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無限農業と万能建築で最強国家造ります!愛する彼女と巨大モフモフ精霊獣の無血建国スローライフ  作者: 黒崎隼人


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第13話「永遠の誓いと新国家の誕生」

 圧倒的な暴力と悪意を孕んで押し寄せてきた軍勢が、ただの一度も剣を交えることなく、戦意を完全に喪失して荒野の彼方へと去っていった。

 彼らの背中が巻き上げる土埃が地平線に溶けて消え去るまで、私たちは防壁の上からその光景を静かに見守り続けていた。

 やがて、完全な静寂が荒野に降り注ぎ、それを打ち破るように街の広場から地鳴りのような歓声が湧き上がった。

 私はカレンと深く見つめ合い、互いの無事と勝利を祝うように強く手を握り締めた。

 カレンの指先から伝わる確かな体温と、彼女の瞳に浮かぶ安堵の光が、張り詰めていた私の心を一気に解きほぐしていく。


「街へ戻りましょう、ミユリ。みんなが私たちの帰りを待っているわ」


 カレンが私の手を引いて、大理石の滑らかな階段をゆっくりと降りていく。

 彼女の歩幅に合わせて歩を進めるたび、私の胸の奥からはこの世界で生き抜くための確固たる自信と、仲間たちへの深い愛情が止めどなく溢れ出していた。

 私たちが地上に降り立ち、巨大な木製の門を抜けて街の広場へと足を踏み入れた瞬間、待機していた数百人の住人たちが一斉に押し寄せてきた。

 先頭にいた獣人の青年は、感極まって言葉を発することも出来ず、ただ両手で顔を覆って激しく肩を震わせていた。

 その目からこぼれ落ちた大粒の涙が、乾燥した石畳の上にいくつもの暗い染みを作っていく。

 長い銀髪を風に揺らすエルフの女性たちも、互いの手を取り合って円陣を組み、天に向かって深い感謝の祈りを捧げていた。


「ミユリ様、カレン様……私たちは、あなた方が作り上げたこの奇跡を一生忘れません。血の一滴も流さず、あの恐ろしい軍勢を退けてしまうなんて」


 ようやく言葉を紡ぎ出した青年が、その場に深くひざまずき、私たちの足元に額をこすりつけるようにして平伏した。

 それを合図にしたかのように、他の住人たちも次々とその場にひざまずき、波が引くように広場全体が深い敬意と静寂に包まれた。

 私は慌てて青年の肩に手を掛け、その震える体を優しく引き起こした。


「顔を上げてください。私たちが守り抜けたのは、皆さんがこの街を愛し、共に生きようとしてくれたからです。誰一人が欠けても、今日の平和はあり得なかったのですよ」


 私の言葉を聞き、青年は赤く腫らした目を大きく見開き、再び大粒の涙をこぼしながら何度も深く頷いた。

 カレンが私の隣に並び立ち、凛とした表情で広場を見渡しながら、よく通る澄んだ声で宣言した。


「恐れるものはもう何もありません。今夜は、この街の真の誕生を祝う最高の夜にしましょう。私が舞台を用意します、ミユリは皆のお腹を満たす最高の食事を」


 カレンが両手を高く掲げると、広場の中心にある石畳が波打つように変形し始めた。

 大気を震わせる重低音が響き渡り、地下からせり上がってきた純白の石材と真新しい木材が、目にも留まらぬ速度で複雑に組み合わさっていく。

 瞬く間に、広場の中央には誰もが踊り、歌うことが出来る巨大な円形の舞台が完成し、その周囲には何百人もの住人が座れる長机と椅子が幾重にも円を描くように配置された。

 真新しい木肌から放たれる清々しい香りが、吹き抜ける風に乗って街中を満たしていく。

 私はカレンの作り上げた舞台の壮大さに感嘆の息を漏らし、すぐさま自身の農業スキルを極限まで解放した。

