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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
八章 誰かの願い編
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誰かの願い part11

 魔人はまだ倒せていない。僕は短剣を構えて魔人を見た。城との戦いに似ているけど、城の時は死体に乗り移っていた魔物だったからまた勝手が違う。結婚式場の時の魔物でさえ戦いのときは魔物の姿だった。なのに戦いですら人型を取るなんてどんだけ魔力があるんだよ。


 ーーソアンさんだってさっきの敵の大型の魔法で体力が消耗している。まだ余力のある僕がもっと攻撃しなければ。


 僕は煙幕を魔人に向かって投げた後。基礎的な魔術で風を作り出し。短剣に風を纏わせた。

 (鋭く、鳥の・・ハヤブサのように、速く、速く・・・ここだ!)


 僕は走りながらタイミングを考え、煙が一瞬だけ薄くなった時、魔人に向かって短剣を発射させた。初めてやってみたが案外成功するものだ。まぁ、まだ成功したかは分からないが。

 僕はじっと煙の向こうにいるであろう魔人を見る。一瞬だけ姿が見えたが、風の流れが変わりまた姿が見えなくなった。ーーが煙の中から何かが光った。いや、光っている。僕は目を凝らし光っているものの正体を突き止めようとする。


 「ーーーっ!雷か!」

 

 雷を纏った石が僕の方に向かってきている。僕と同じような攻撃方法・・もしかしてさっきの仕返しか?面倒くさいな・・僕は雷の石を短剣でたたき切る。だが強い雷を纏っていたせいか少しだけ手がピリッとした。直撃しなくて良かったけど、もう一発来たら避けきれるか分からない。少し食らっただけでもう感覚が鈍くなっている。

 でも仕返しをしてきたということはさっきの攻撃は当たっていたのだろうか。ならあの攻撃を何回か仕掛けたほうが有効的か?と考えた。が、敵は考える時間すら与えてくれないようだ。一気に煙が無くなった。水の魔法で煙を吸収?いや。風の魔法で蹴散らしたな。

 僕は真正面にいる魔人に剣を向ける。僕の斜め前には先程、上空から落下してきたソアンさんがいる。体は魔人に向けたまま視線をソアンさんに移すが、思いの外元気そうだ。


 (これならもう少し無茶できそう・・)


 僕はそう考え短剣を十本程出現させ魔人に向かって投げる。そのあとすぐに魔人の真上へと飛んだ。ソアンさんも攻撃のチャンスと思ったのか魔人と距離を詰めている。

 僕は真上に飛んだ後、呪文の詠唱をし、魔術を発動させる。使う魔術はーー火だ。相手が仕返しをするなら僕だって魔術で返してやる。だけど僕の場合、ティルディー様のような大型の魔術は使えないから威力は落ちるが。


 「くらえ!」


 僕は火で魔人を囲った。魔人はどんどん火の勢いが強くなる円の真ん中にいる。そして動きを封じたすきに短剣で首元を刺した。深くまで刺さったのか、魔人は暴れだした。


 (ちょっ、流石にここで暴れられると僕にも火が・・)


 魔術を解除することも考えたが、ここは正念場だ。盛大に叩きのめさなければ。僕は短剣をもう一本取り出し、背中を思いっきり切りつけた。これは毒が塗ってある剣だ。効くかは魔人次第だが、まぁ実験として使ってもいいだろう。僕は毒を魔人に打ち込んだ後、魔人の肩を蹴って後ろへ下がる。


 「キラ!このペースで行くぞ!魔人も、もう人型じゃなくなってる!」


 僕が丁度後ろへ下がってきたとき、にソアンさんがそういった。僕は息を整えた後、魔人を見る。

 (・・本当にもう人型じゃない)

 目の前にいるのは身長二メートル以上はあるであろう熊の形をした魔物だった。人型を解いて、力が戻ったのか、また魔方陣を展開していた。さっきの火の魔術はまだ解除していなかったので、魔法でそれを消すつもりだろう。だけどそうはさせない!

 僕は短剣を握りしめ、魔物の脇腹に一撃を入れた。だが、それと同時に魔方陣から出た氷の攻撃を食らってしまった。傷口から魔法が侵入しているようで、体が少しだが寒い。このまま行けば凍死するかもしれないが、そんなことどうでもいい。だって僕の命はそう簡単に失われるほどやわじゃない!

