第5話『甘くて危険!?お菓子対決バトル』
教室に入ると、今日の授業のテーマが黒板に大きく書かれていた。
「本日の授業:スイーツ対決バトル!オリジナルケーキでライバルチームに挑め!」
翔太先生の声に、教室中が一瞬ざわつく。
「え、ええっ!? バトル……ですか!?」
陽菜は思わず小さく息を呑む。心臓がバクバクする。
「落ち着け、陽菜ちゃん。焦る必要はないよ」
隣で隼人が手を振りながらにっこり笑う。
「ふんわりパワー全開でいくしかないっしょ!」
「……ふんわりって万能ワードね」陽菜は思わず苦笑。
さつきは既に戦闘態勢で眉をひそめる。
「今日の勝負は真剣勝負よ。手抜きなし、甘さと技術を全力でぶつけること」
いつきも冷静に微笑む。
「ライバルがいるからこそ、自分の力を試すいい機会です」
そして、教室の奥からあの天野美玲が静かに歩み寄る。
「私も負けません。最高のケーキを作ります」
その自信に満ちた声が、教室の空気をピリリと引き締める。
翔太先生は黒板に今日のルールを示した。
制限時間:90分
材料は自由に選択可能
チームはランダムに分けるが、ライバルと対戦する
陽菜は一瞬固まる。
「え、ライバルと同じチームじゃない……? どうしよう……」
だが隣の隼人が肩を叩く。
「大丈夫だよ、陽菜ちゃん。オレと一緒ならなんとかなるって!」
授業開始のベルが鳴り、教室内が一斉に動き出す。
陽菜は手元のスポンジを確認し、フルーツやクリームを慎重に選ぶ。
「落ち着いて……まずは計画的に」
隣の隼人はいつもの調子で泡立て器を振るい、クリームをふんわりと泡立てる。
「ふんわり~!これで味も香りも完璧になるはず!」
「……ほんと、自由すぎる……」陽菜は心の中で突っ込みつつも、思わず笑ってしまう。
教室の片隅では、美玲が黙々と作業を進めている。
指先でフルーツを正確に並べ、クリームの高さも完璧だ。
「すごい……やっぱりライバルは手強い……」陽菜は焦る気持ちを抑え、隼人と力を合わせて作業を進める。
しかし、ここで思わぬハプニングが発生する。
隼人がふんわりクリームを空高く持ち上げすぎて、陽菜のケーキにぽとりと落下。
「わっ! クリームが……!」
「ふはは、ふんわり飛ばしたぞー!」隼人は笑い転げる。
「もう!隼人くん……でも……どうしよう……」
陽菜は一瞬あきらめかけたが、落ち着いてクリームを整える。
「大丈夫……少し工夫すれば、まだ見栄えを取り戻せる!」
残り時間わずか、二人は息を合わせて仕上げにかかる。
スポンジの層を丁寧に重ね、フルーツの配置を微調整。最後に秘密の材料――香草エッセンスをほんの少し垂らすと、ケーキからふんわり甘い香りが漂った。
「……できた……!」陽菜は達成感で胸がいっぱいになる。
隣で隼人もにこにこ笑う。
「ふんわり大成功!いやー、オレたちすごいね!」
授業の最後、翔太先生とさつきがチームのケーキを一つずつ審査する。
美玲のケーキは見た目も味も完璧で、教室中から感嘆の声が上がる。
「さすがライバル……でも、陽菜ちゃんのケーキも負けてないわ!」
さつきが微笑み、陽菜を称える。
「味のバランス、香り、見た目、全て合格!協力して作った成果が出ているね」
翔太先生の言葉に、陽菜は思わず小さく笑う。
「……やった……!」
教室の外では、朝日が校庭の花々を照らし、甘い香りがそよ風に乗って漂う。
初めてのバトル授業で学んだのは、ただスイーツを作るだけでなく、仲間と協力し、ライバルに刺激されながら成長する楽しさだった。
——甘くて、ちょっと苦く、でも確実に前に進めるスイーツ学園の日々。
陽菜の冒険は、今日もふんわり、でも確実に彩りを増していくのだった。




