誰かの願い part8
「お前らに用はないそこをどけ」
「いいや。どかないね、なにせ友人がお前にとっても世話になったみたいだから」
俺は魔物‥魔人に向かって不敵に笑った。そうだ。ティルディーなんてボロボロだった。それなのにコイツをタダで帰してやるもんか。
「そうか。なら仕方がない。・・・っ」
魔人は無言で右手を宙に上げると杖が急に現れ、その数秒後、無数の石が俺とキラを襲った。
「さ、さすがに多すぎます」
キラはそう文句を言いながらも短剣で斬りつつ、横に短剣を投げたりして俺の方にある岩を数十個切ってくれた。ーー俺も投げる系の剣があったらいいんだが・・
まぁ俺実を言うと投げる系の技術は皆無だ。キャッチボールをしたら秒で変な方向にボールを投げてしまうぐらいには苦手だ。なのでキラに対して憧れがある。本人に言ったことはないが。
「ーーキラっ!少しだけこの石任せる!」
「任せーーえっ!?任せられても十五秒ぐらいしか持ちませんよ!」
それだけあれば十分だ。さすがにずっと石の攻撃を防いでいるだけじゃ魔人になんのダメージも無い。せめて一撃でもと思い石をキラに任せた。
それに戦っていて気づいたことだが、この魔人。細かい作業が苦手な気がする。最初の火の雫も今の石の攻撃も全て物量で押し切っている。俺の見た限り魔人の魔力量は今ままでの魔人よりも多い。
ーーが技術が足りない。ならこっちが技術料で押し切れば行ける可能性もある。
「よっし・・ここだ!」
「・・・!ちょこまかと・・」
俺は姿勢を低くし魔人の胸辺りを目掛けて素早く突き刺した後、そのまま俺は剣を持ちながらバク転をした。剣は胸あたりから肩あたりまでざっくりと切れていた。
よしっ
俺は心の中でガッツポーズをした
ーーだが
「ソアンさん!!!上!」
キラが泣きそうな顔で俺に向かって叫んでいた。
俺は上を向くと俺の上には青い火の薔薇が真上にあった。
やばい・・これは避けられない。
ーーーーーー
「やったぁ・・・」
攻撃し続けていたらやっと結界が壊れた。結界が脆くなっていたのが幸いだった。これでティルディー様の手当てができる。スカートの裾はこれ以上破ると下着が見えるので、シャツの腕部分を破った。
そしてトバッシュ令息にしたようにグルグルとティルディー様の胴体に巻きつける。フィルア嬢は見たところ無傷だたので一旦放置だ。
まぁフィルア嬢の上着を脱がせたら、内側のポッケトから動物の死骸が出てきたのには驚いたけど。
「・・大丈夫だよね?」
ソアンさんと兄さんが敵と戦ってくれているからっていつまでもここが無事なわけじゃない。せめてこの三人をどこか無事な所に避難させなきゃ。
『精霊よ 我が声に応え 物体を移動せよ』
私は呪文を詠唱し三人を少し浮かばせた。実は私。簡単な魔術なら使えるのだ。
でも長くは続かない。本当に少ししか私には魔力がないのだ。この浮遊魔術だって十分は持たない。せめて十分で遠いところまで移動できればいいーー!
「ーーっ」
突然誰かに切りかかられた。急いで薙刀で受け身を取ろうとしたけど間に合わず腕が少し切れた。まずい、守らなきゃいけない人が三人いるのにここで敵襲は・・
「お嬢様から離れろ!!!!」
「ーっ」
フードを深くかぶっていて顔は見えないがこれは聞き覚えがある。この人は、私たちを一番初めに案内した使用人だ!
「あなたこそ、ティルディー様達に近づかないでください!」
私は相手の足目掛けて薙刀を振り下ろす。この人は剣を使う。足や手を使えなくなさせればまだ、私が有利になる。
でも。
「お前らを始末させないと。お嬢様は、お嬢様は」
「ー!もう、なんなんですか!」
連続の斬撃で攻撃することができない、受け身が精一杯だ。一旦距離をとりたいけど後ろに下がるとティルディー様達がいる。私が下がることでみんなを危険に晒してしまう。
「お前らが。この依頼を解決しちまうとお嬢が危ないんだ!だからここを退け!せめてお嬢様だけでも返せ!」
「ど、どういうことですか!貴方に渡したらフィルア嬢だって危険でしょ!?それに今、私の仲間やフィルア嬢は魔物に襲われました。」
私は混乱した。だってフィルア嬢、ティルディー様、トバッシュ令息らが魔物に襲われていたところを私達が駆けつけたのだ。
それに私達が抱え来る前、目の前にいる男に襲われた。ということは魔物と男は繋がっている。なのになぜ敵にフィルア嬢を渡さなければいけないのか理解できない。
「お嬢様がいなきゃ、殺されるんだ。フィルア家が全員。だから、お嬢様を返せ!」
ーっ勢いが強くなった。だけど話している最中に少しだけティルディー様達から離れることができた。これなら一回後ろに下がってから体制を整えることができる。
私は男の攻撃を上に受け流し、後ろへ下がった。薙刀は長さがある。だからあまりにも距離が近いと使いにくい。
構え直して、戦う!だけど次に男を見た時にはもう目の前にいた。
「ぐっ、な、なんで?」
「は、なんでだろうな。・・んじゃそろそろお遊びも終わりに・・」
「はっ、だめっ」
まずい。押されてる。ここで引くわけにはいかない。だって私は。みんなよりかは弱いけど、守りたいものがあるから!私は引かない
でも、もうこのこうげきは防ぎきれないと思った時だった。
私に攻撃は来なかった。目の前には水の結界が張ってある。・・・私は急いで後ろを向こうとそこには杖を構えたティルディー様がいた。
「大丈夫?スフィーニア」
「ティ、ティルディー様・・」
私は目が熱くなる。やばい泣いちゃうよ。だってティルディー様がいれば安心するもん。
私は負けないって思える。私は弱くなんてない、無敵なスフィーニアだって思えるんだ。
でもティルディー様は怪我を完全には治していない。まだ傷が残っている。なんで立ってられるのか不思議なぐらい。
「大丈夫だよスフィーニア。僕だって戦うよ。友達が傷ついてるんだもん。戦わせて守りたいもののために」
「ー!」
私は不器用に笑うとティルディー様の隣に立った。私達で・・みんなを守るために。




