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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
九章 過去の記憶編
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過去の記憶 part3

 (探し続けたが・・あいつは見つからなかった)

 俺は・・誰を守りたかったんだ?絶対に守りたかった人がいたはずなのに思い出せない。


 「魔王様。南の国、全地域制圧完了いたしました」

 「そうか」


 ”魔王”俺はここ数年そう呼ばれていた。守りたかった奴を探すために各国探し回ったが、それらしき奴はいなかった。

 もしかしたら、また誰かに虐められて隠れてるのかと思い、俺は守りたかった奴を探すため。守りたかった奴を虐めた存在を消すため、俺は世界を支配し始めた。

 魔法を使い魔物・魔人を作り上げ、各国の制圧に向かわせた。部下が制圧している間、俺はあいつを探していたが・・数年経った今でも見つからない。

 (それに俺に守りたかった奴なんて本当にいるのか・・?思い出せないのに・・・でも・・・。俺の名前は魔王なんかじゃなかった気がする。もっと・・違う名前だったような)

 ・・いや考えるだけ無駄だ。どうせ思い出せないのだから。


 .。o○.。o○.。o○.。o○


 ・・・世界を支配し始めてどれくらいの月日が経ったのだろう。最後に食事した日も、寝た日も思い出せない。

 目の前には俺を倒しに来た勇者一行がいて、さっき勇者と思われる男に急所を刺された。魔術で治すことも可能だがもうそんなことはしない。もう生きている意味もよく分からない。こんな世界どうでもいい。だから俺は・・俺は・・


 「・・・?」


 今何かに抱かれたような気がする。こんな感覚久しぶりだ・・

 俺はゆっくりと目を開けその正体を見ようとした、だが見えたのは微かな光だけだった。なんとなくその光こそが俺が守りたかったものな気がした。


 俺は光に包まれながらそっと目を閉じた。


 .。o○.。o○.。o○.。o○


 (・・・もう見ることができない・・)

 見れる記憶が終わってしまったのだろう。それにしても・・・悲しい過去だった。

 でも最後に影は光を見たと言っていた。記憶の持ち主が姿を認識していないと僕も姿は分からないけど・・。

 (あれって僕だったのかな?)

 光ってる・・たまたま朝日に照らされていてそう見えただけかもしれないし・・。まぁ僕も前世の記憶を全て覚えているわけではないので確認するすべはないが・・。




 (・・光が見える)

 そろそろ僕の体が目を覚ます。

 僕は段々と意識がはっきりとしてくる感覚を感じ、ゆっくりと目を開けた。まず視界に映ったのは空だ。とても澄んでいる青空。

 次に映ったのは人影だった。

 

 「・・!ティルディー様!?」

 「・・・あ・・・」

 「えっティルディー様!?泣いているんですか?どこか辛いですか?」


 (泣いている?)

 僕は自分の頬に触れた。すると流れてきた涙が指先に当たった。

 この時僕は初めて自分が泣いていることに気づいた。なんだか気づいたらもっと悲しくなってきてどんどん涙が目から溢れてくる、


 「ーーっ。う・・あ・・」


 自分でもどうしたらいいか分からない。もしかしたらこれは影の感情なのかもしれない。とてもとても悲しい記憶から伝わる感情・・・

 (影・・救えなくてごめんね)

 一緒に居られなくてごめんね。独りぼっちにさせちゃってごめんね。僕を守ろうとして辛い目に合わせてごめんね。弱くてごめんね。

 たくさん影に謝りたいことがある。前世だけど、もう過ぎてしまったことだけど、記憶が無くなるわけじゃない。

 想いはずっと残る。だってこうやって影の杖が影の想いを教えてくれたから。


 僕がずっと泣いているとキラが呼んだのかソアンとスフィーニアが走ってやってきた。

 

 「ティルディー!目覚めたって本当・・ってえ!?大丈夫か?」

 「ちょっと兄さん!ティルディー様泣かせないで!」

 「誤解です!・・ってわ!」


 僕が泣いているのを見てか二人は驚いているが(多分キラも)、そんなことはどうでもいい。

 僕は後から来た二人とキラをまとめてハグした。

 (ちょっとだけ。今はここに誰かがいるって。いなくならないって、そう感じていたい)

 

 独りぼっちは怖いから

 

 三人は困惑していたけど何も言わずに抱き返してくれた。

 

 ーーーーーーーーーーー


 「・・・で?落ち着いたか?」

 「うん。ごめんね、迷惑かけて」

 「別にいいって。体調とかは?なんともないか?」

 「それは大丈夫・・」


 主に心にダメージがあっただけで、実体には影響無いはず、多分。


 「んじゃ話してもらいましょうかね。何をしてきたのか・・」

 「・・・」


 話すのは良いのだが、どこから話すべきだろうか。まぁどこからでもいいか、きっとこの三人ならちゃんと聞いてくれるだろうし。


 「じゃあ話すよ。ーーー僕が見てきた記憶についてーーーー」




 


 「「「・・・」」」


 話した後なぜか三人とも一言も話さなくなってしまった。そんな重い話じゃ・・重いか。

 やっぱり重要な所だけ話せばよかったかな?んーーでも全部重要な話だし、省略するのは違うような。


 「・・・なぁ影ってやつが魔王だったってことなんだよな?」

 「そう」

 「あの・・僕の点よりも、ティルディー様がなぜ狙われるかがまったく分からなかったんですけど」


 あぁ・・そう言えば、ここへ来る道中に「もしかしたらリボン様が僕を狙う理由が分かるかもしれない」と話した気がする。

 よく覚えてたなキラ・・


 「それはね僕の魂が目的だと思う」

 「魂?」

 「そう・・スフィーニアが旅に加わる前、シリルの・・・東の王家関連で魔物と戦ったでしょ?あの時魔物がシリルの妹の姿をして出てきたじゃない?」

 

 シリルから依頼を受けた事件のことである。あの時は王家の秘密を暴いた後、シリルの双子の妹、ルビアの姿となって人々の前に魔物が現れたのだ。

 

 「それと少し似ていて、あれは多分ルビアの髪の毛とか、血の一部を使って肉体を再現していたの。まぁ死体の一部を使ってたからほぼ幽霊みたいなものだったけど。今回はその魂バージョン。これは推測だけど魔王の部下が魔王の魂を蘇らせようと僕を狙っているんだと思う。元は僕と魔王って同じ魂だったわけだし」


 これに関してはあくまで推測だが。でも信憑性は高いと思う。

 僕は魔王の部下についてよく知らないけど、全滅は・・多分していない。きっと彼らは魔王を蘇らせようと必死で僕を捕まえに来ているはずだから。

 





記憶を見ることができる魔法で見ることの記憶は、持ち主の意識があるときの記憶です。なので寝ているときとか、無意識の行動などは見ることができません

ーーーーーー

前世のティルディーと影のエピソードですが、もしかしたら本編完結後、短編として投稿するかもしれません。

(二人の過去内容はこれで終わりなので…)

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