私の領地へ入ると姿を消したのだが、

町の代官から知らせを受け騎兵だけで一気に走り抜け到着すると粗末な建物の前に拘束された甥でありこれだけの者が捕まっていた。

「商人のゼーレと申します。盗賊を捕らえたのですが数が多く受け取りに来ていただいたのですが領主様自らとは」

商隊の馬車を襲ったと言う最悪の状況なのだが死者が出ていないと言うこと、

「知らせを受けたからな、この者達は我らが町へと連れていく」

これを無かったようにするにはどうするかと考えていると、

「この方は貴族で反乱を起こしたと言うことですが報償金はかなりと思いますが」

甥の愚か者が身分を言うとは私の身にも、

「そうか、色々あるからこの事は改めて町に到着してからと言うことで良いかな」

「いえいえ、今回は護衛をしてくれている彼らが受けとるので」

そう言って大男とフードをかぶった6人にを見る。

「冒険者か」

「いえ、旅の手練れです。彼らだけで全てを捕らえたのですから」

余計なことをと思うが領主として礼を言わねば、ただしもしもの時は、

大男に近づくと若く消極的に礼をしてくる。


「アポロニアと申します」

「ベーネン伯と申す。領内での事感謝する」

フードの者達は黙ってこちらをみている。

副官が、

「貴様達、伯爵様に頭を下げんとは不敬な」

そう言ったが身動ぎしないのをアポロニアと言う若者が、

「申し訳ありません、彼らは言葉を理解できないのでご容赦ください」

「言葉がわからぬからとて」

副官がフードを取ろうとするとその手を取られてねじられてしまい不穏な雰囲気になるのを私は止める。

「申し訳ありませんが彼らはエルフなんです。ヒューマンの常識は通じません」

私は驚き、彼が一人のフードを少しだけあげるとそこには美しいエルフがこちらを静かに見ている。

「何でエルフがこんなところに、まあ良い」

エルフだって、甥は何でこんな面倒なことを次々と、口封じも難しかろうまかり間違えばエルフと敵対してしまうことにもなり国王から爵位を取り上げられる最悪もあり得る。

「希望はなんだ」

「褒賞金と、ベルミル山脈への通行の安全をお願いしたいのですが」

「それだけで良いのか、あのもの達の事は」

「興味はありません、それと冒険者登録をするのでその口添えを身分証としてですが」

私はホッと胸を撫で下ろしながら、

「わかった便宜をはかろう」

そう言って握手をして私の館へと戻ることになった。



「感謝しかありませんよ、無事に到着できてさらに騎士団の護衛つきでヒユーゴの街まで向かうことが出来たのですから」

この若者にはもう少し一緒にと思ったが彼らはベルミルへと向かうことになりここでお別れとなる。

登録と護衛の件もあるので一緒に冒険者ギルドに向かうことにした。



「何かご用でしょうか」

ようやく朝の喧騒が落ち着き冒険者も依頼を受けてギルドから出発していき入れ替わりに商人と冒険者そして大男とフードをかぶった6人、

「すまないがこの依頼の件で、10人の冒険者のうち5名が依頼を放棄してしまったんだが」

依頼の放棄と聞いて頭がいたくなる。保証や懲罰、制裁金等頭がいたい事があり私では対応しきれないので直ぐにギルド長を呼ぶ、


「護衛の放棄とは、しかし無事でよかったですよゼーレ殿」

冒険者が逃げ出し品物や同乗していたものが怪我でも追えばギルドが保証しなければならない冒険者の代わりに、逃げた冒険者が捕まらなければ金銭的にも大赤字であり私の再選も危うい、

