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エピローグ
「昨日、墨田署管内で立てこもりがあったそうですね」
先輩の声が待機所から聞こえた。
「捜一の特殊犯が出動したんだってな」
年配の上司がお茶を啜りながら言った。
「犯人は取り逃がしてしまったとか」
「そうみたいだな。男一人って話だが、緊配にも引っかからないとなると、まだこの辺に潜伏しているかもな」
せんべいを囓る音がした。
「そうですね。警戒しましょう」
「おい、三笠。怪しいヤツがいたら、職質しとけ」
「わかりました!」
交番の前で行き交う人々を見守りながら、三笠善嗣は背筋を伸ばして返事をした。