 僕はソアンさんが魔物の魔法を対処してくれている間に魔物の足を切り落とす。僕の背中も魔物の爪で引っかかれた。魔物の死ぬ条件は生命停止。心臓でも一突きすれば簡単だが、魔物の心臓は固く、剣なんかじゃ壊せない。魔術を使っても無理だ。


 (本当に。どんな体のつくりをしてるんだ魔物は)


 僕は舌打ちをし、魔術で炎を纏った剣を作り出す。それを思いっきり振り上げ魔物に振り下ろした。僕は今最上級に怒っているから手加減はしてやれない。だけど精一杯のお返しだけはしてあげよう。


 「さようなら。魔物さん。どうか悪い夢を見ますよう・・炎に包まれる夢とか・・ね」


 そう言い残し、僕は魔人の腹あたりを突き刺した。


 ーーーーーー


 「たお・・倒した」


 俺は地面に膝をつき魔物を見た。魔物はびくともしない。俺は緊張の糸が切れたのか、一気に疲れが押し寄せてきた。手も足も、体中が悲鳴を上げている。そんな俺を見てか、それとも気まぐれか、キラは俺の目の前に袋に入った粉を見せてきた。

 (確か、このパッケージは回復薬だった気がする・・)


 「ソアンさん、これ気休めですけど回復薬です。飲んでおくと傷の治りが早くなりますよ」

 「ありがとう。助かるよキラ」

 

 俺はキラから回復薬を受け取り、口に放り込んだ。


 (・・う、苦っ・・)


 俺は思わず顔をしかめた。回復薬・・冒険者の中では必須アイテムだが、正直言って俺は持ち運びたくない。だってこの回復薬苦いし。だが苦いからなのか効き目は物凄くいい。通常治るのに一週間ほどかかるケガが二日で完治する。そのためケガをしてもすぐに治る!と好評らしい。


 (治りが早くなるのはいいんだが、もう少し苦みを抑えてほしいものだ)


 せめて粉ではなく、固形ならまだいい。固形の場合飲み込んでしまえば味がしないし。ーーお。そんなことを考えていたら口の中の苦みが少しだけ和らいだ気がする。気だが・・。


 「ねぇ、ソアンさん。もう立てますか?そろそろスフィーニア達の様子を見に行こうかと思っていて」


 キラは俺の顔を覗きそう言った。気のせいかもしれないがその表情には若干の焦りがあるように思えた。それに。俺も本調子じゃないティルディーのことや、ルチャードとティルディーの手当てをしていたスフィーニアのことが気になる。まだ動くのはきついが、せめて四人の無事を確認してから休もうと思った。


 「あぁ。立てる。・・そうだな、ティルディーやスフィーニアも無事だといいんだが」


 俺はゆっくりと立ち上がり、先を歩くキラの後を追った。

 (今更だが、なんでキラそんな体力あるんだ?)


 俺と同じくらい怪我も負ってるし、動いていたよな?なのにピンピンとしている。不思議だ・・。後で体力の秘訣を聞いたら教えてくれるだろうか?・・・いや「企業秘密です」とか笑顔で言われる気がするな。うん。

 俺は小さな疑問を胸にしまった。


 ーーーーーーーー


 「あ、兄さん!ソアンさん!」


 俺とキラが元の場所へ戻ると、すごいことになっていた。まず、スフィーニア達のいる場所一帯が荒れている。木が倒れていたり、折れていたり。なんかすごい。

 それにスフィーニアが知らない男・・いや知っている男だ。ここへ来る前に戦った使用人を踏みつぶしていたり・・・混沌としていた。


 「ーーーえっとまず説明してくれ。何があったんだ?」

 「あーそれはですね・・・」


 まず状況が知りたかった俺はスフィーニアに説明を求めた。するとスフィーニアは俺たちとが魔人と戦っている間の出来事を分かりやすく話してくれた。


 ーーーーーーーーー


 「え!?この人が襲った!?」

 「そうです。いきなり襲ってきて・・ティルディー様と私もボロボロですよ」


 スフィーニアはやれやれという感じだった。でもおかげで状況を理解した。なんで魔人とここにいる人達を離したのにこっちまでボロボロになっているんだ?と疑問ではあったのだ。そういう理由があったとは。


 「ーーじゃあ早く出口を探して、手当てをしてもらわなきゃな・・トバッシュ子息やティルディーは早く医者に見せたほうがいいだろ・・」


 ティルディーに関しては呼吸も浅く危険な状態な気がする。元々体調崩してたしな・・俺は地面に寝そべっていたティルディーをおんぶする。スフィーニア嬢はフィルア嬢を抱え、キラはトバッシュ子息をお姫様抱っこした。赤髪の使用人は、縄できつく結び、スフィーニアが引っ張っていた。

 (これで・・・戦いは一段落したが・・・リボン様が関係あるか調べておいた方がよさそうだな・・)



キラが少年漫画の主人公のようにやる気に満ちていたのは、仲間が傷つけられていたからと、スフィーニアがめっちゃくちゃ心配だからです。


あとキラは魔術を少しは使えます。というか天才肌なので一回見ればどうにかなります。


↓四人の中で魔術に長けているランキングを作るとこうなります


1 ティルディー(魔術師ですし(魔女?))

2 キラ(魔術師というには実力が足りないが、結構魔術は使える)

3 スフィーニア(兄の影響で少しだけ使える。けど学校で習うような基礎のみ)

4 ソアン(ほぼ使えない。学校で習うような基礎ぐらいだが、基礎もすべて使えるわけではない)

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