「たまたま乗っていたこの方々に助けていただいたのだが、彼等は冒険者登録を希望しており今回の護衛の指名依頼と完了をしてもらえるなら規定以上のは問わない」

「そう言っていただけると助かります。新規登録はこちらで」

そう言うと7名をカウンターの前の椅子に座らせた。


「以前登録はされてないと言うことでよろしいのですね」

大男に聞くと頷くので、

「それでは水晶に手をおいて名前をお願いします」

手をおいて、

「アポロニアです」

そう言うと登録がありランクCで学園で登録されている3年前に、

「失礼ですが3年前に登録されております。学園でランクはCで初めて登録されておりますが」

「そうなんですか、事情があって冒険者登録をしていないと思ったので」

何かあるとおもいながらも犯罪以外の余計な詮索はしない事になっているのでいくつか打ち込みカードを渡す。

「冒険者か」

アポロニアさんは考え深げにカードを見ながらフードの人達に説明をする。

「ごめん、言葉がわからないから通訳します」

言葉がわからないって、私は不安になりながら水晶を移動させると隠れていた手が水晶にのせられると思わず、

「綺麗でほっそりとした手」

そう呟いてしまいあわてて謝罪をするとアポロニアさんは少しだけ笑い私は画面をみて項目のひとつで頭が固まる。

これってエラーじゃないよね私の目がおかしいのかすがるような目でアポロニアさんを見ると少しだけ笑い、

「そうだよ」

そう言いながら少しだけフードを持ち上げるとそこには美しい顔と細長い耳が見え見とれてしまいそうになる。

「種族はエルフで間違いないでしょうか」

うわずった声に少し離れた所で話をしているギルド長も怪訝な顔をするのをあわてて下を向いてしまうと、

「間違いないよ、名前はマロウニ」

私はあわてて名前を入力して確認するとカードを渡して横に移動する。

「リデリオ、リリア、ネーベ、グラス、ホルス」

次々と名前を言われて登録してカードを手渡していったがどのエルフも美しく静かな目でこちらを見ており一生分の何かを使ってしまったのではと思いながら今度は指名依頼の入力と完了を打ち込み盗賊を100人捕らえたと言うことを依頼人の商人から聞き知らせがあった事とわかりギルド長と共に驚きランクをFにして金貨を渡した。



驚いている。

誰かわからないがあれだけの事をした僕が学園で最高のランクCをもらい懐かしく思う、母親は元気にしているだろうか黙って逃げ出した僕に失望をして二度と会いたくないと思っているのではと思いながらマロウニ達の登録を済ませていく、受付の女性は驚き赤くなり目を潤ませたりと忙しく私をみて無言で問いかける。

「依頼の受付と完了をするのでカードをお願いします」

みんなのを集めて渡すと水晶へ差し込んで依頼の紙をわたす。

「ランクCとGだけど指名依頼だから受けられて同時に完了でおわり」

受付の女性はカードを渡ながら、

「ランクGはFに上がりました。もうひとつあげられるのですが1回ずつなもでご了承ください」

申し訳なさそうにするが身分証としか使わない予定なのでみんなは気にしないと思うけどそう思っているとカウンターから離れて別に部屋に下がってまた直ぐに戻ってくるとカウンターに金貨を数枚のせ、

「褒賞金とは別で、依頼完了と盗賊人数分の報酬になります」

これで色々買えるし馬車での移動と宿代も十分と思い礼を良いながら皆に言うと興味がないのか任せるとだけ言いギルドの事を話している。

「皆さんありがとうございました。また会えたら依頼させていただきますよ」

ゼーレが馬車に戻ると言うことで挨拶に来て握手をする。

「こちらこそおかげで登録も終わり旅費も稼げましたから」

そう言って別れると私達は宿を探すことにした。

「人が少なくてきれいな所が良いな」

リデリオが希望するとネーベ以外は同意する。

「せっかく来たんだから騒がしい所がいいな」

ネーベが言うのをリデリオが、

「面倒を起こすんだから大人しくしろよアポロニアも色々してくれて疲れてるんだし」

私が礼を言うと大通りでなく一本裏の道を歩く、

故郷に比べたら街の大きさも小さいが領主の館があるのでそこそこ大きいので裏通りも人がたえない、呼び込みの人もいるが大男とフードをかぶった6人に嫌悪感をいだいているようで声をかけられないまま裏門近くまで来てしまった。

