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さよならの朝

 旅二日目。新月まで今日を含めて十二日。


 「・・・ん、冷たっってもう朝か。」


 俺は木の葉から垂れてきた水滴で目が覚めた。空を見上げると雨はもう止み太陽が輝いている。


 「んん。よく寝た。あ、でも座って寝てたから色々体が痛いな。」


 俺はぐいっと手を伸ばして横にいるティルディーを見た。ティルディーはまだ寝ている。気持ちよさそうな寝顔で寝ているがもう出発しなければいけない。可哀想だがここは起こそう。俺はディルディーの肩を揺らしながら呼びかけた。


 「おい、ディルディー、もう朝だ。起きろ。」


 「・・・・・。」


 ・・・起きない・・。おっとこれは予想外だ。すぐに起きると思っていた。結構揺すっているがマジで起きない。・・さてはティルディー寝起き寝起き悪いな・・。俺は結構朝強いがどうやらティルディーは弱いらしい。


 ・・・ん?でも昨日かなり早めに寝てたよな・・。ティルディー夜も弱いうえに朝も弱いのか・・。寝るの好きなんだな、ティルディー。


 新たな一面を知れて少し嬉しい反面どう起こそうかの問題が浮上してくる。


 耳元で「あーーーーーーーー」


 と言っても起きないしほっぺをムニムニしても起きない・・。俺は悩んだ末に俺は最強兵器を借りてくることにした。


  これは寝るのを愛している俺の妹ですら起きたんだ。きっとティルディーもこれなら・・・。


 俺は思わずニヤリと口角が上がった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺は最強兵器を村の人から借りてきて、まだ夢の中へお出かけ中なティルディーのもとへ戻って来た。


 そして最強兵器をティルディーの耳元に充てる。


 そうして待つこと数分。ついに時は満ちた!!さぁ鳴くのだ!!目覚まし鳥よ!!


 「コケコッコーーーーーー!!!!!!!!!!コケコッコーーーーーーーーー!!!!コッコーコッコーコッコー(エコーーーー)」


 「うわわわあわぁぁぁ!何!?敵襲!?」


 ティルディーは勢いよく目を開けた。


 「お!起きたな!おはよう!」


 俺はいまだ状況を理解できてないティルディーに向かってあいさつをした。


 「お、おはよう・・。ってまだ朝早くない・・?ニワトリ鳴くのって朝早くだったよね・・・?」


 ・・・まぁそうだな。でも俺はいつもこのぐらいの時間に・・・。ん?これって俺の感覚がおかしいのか?でも村の人ももう起きてたよな・・・。


 やっぱりティルディーが遅いだけか・・?そうだよなだってもう四時半だし日は上ってるしな。


 「まぁ細かいことは気にせずにさ、フィニーも待ってるよ。もう、関所へ行く時間。」


 俺は考えるのを止め事実を伝えた。とりあえず自分より年下のフィニーが起きていてましてや待ってると知れば飛び飽きて準備をするだろう。


 「え、待ってるの!?それを早く言ってよ!あぁもう髪とかとかしている時間ないじゃーん。」


 嘆きながらティルディーは猛スピードで支度を終わらせている。


 ・・・女性の支度には時間がかかるというが・・・これはうん。早すぎるな・・。もう神的領域な気がする・・。


 そして準備を終えたディルディーが勢いよく立ち上がった。


 「よしっ!!!終わった!!!」


 おぉわずか五分ですべて終えている・・・。すごい・・・。


 そしてティルディーはフィニーを探しているのか辺りを見回す。


 すると何かを見つけたように俺の手を引っ張った。


 「いたよソアン!フィニーが手を振ってる。」


 嬉しそうにティルディーは言った。


 「そうだな、待たせたことだし、じゃあ行くか。」


 俺も立ち上がりファニーの方へ歩く。


 「おはよう、フィニー。」


 「おはようございます冒険者のお二方。すみません、お金に困っているのは知っていたのですがまさか一文無しだとは思わず。」


 フィニーは申し訳なさそうな顔をして言った。なんかこう言われると本当に金がないんだなって実感する・・。あぁ金の雨とかふってこないものかねぇ・・。でも金貨が大量に落ちてきたら痛いな・・。うん。この話は終わりだ・・。


 「いやいや、言わなかったのこっちだからそれに俺たちは冒険者だ!野宿には慣れているさ」


 俺はなぁと言うようにディルディーを見た。


 「うん!へっちゃらだよ!」


 むきっと腕を見せるポーズをしているが・・ティルディー君にムキムキ筋肉はないだろう・・。


 「そうですか・・よかったぁ、あ。そうだこれお二人にあげます。」


 フィニーから二つの耳飾りをもらった。

 

 「これは?」


 「悪いものから身を守ってくれるお守りです。昨日のお礼です。」


 ニコッとフィニーが笑った。


 「ありがとうフィニー大切にする。」

 

 俺はフィニーの頭を撫でた。


 「もう、子ども扱いはやめてください。あそこで父が待っていますので。」


 ・・・昨日はいいのに今日はダメなのか・・女子はわからんなとだった。


 心の中でしょげたがまぁしょうがない。ふられてしまったのだし・・。


 フィニーが指をさした先には


 三十代くらいの男性が手を振っていた。


 「あなた方が!フィニーから話は聞いています魔物の件ありがとうございました。」


 男性は帽子をとり深々とお辞儀をしてきた。


 「いやいや、こちらこそ馬車で関所まで送っていただけるとのことで、ありがとうございます。」


 俺もフィニーの父親に礼をする。つられてディルディーもペコリと頭を下げる。


 そう・・・もう送ってもらえるだけでフィニーの父親は神に等しいのだ・・。ほらもう光っている。後光がさしている・・・。


 「では、いきましょうか、乗ってください。」


 そう言われて俺たちは後ろの台車に乗り込んだ。


 「じゃあね冒険者さんたち!」


 フィニーが元気よく手を振っている。どうやら彼女とはここでお別れのようだ。昨日の少年、ジークは見当たらないがいないのならしょうがない・・。


 「あぁまたな!」


 「元気でねフィニー!ジークにもよろしくー!」


 俺たちはフィニーに向かって手を振った。振っているうちに馬車が発車した。俺たちはファニーの姿が見えなくなるまで手を振り続けた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 余談だが馬車に揺られているときに昨日のトナカイの魔物と出会った場所を通った。


 そしてほんの少ししか見ることはできなかったが仲良く遊んでいるジークとトナカイの魔物の姿が見えた。楽しそうな笑い声をあげて。幸せそうに遊んでいた。

 


 

 


  

 

 

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