ゆめへのたびだちと力線
あたしは、ひとあしさきにいくよ。
言葉も夢も捨てて、みんなよりはやく目をさますよ。
でもね、たまに振り返りたくなるの。未練をふりきれないの。みんなを残していったあたしは残されたみんなが気になるの。みんなはあたしに残していかれたなんて、知らないと思うのだけれど。
久しぶりに夢を見たわ。そこでひとり逝ったわ。夢の癖に! 生意気にも、夢の癖にともだちをひとり殺したわ!
それに、なんだかみんなも……あたしが知っているのよりだいぶ遠くをあるいているじゃない。
そこで気がついたのよ。あたしはみんなを残して目をさましたんじゃない。ぎゃくよ。
夢からさめてしまったからあたしはみんなに取り残されたのよ。ねえそうでしょう。
かなしくなるじゃない。おねがい、あなたはずっとここにいて。ここで、ずっと文字をつむいでいて。
そうでなくてもいいわ、ただ、死なないで。いやだったら、なみだが出るの。
もうすこしだけ、夢を見ていてもいいかしら。