「どうしようか」

何となくだったので選びきれずに来てしまい裏門の広場で皆の目線を感じながら頭をかいた。


「宿探しならうちの宿に」

震える小さな声がしたが姿は見えない、

「ここだよここ」

そう言われたが周りを見ても誰もいないのをネーベが笑いながら、

「踏まないようにね、ビックリしてるし」

そう言われて足元を見ると小さい少女と幼女が泣きそうな顔で見上げており、

「おじさんお願いします」

そう言われて思わず頷いてしまった。

「こっちこっち、こっちだよ」

すぐ路地横の古びた宿に入った。



「お母さん7名様だよ」

長女のマリーの声に驚きながら7名と言われて食材が足らないと慌てる。

うちは昔から宿屋を営んできて父がなくなり冒険者を怪我で引退した夫と共に切り盛りしてきたのだが、去年通り魔に襲われ夫を亡くしてしまった。

食堂を兼ねた宿の入り口からマリーとラナが手をつないで入ってきた後に入り口の扉を頭を下げて入ってくる大男に思わず悲鳴をあげたくなり口を押さえる。

さらにフードをかぶった6人が入ってきて私はめまいに襲われそうになった。


「宿泊は夕食つきで1人銅貨10枚、朝食が銅貨3枚です」

気を取り直して伝えると、

「領主の関係が有るから4日お願いします。銅貨364枚だから銀貨3枚と大銅貨3枚と銅貨4枚ですね、でお願いがあるんですが銀貨7枚支払うので宿を貸しきりでお願いしたいのですが」

余分な銀貨4枚は大金だけど何でかしきりにと思っていると知らない言葉でフードの人に話しかけるとフードを脱いでくれた。


「綺麗、お姫様みたい」

マリーが言うのも頷ける。なんとエルフであり私も耳が細いと言うのもだが幼い頃にうちに泊まりに来たことがあるので覚えている。

「お願いします」

確かにエルフが居るとわかれば何をしてくるかわからない人々もいるので同意してマリーに部屋に案内するように伝えると調理場へと入った。



最近お客さんが少なくてお母さんが大変なんだけど、今日もラナと一緒に裏門の前でお客さんを見つけようと思い外に出る。

お昼なので人通りは有るけど冒険者はいないのでラナと石ころでおはじきをし始めると地面が暗くなり見上げた。

目の前に壁のような人が立っていて見上げても顔が見えないが服装から冒険者だとわかり怖かったけど声をかけた。

「ここだよここ」

先ずは気がついてもらいたくて声をかけたんだけど私が小さいのか周囲を見ても気がついてくれずへっこむ、

後ろにも誰かいるのか美しい声が聞こえたが何を言ってるのかわからず、このまま気がつかれずに踏まれたらどうしようと言うのとお客さんを連れていけない不安が込み上げてきて泣きそうになるのをラナの手をしっかり握るので我慢をして、

「おじさんお願いします」

そう言うと気がついてくれたのか上から大きな顔でこちらをみて頷いてくれた。


ここで逃がしてはダメと思い、

「こっちこっち、こっちだよ」そう言うと大きな足が動き出して悲鳴をあげたくなるのを我慢してラナの手を引いてお母さんのいる場所へと走った。


「お母さん7名だよ」

お母さんの喜ぶ顔が見たくて厨房に飛び込むと戸惑いながら嬉しそうにしているお母さんが食堂へ出てきた。

色々話をしている大きなおじさんとお母さん、しばらく泊まってくれるらしくおかあさんもホッとしているけどまた戸惑っていて大きいおじさんが後ろの人に知らない言葉で言うとフードを脱ぎ始めた。