 両手を広場の地面に押し当て、心の中に豊穣の秋と極彩色の花畑を強く思い描く。

 指先から放射状に放たれた緑色の光が長机の上を駆け抜け、何もない木の表面から無数の蔓が一気に芽吹いた。

 蔓は瞬く間に葉を広げ、大人が両手で抱えきれないほど巨大でみずみずしい果実や、太陽の光をたっぷりと吸い込んだ色鮮やかな野菜を次々と実らせていく。

 さらに舞台の周囲には、夜の闇の中で淡い光を放つ特殊な夜咲きの花々を満開に咲かせ、広場全体を幻想的な光の海で覆い尽くした。

 周囲の空気は、果実の濃厚な甘い匂いと、花々の放つ魅惑的な香気で完全に塗り替えられた。

 住人たちはカレンと私が生み出した奇跡の光景に我を忘れ、歓喜の声を上げて準備に取り掛かった。

 エルフたちが器用な手つきで果実を切り分け、獣人たちが巨大な野菜を香草とともに大鍋で煮込んでいく。

 やがて日が完全に落ちて夜の帳が下りると、広場の各所に配置された魔石の灯りと巨大な焚き火の炎が赤々と燃え上がり、祝祭の幕が切って落とされた。

 炎の熱と料理の放つ湯気が混ざり合い、人々の熱気が夜空に向かって立ち昇っていく。

 ポムをはじめとするシロモチグマたちも特別に広場へと招かれ、巨大な白い毛玉の山となって果実を頬張りながら、幸せそうに短い尻尾を振っていた。

 誰もが腹の底から笑い、歌い、音楽に合わせて石畳を踏み鳴らして踊り狂っている。

 私はカレンと手を繋ぎ、燃え盛る焚き火の光を反射して琥珀色に輝く果実の酒が入った木杯を傾けながら、その平和で美しい光景を心に焼き付けていた。


「ねえ、ミユリ。みんなのあの笑顔を見て。私たちがここに来た意味が、今ならはっきりと分かる気がするわ」


 カレンが私の耳元で囁き、その甘く清潔な香りが私の理性を心地よく揺さぶる。


「ええ、私たちが出会うべくして出会い、この世界に呼ばれたのは、この国を作るためだったのね」


 私の口から自然とこぼれ出た『国』という言葉に、カレンは嬉しそうに目を細め、私の手を引いて広場の中央にある舞台の上へと歩みを進めた。

 私たちが舞台の頂点に立つと、住人たちは踊りと食事の手を止め、一斉にこちらへ注目した。

 完全な静寂が訪れた広場で、カレンは深く息を吸い込み、夜空の星々まで届くような力強い声で宣言した。


「今日、この日をもって、私たちはこの土地を誰の支配も受けない独立した国家として宣言します。争いも搾取もない、豊かな緑と愛に満ちた永遠の楽園を、ここに建国します」


 カレンの言葉が終わるか終わらないかのうちに、広場を揺るがすほどの凄まじい歓声が夜空に向かって爆発した。

 獣人もエルフも涙を流しながら互いに抱き合い、私たちの名前を熱狂的に叫び続けている。

 私は胸の奥が熱くなり、視界が涙でぼやけていくのを感じた。

 その時、カレンが私の腰に強く腕を回し、私の体を自身の胸へと引き寄せた。

 衣服越しに伝わる彼女の体温と、早鐘のように打つ心音に、私の理性が甘く溶かされていく。

 カレンの顔が近づき、無数の視線と歓声が降り注ぐ中、私たちは迷うことなく深く唇を重ね合わせた。

 彼女の唇の柔らかさと、吐息に混じる果実酒の甘い香りが私の感覚を完全に支配し、周囲の喧騒が遠くへと退いていく。

 私は彼女の首に腕を絡ませ、この世界でただ一人、永遠に愛し抜くことを誓った運命の人に、自分の魂の全てを明け渡すように口付けを返した。

 夜空には数え切れないほどの星が瞬き、私たちが作り上げた新しい国の誕生と、決して終わることのない二人の愛の誓いを、静かに、そして美しく祝福していたのだった。

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