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無限農業と万能建築で最強国家造ります!愛する彼女と巨大モフモフ精霊獣の無血建国スローライフ  作者: 黒崎隼人


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第9話「月明かりの寝室と重なり合う心音」

 太陽が地平線の彼方へ沈み、空が深い群青色から完全な黒へと塗り替えられると、街は静かで穏やかな夜の帳に包まれた。

 日中の激しい開拓作業を終えた住人たちは、カレンが作り出した巨大な共同食堂で私たちが生み出した豊かな作物を腹いっぱいに食べ、心からの笑顔を交わし合った後、それぞれの新しい家へと帰っていった。

 街の通りには等間隔に配置された魔石の街灯が淡いオレンジ色の光を放ち、石畳の道を優しく照らし出していた。

 ポムをはじめとするシロモチグマたちは、食事を終えると満足げに腹を叩き、私たちが用意した巨大な専用の小屋や、風通しの良い水路のほとりなど、それぞれの定位置で巨大な白い毛玉となって深い眠りについていた。

 誰もが私たちの時間を邪魔しないように配慮してくれていることが伝わり、その心遣いが胸の奥をじんわりと温めてくれた。

 街で一番高く、見晴らしの良い場所に建てられた私たちの家もまた、夜の深い静寂の中にあった。

 カレンが特別な想いを込めて設計したこの家は、無垢材の床が素足に心地よく、広々とした寝室には大きな窓が設けられており、そこから夜空に輝く満天の星と巨大な月を見上げることが出来た。

 私は窓辺に立ち、銀色の光を浴びて静かに波打つ果樹園の葉の群れを眺めていた。

 遠くから風が運んでくる土の冷たい匂いと、微かに甘い夜咲きの花の香りが、日中の疲労をゆっくりと溶かしていく。

 背後から布が擦れるかすかな音が聞こえ、振り返る前に私の腰に細くしなやかな両腕が回された。

 カレンの柔らかな胸の膨らみが私の背中に密着し、彼女の温かい体温が薄着の布越しに直接伝わってくる。

 私は背中に体重を預けるようにして彼女の腕に自分の手を重ね、互いの指を深く絡ませ合った。


「今日も一日、お疲れ様。ミユリの力がなければ、あんなにたくさんの人たちを笑顔にすることは出来なかったわ」


 カレンの静かで透き通るような声が、私の耳元で甘く囁かれた。

 彼女の吐息が私の首筋をくすぐり、そこから微弱な電気が走ったように背筋が震える。


「それは私のセリフよ。カレンがあの素晴らしい街を作り上げてくれたから、みんな安心して眠ることが出来ているの。私一人では、ただ土を耕すことしか出来なかったもの」


 私が少しだけ首を巡らせて彼女の頬に自分の頬をすり寄せると、カレンは嬉しそうに目を細め、私の首筋に柔らかな唇を押し当ててきた。

 ほんのわずかな接触にもかかわらず、彼女の唇の温度と湿り気が私の皮膚から直接心臓へと届き、鼓動が急激に速度を上げていくのが分かった。

 カレンは私を抱きしめたままゆっくりと体を反転させ、大きな寝台の方へと私を導いた。

 柔らかく沈み込む白いシーツの上に腰を下ろすと、カレンは私の正面に座り、両手で私の顔を大切に包み込んだ。

 月明かりに照らされた彼女の瞳は、吸い込まれそうなほど深く澄んでおり、そこには私への隠しきれない情熱と底知れぬ愛情が満ち溢れていた。


『この人のためなら、私は自分の命すら惜しくない』


 前世から何度も心の中で繰り返してきたその想いが、この異世界に来てより一層強く、確かなものとなって私の内側で燃え上がっていた。

 カレンの顔がゆっくりと近づき、私たちの唇が音もなく重なり合った。

 最初は羽が触れるような軽い接触だったが、やがて彼女の腕が私の背中を強く抱き寄せ、互いの隙間を完全に埋めるように密着した。

 カレンの唇は甘く、果実の残り香と彼女自身の清潔な匂いが混ざり合い、私の感覚の全てを奪い去っていく。

 私は彼女の首に両腕を回し、その滑らかなうなじの肌に指を這わせながら、より深く彼女の温度を求めた。

 息継ぎのためにわずかに唇を離すと、二人の荒くなった呼吸が静かな寝室に響き渡る。

 カレンの瞳は熱を帯びて潤んでおり、その視線が私の奥底まで見透かしているようだった。


「ミユリ……愛しているわ。この世界で、こうしてまたあなたに触れることが出来て、私は本当に幸せよ」


 カレンの掠れた声が私の理性を心地よく溶かしていく。


「私もよ、カレン。あなたがいない世界なんて考えられない。ずっと、永遠に私のそばにいて」


 私は彼女の言葉に応えるように再び自分から唇を重ね、そのまま彼女の体を寝台の上へと静かに押し倒した。

 シーツのひんやりとした感触と、カレンの肌から伝わる燃えるような熱さの対比が、私の狂おしいほどの愛情をさらに加速させる。

 私の手は彼女の衣服の隙間から滑り込み、その滑らかで柔らかな肌に直接触れた。

 カレンは小さく喉を鳴らし、私の背中に回した腕にさらに力を込めて、私を逃がさないようにしがみついてきた。

 重なり合った胸から、二人の心臓の鼓動がひとつの大きなリズムとなって響き合い、もはやどちらの鼓動なのか分からないほどに同調していた。

 窓の外では、月が静かに空の頂点へと昇り、銀色の光で私たちを優しく包み込んでいた。

 明日の街の発展や、これから訪れるかもしれない未知の出来事も、今は全て意識の彼方へと消え去っていた。

 私の世界にはただ、目の前で熱い吐息を漏らすカレンの存在だけがあり、彼女の匂い、彼女の体温、彼女の声だけが全てだった。

 私たちは夜が明けるまで、何度もお互いの名前を呼び合い、この新しい世界で与えられた二度目の命と、決して変わることのない永遠の愛を、言葉と体温の全てを尽くして確かめ合ったのだった。

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