息が止まるほどの肌の白さと美しさに思わず、

「綺麗、お姫様みたい」

お姫様を見たことはないけどきっとそうだ、こんな女の子がいるなんてすごいと思いながらお母さんから部屋に案内してと言われて階段をかけ上がり振り向くとおじちゃんの顔が同じ高さになり嬉しく笑顔になるとおじちゃんも笑顔でかえしてくれて嬉しく二人ずつの4部屋を案内してからお母さんの元へ戻った。


「マリー、夕飯が足らないから今から買い物に行ってくるからラナと留守番をしてくれる」

あの大きなおじちゃんがいるんじゃ確かに足らないと思うけどお母さんも色々しなきゃいけないことがあるので私は、

「私買い物いく、もう1人で行けるからお母さんは宿お仕事をして」

私が元気よく言うと驚き少し考えると、

「マリーがいってきてくれるなら助かる。買うものは今書き出すから待ってて」

嬉しそうにするお母さんに私はさらに嬉しくなりお気に入りの小さなリュックを背負い待っていると後ろから、

「お出かけかい」

振り向くとおじちゃんが降りてきて椅子を二つ並べて座る。

「買い物いくの、お母さんのかわりに」

「そうなんだ偉いね、そうだ買い物をしたい物があるから案内してくれるかな」

お母さんを見ると嬉しそうに頷くので、

「いいよ、買い物したら案内するね」

そう言っているとラナもいくと言い出し妹の面倒もと思い抱き寄せて頭を撫でてあげた。

メモとお金をもらうとラナの手を引いて先頭に立ち歩き始める。

おじちゃんともう1人フードのお姫様が一緒に歩き始めると胸を張り時々歩く裏通りを市場に向かうことにした。


道の途中で意地悪をしてくる男の子と会ったが後ろのおじちゃんを見て逃げてしまいホッとする。

もう少しで市場が見えてくるところでラナが疲れたのか座り込んでしまいお姉ちゃんが頑張らねばと背負おうとしたとき大きな手が伸びてきて見る物が一転した。

横にはおじちゃんの顔があり前にはまだ見えないはずの市場が見えて、何時もは見上げるはずの八百屋のおじちゃんは頭の上が見えて私にまだ気がつかない、

おじちゃんの顔の向こうにはラナがいるけれど声を出すこともせずに景色を見ているようだった。


「さて、何を買うのかな」

おじちゃんが言うので八百屋のおじちゃんを指差すとそちらへ歩き始め、何時もよりも早い速度にちょっぴりこわいけど上からは色々な物が見えて嬉しい、

「これくださいな」

私が上から声をかけると八百屋のおじちゃんは驚いて顔をあげ私を見てホッとした顔をして、

「なんだ朝顔亭のマリーか、上から声がしたからビックリしたよ」

そう言うと注文を聞いてくれおじちゃんが代金を支払ってくれ荷物を持ち移動する。

フードのお姫様は時々話しているようだけど相変わらずわからないのでつまらないけど市場の皆から注目されるのはこんなに嬉しいんだと思いながら買い物をしていると悲鳴があがり少しため息が出る。


最近うちの宿もだけどこの辺りを仕切ろうとしているらしいのを大人の話から聞いてるけどまたらしい、

顔に傷をつけた怖そうなおじさんが大声で魚やさんのフェニおにいちゃんを捕まえていじめ始めたのをみて、

「いじめはだめってお母さんから言われてるもんラナも知ってるもんね」

周りの大人が何か止めようとしているけどいじめを止めない子も悪い子ってお父さんも言ったんだから、顔に傷をつけたおじさんはおじちゃんをみて驚きながらもこちらへ来て、

「やいやい、ベガス一家の一の子分ガラハット様とは俺の事だ、子供だとて容赦はしないぞ」

こちらを見上げて大きな声で私やラナそしておじちゃんをにらみつけている。

「いや、何もしてない人を捕まえて殴るのは良いことではないと思います」

「良いことじゃねえと、じゃあどうしよってんだ、えっ」

言ったんだけど怖くなりおじちゃんの顔に抱きつきラナもだけど泣きそうになると目の前で何かあり顔の怖いのが飛ばされて転んでいてお姫様が前に立ち怖いのの友達も次々とお姫様に倒されていき嬉しくて声をあげてしまった。

