最後の戦い part4
(あぁ。ここで私は死ぬんだ・・)
長いようで短い人生だった。
魔王様に作られて、魔王様のために生きようとしたのに私よりも早く死んでしまって。
あの時魔王様に作られた私たちもそのまま死ぬはずだった・・だけど。
星を食べたら死ななかった。
死にたかったのに死ねなかった。だが絶望と共に可能性も感じた。
死ななかったということは、もしかしたらまた魔王様に会うために生きなければいけないのではないかと。
私はそのために色々な魔法の知識を身につけた。
その最中ある文献を見つけた。
『体の一部を使いその者を蘇らす』
私はこの文献を隅から隅まで読破し、その魔法を習得した。
魔王様の肉体の一部は埋葬するために持っている。あとは中身の魂さえ手に入れることができれば魔王様を再び蘇らせることは可能だ。
私は魔王様に再び会えるという可能性を信じ学び続けた。
それと同時に魔王様の魂を探す準備もした。
何十年何百年かかったっていい、一度だけもう一度だけ会って話をしたいんだ。
私はその一心で魔法を学び、魔王様の魂を探した。
・・そんな時だった。あの二人組と会ったのは。
旅をしている二人組で、何やら魔物の討伐で来たらしい。幻惑の魔法を使い姿を隠そうとしたがその時気配がした。ーー長年感じていなかった魔王様の気配を。
私は幻惑の魔法を使わず、あの二人組が私の住家へやってくるのを待った。
しばらくしたら私の住家へとやって来た。
二人組と・・もう一人子供がいて、私が人を襲うなどの質問をされたが私はそれどころではなかった。やはり二人組の女の方。金髪で赤目の女は魔王様の魂を持っていた。
私は嬉しくその二人組と子供が去った後どうあの娘を捉えようか悩んでいた。
実は数日前冒険者とやりあったせいで魔力が全快していない。
私は星の魔力とは相性が悪いのか魔力の戻りが他の魔物達よりも遅いのだ。
すぐに魔王様に会いたいが、体力が回復していない以上あの娘を捉えることができない。
(すぐには無理なら、各国の魔物達に声をかけるか?)
だが大事にして大人数の人間たちに攻められたら私たちは死んでしまう。
(なら、あの娘や仲間であろう男の周りを調べて交友関係や家族などを探しておびき寄せた方がいいかもな)
そこから私は人型の姿になり、あの人間を捉えるように仕向けた。
どれも失敗で終わったが。
だが魔力が全快したころ魔王城付近であの娘の気配がした。
あの場所は人気がない。
騒がれたとしても援軍が来ることはないだろう。
(狩りにうってつけな場所だな)
私はそう思い魔法で攻撃をした。あの時よりも仲間の人数が増えているが恐らく大丈夫だろう。
ーーーそう思っていたが。
(私も弱くなったものだな)
昔は人間が何百人襲ってきても返り討ちにできていた。だが今はたった四人の人間に追い詰められている。
そしてこの場で命を散らす。
ーー死ぬ前に一度でも魔王様に会いたかっただけなのだが
それも叶わぬらしい。
私はうっすらと目を開け見えた空を見てそう思った。
もうこの世に魔王様がいないのだから会えるはずもない。
もしかしたら死んで会えるかもしれないが死んだら所詮無だ。記憶何て持ち越せず魔王様と会っても分からないだろう。
(だったらやっぱり・・声だけでも)
「・・・ボン?」
「え?」
今・・魔王様が呼んだ気がする。声は違くとも私をそう呼ぶのは魔王様しかいない。
「やはり・・ボンか?」
聞き間違いじゃなかった。魔王様が話しかけてくれた。死ぬ前に呼んでもらえた・・。
私は嬉しさのあまり涙を浮かべた。だってもう聞けるはずのない言葉だったから。
どのようなカラクリなのだろうと視線だけを声のした方に移すと金髪で赤・・・名前はそうだ。ティルディー、がこちらに歩いてきていた。
ティルディーの気配がするが、雰囲気が先程とは違う。雰囲気がこの娘ではなくなっているということは念がこの娘に宿ったのだろうか?
いや、この娘は魔法を使っていた・・・ということはこの娘の魂が星なのだ。そして入れ替わった何者かがいる。・・そうだ調べたじゃないか。
ーーなら
「魔王様は生まれ変わって生きていたのか」
この娘が成り代わっている辺りもう魔王様はこの世に存在していないのだろう。
ただ魔王様の想いがこの体に残って語り掛けてくれているのだ。
(それだけで、私は嬉しい・・魔王様がまたこの世界で生きていたという事実が・・)
人が死んでその人の体内から魔力が無くなるには一週間かかります。
なので魔王から作られた魔物達も大半は一週間生きて死んでしまいました。(星を食べていない魔物達)




