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始まりのウタ  作者: 尤魔
3/3

2nd Song †Fabler†

†fabler (嘘付)†








「‥‥此処から、呼ぶ声がする。」


「どうやらそのようだね。」



声がした方向には、黒の衣装を身に纏い、身の丈の2倍程ある鎌を肩に背負った少女がいた。


前者は少女、そして驚くべきコトに、後者は“鎌”が発した言葉の様だ。



「‥‥行くよ。」


「はいはい。」




茴高校は、現在昼休み。


校庭で遊ぶヤツ、教室で騒ぐヤツ、過ごし方は人による、そんな昼休み。



俺、黒坂 剣は屋上にいた。


通常は出入口に鍵が掛かっていて生徒は入れないが、まあ、壊したから入れた。


教室や校庭は人が多くて、どうも居づらい。



特にやるコトもないので、ただただ柵に寄り掛かって宙を眺めた。




「‥‥何してるの‥‥?」


「え?」




声を掛けられたので振り返って、言葉を失った。



黒い衣装に身を包み、身の丈の2倍程ある輝く鎌を持った少女が、宙に浮いていた。



確かに、“足が地面から浮いていた”。



それに、黒い服に鎌って、趣味疑うぞ。



少女と呼べる位の外見だが、雰囲気や瞳がかなり大人びた印象を与える。


歳は10〜13歳位だろうか。




「‥‥何してるの?」


少女はもう一度、同じ質問を繰り返した。



「別に何も‥‥

って言うか、お前誰だよっ!!」




「‥‥柵に寄り掛かって宙見てるから、死にたいのかと思った。」



くすり、



と笑って少女は言った。




黒い服や鎌、宙に浮いているに収まらず、そんな発言まですると死神みてーじゃねーか。


まだ自分より幼い少女にこれ程不思議に思わされたのは、初めてだ。



「‥‥誰だよお前。」



「‥‥想像ついてる癖に聞くの?」



くす、



口の端を僅かに上げて笑う様は、本当に死神の様だった。



「いいよ、教えたげる。

私は“硝子(ガラス)”。

死神。」




予想的ちゅーう。


全ッ然嬉しくねーけど。




俺は大して驚かなかった。

あんな外見してりゃあ、その位の予想は付くってもんだ。

(それとも俺の思考が異常?!?)


しかし、本当に死神だとしたら一体俺に何の用だ?



「私は、貴方に曲白結時が死ぬってコトを伝える為に来た。」



疑問に思っていたコトをすらすらと言って退けるガラス。



ってちょっと待てよ。



曲白結時が死ぬ?


結時って、あいつのコトか?



‥‥死ぬ??




「嘘だろ、おい‥‥。

お前も死神なんかじゃねーだろ‥‥。」


「全部、本当のコト。」




信じられねー。



信じたくねーよ。



誰か、嘘だって言えよ‥‥。




ガラスは宙に浮いていた。

絶対人間じゃない。


本当に死神なんだ。



死神に、結時が死ぬって‥‥。




「‥‥くそッッ!!

どーにかなんねーのか‥‥!!」



黙って俺を見つめ続けるガラス。




「何とか言えよ、死神‥‥‥‥。」




無理矢理絞り出した声は校庭の騒ぎに、虚しい程直ぐに掻き消えた。

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