「ちきしょう覚えてろよ」

そう言ったがもう1人のフードのお姫様が出てきて傷のおじさんは地面で寝てしまいました。



「心配になって後をつけてみればネーベ、もめ事を起こすなって言っただろう」

「だってこの子達を脅して泣かそうとしたから、ねアポロニア」

「グラス助かったよ、あのまま逃がすと市場の人に迷惑かかるから」

マロウニに知られたら怒られるだろうなと思いながらアポロニアが買ったらしい香ばしいパンと言う食べ物を渡されて食べると美味しくお腹もすいていたので食べてしまう。

「伯爵に今言付けを頼んだので引き渡したら帰ろうか」

「そうだな、ネーベが何するかわからないし、もう1つ貰うよ」

パンと言う食べ物をアポロニアのかごから取ると、

「グラスだって口実だし暴れたの、パン1人で食べないでよね」

そう言うと私の手から食べかけのパンを取ると口にほうりこんでしまった。

「二人ともまた買えばいいし」

アポロニアは笑いながら私にパンを渡して少し戻ると良い匂いがする建物でまた買ってきてくれた。



「お手数をおかけします」

アポロニアから知らせを受けて私自ら市場に向かうと近頃この街に入りこんできていた男達数人を捕まえており私が到着するとつぎつぎとかんしゃされる。

「まあよい、ついでと言ってはどうかなと思うがこの連中のアジトと残りの者を捕まえてくれぬかな依頼として」

半分は冗談なのだが放置しておけば揉め事が起きるので早めに対応をと思っていると、

「そうですね市場の皆さんもこの子も困っているので受けさせても良いですか」

思わぬ申し出に私は笑顔で頷くと、

「1人だけあの男を残してもらえませんか、早めに何とかしますので」

依頼は明日受けると言うので残りの男達を数珠繋ぎにして役所へと戻った。



「さて成り行きとはいえ早めに済ましたいから一度宿に戻ろう」

アポロニアはこの二人のヒューマンの子供が心配なので私とグラスに荷物を別けて裏通りを戻る。

気持ちよく駆け抜けると何か驚いていて楽しい、

「ここは森じゃないんだから」

グラスの小言も楽しい事の前に気にしない、走り抜けると宿へと到着した。


中へはいるとマロウニとリリアとリデリオそしてホルスもいて食堂は椅子が倒れたりしてその中に顔が傷だらけのむさいヒューマンが3人倒れておりアポロニアが子供達をおろすと母親がかけよって抱き締めた。

「マロウニなに暴れてるのよ、自分の時だけずるい」

私が文句を言うと転がっているヒューマンを見て、

「いきなり入ってきて暴れたからな、速攻眠らせただけだお前みたいに周りに被害は与えない」

整然と言われてムカつくのをリデリオが、

「どうするアポロニア」

皆がアポロニアを見ると、

「都合がいいね、ちょっと夕食前に出かけよう」

そう言うと4人をアポロニアが軽々と担ぎ上げて外に出ると私に先程の男にチャームをかけて寝蔵を聞いてほしいと言われ喜んでノームを召喚した。


男の案内で路地を抜けてアポロニア曰く裕福な人が住んでいる一画の館に到着する。

裏門から男がノックをすると扉が開きアポロニアが素早く入ると少しだけ音がして中に入ると2人が倒れていて素早くロープで捕まえる。

「中の人は1人のこらず捕まえてくれるかな」

そうお願いされるとワクワクして頷くとマロウニが、

「ネーベは私といく」

天国から地獄とはこの事で文句を言おうとしたがアポロニアが笑顔で、

「ネーベ、マロウニのサポート頼むね」

そう言うのでしかたないけど、

「任せておいて、マロウニ足引っ張らないでよね」

そう言うと館の中に入り廊下を歩く、

「大胆と言うか無頓着だな相変わらず」

「心配性で無理無茶はしない、つまらないでしょ自分で」

言い返すとマロウニは沈黙するのでいじけたかなと思い、

「でもマロウニがリーダーだから私達好き勝手できるんだから、すごい」

「誉め言葉になってない、ちょっと待て」

少しだけ言葉尻が上がったのを感じながら最初にあった大きな扉を開けた。



楽しいわ、ここをうまく根城にして街で上銭の上前をはねにいき酒を買って帰るのを続けて3週間、もうそろそろここの女もしけてきて飽きてきた頃なのでガゼンが女を調達すると言い人妻好きの野郎はあの宿の女を連れてくると出ていく、

「ガゼンおせえな、向こうでまず楽しみか」

「やつ三コスリ半だからな、満足できねえだろ人妻でも」

「酒がねえぞ酒」

そう言うと扉が開かれフードをかぶった二人が立っている。

「酒だ、何手ぶらなんだおめえらは」

仲間が言うのを全く聞き流しており空き瓶をつかむと投げつけた。

「おい、浮いてるぞ」

不思議な事に瓶がフードの目の前で浮いておりゆっくりと降りてきて床に転がる。

その瞬間意識が飛び暗い闇へと沈んでいった。



二人ずつで皆が入り私は裏門で待っていると数人の男達の声が聞こえてきたので縛っている男達は建物の影に放り込む、しばらくすると門の前で止まり威勢良く叩くので開くと酔った男達が酒樽を抱いて入ってきたので殴って気絶させると最後の男はよけて、

「お前は誰だ」

誰だと言われても名乗る気にはならないのでスタッフで殴り付けると避けてショートソードを持って切りつけてくる。

あまり長くしていられないが相手の動きの方が上と思い1つ試してみることにした。


後ろに大きくとんで下がり意識を集中させると目の前に火の玉がそしてサラマンダーにかわりこちらを見た。

「何だその火の塊は」

どうやらサラマンダーは見えていないらしく警戒している。

エルフ語で攻撃を命令すると炎の舌を出しながら男に向かう、避けようとするのを舌を伸ばして牽制しながら追い詰めていく、

「わかった降参だ」

男はそう言うが武器を保持したまま立っているので無視していると舌打ちしながら武器を足元に捨て、

「今度こそ本当だ」

そう言ったがあえて無視する。

「武器を持たないのに卑怯だぞ」

そう言いながらじりじり下がり振り向いて塀を登り逃げていった。

しばらくするとネーベが元気よく飛び出して、

「終わったよ」

そう言うのと同時に伯爵の兵が到着して引き渡し宿へと戻った。



「おかえり、夕食できてるよ」

おじちゃんとお姫様とお付きの人かなが帰ってきたので出迎えたんだけれどもビックリした事が、

「みんなお姫様だったんだ」

そう言うとお母さんが、

「マリー失礼なこと言わないの、ごめんなさい」

そう言って謝ってるんだけど何でと思っているとおじちゃんが、

「あの二人はお姫様だけど残りは王子さまだよ」

そう教えてくれたんだけどおどろき桃の木であんな美しい顔で王子さまって、

「私お嫁さんになる」

そう言うとお母さんがふらふらと床に座り込んでしまいおじちゃんが笑い、

「お嫁さんか、先ずは言葉がわからないと、勉強しないとダメだね」

そう言うので頷いているとお母さんがようやく立ち上がり、

「マリー夕食を運んでから」

そう言われてしまってお母さんの手伝いをすることにした。


お姫様も王子さまもお魚が好きなのか市場でおじちゃんが買ったの、でも私は骨があるから嫌い何だけど皆は綺麗に食べてしまったのを見て私も嫌われないように頑張ろうと思った。明日から、



マリーがお客様を連れてきてくれしばらくは暮らしていける収入を得ることができたんだけど、アポロニアさんは宿の扉をくぐるにもかなり身長があるので大変そうで申し訳ないし、何より一緒に宿泊していただいている方々は父親が営んできた頃に一度見たことがあるエルフであり娘のマリーもうっとりするほどの美しさです。


買い出しも手伝っていただき申し訳なく思います。それと今驚くことに領主である伯爵様がお忍びでこられて話をされていてお酒と簡単なおつまみを頼まれてつくっているがお口に合うか不安です。

しかし3日後には出発されるのでマリーには申し訳ないけれど、



「その方達には感謝を言わねばならん」

街を荒らしていた連中のアジトを急襲して壊滅させて宿に戻りマリーのお母さんの魚料理をマロウニ達と美味しくいただいて貸し切りの食堂でゆっくりとしていたのだが、

「1人取り逃がしてしまいましたが、これで落ち着くと思います」

「そうか、しかし主人が他の待ちへと不在だった館を根城にしていたとはな、盲点だったわ」

街を守る衛兵も貧民街を重点的に捜索していたのだが空振りに終わっていたので伯爵は面目を保てたと言うことだった。

「これで滞在日数が延びることは無いでしょうか」

前の盗賊捕縛で捕まえた人数が多かったのか数日待つようにと言われており心配している。

「それは問題ない、今回のは人数も少ないのでなややこしいこともないし」

ホッと胸を撫で下ろしていると、

「ところで相談なのだが、我らに使えぬかワシの直属の部下として俸給もそこそこは支払えるが」

普通であれば安定した収入と地位で安心して暮らせるので受けたいとも考えるが、

「申し訳ありません、今回はエルフにとっての大切な旅ですのでお申し出は大変ありがたいのですが」

伯爵は残念そうな顔でエールを飲み干し、

「確かになエルフが我らに使えると言うのもあり得ぬか、まあよいわ」

少しだけ残念な顔をしながらも、

「ところで今回の件でFからEに昇格と、その方のCがBにするための昇進試験を受けられるとギルド長が言っておいたが」

たかだか2回で昇進試験を受けられるとは基準はどうなのかと思いながらも、

「あくまで身分証のかわりと成り行きで受けたので」

「そうだったな、まあよかろう」

そう言うとマロウニ達に色々聞きたいことがあるらしく私が間に立って通訳しながら夜遅くまで過ごして伯爵が帰ろうとする時に、

「そうだ、1人逃がしたと言っていた奴はな元ランクAの冒険者ラグナシアと言う奴だ、よう命があったのう」

どうやら投げ捨てた武器から身元がばれたらしく教えてくれる。

C以上は1つランクが違えば実力は段違いであり攻撃が当たらないのも納得がいく、

「せっかくAまで登り詰めたのがランクを剥奪され追われる身になろうとはな」

そう言うと伯爵は帰っていった。


皆の所へ戻るとマリーがリデリオの前でもじもじしており皆何なのかなと見ていると、

「私をお嫁さんにしてください、言葉も覚えるし料理もお母さんから習うから」

当然リデリオはマリーの言葉を理解してないが何となく察したようで、

「数年したら、そうお母さんが許してくれたら訪ねてくれば良いよ」

そう笑顔で返すとマリーはこちらを見て、

「おじちゃん何て言ってるの」

そう言われてリデリオの言葉を訳すと笑顔で頷きリデリオに抱きついたのでリデリオにもマリーの言葉を伝えた。

リリアやネーベは嬉しそうに何度も頷いているがマロウニは呆れたと言うか怒りを通り越しているらしく後でひと悶着あるなと思いながら口をポカンと開けて我が子の言ったことに反応できずにいるマリーのお母さんに同情してしまった。

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