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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
八章 誰かの願い編
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誰かの願い part6

 「はぁーっ、はぁー・・ここ近辺にはいないな・・どこか見落としているのか?」


 俺は流れてきた汗を腕で拭う。フィルア家の周辺を手分けして探したがティルディーとフィルア嬢はいなかった。まだ探していないのは・・昨日フィルア嬢を見失った場所くらいだ。

 

 でも、あの場所には怪しいものは無さそうだったし・・。いや、念のためだ一応見ておくか。俺は昨日フィルア嬢を見失った場所へと走った。


 ーーさっきいた場所からフィルア嬢が消えた場所までの距離は近かったので数分でたどり着くことができた。


 「・・やっぱり、いないか・・」


 周りを見渡してもいない。手に持っていたランプで照らしても怪しいものは見つからない。ここも違ったか・・と思い他の場所を探しに行こうとしたとき視界の端で何かが光った気がした。

 気になり、光っていた場所へ向かう。


 「ーーっこれ」


 俺の視線の先にあったのは昨日見つけた魔法陣らしきものだった。・・昨日は光ってすらいなかった。それに昨日と違う点としては、目の前にある魔法陣らしきものは魔法陣として機能している。でもなんで?


 「ソアン様。何かありましたか?」

 「ー!?」


 俺は声がした方に視線を移す。そこへいたのは赤髪の使用人だ。一緒にティルディーとフィルア嬢を探していた使用人。一般人かと思っていたが今気配がしなかった。ーー俺は冒険者、気配には敏感だ、数メートル範囲に人や魔物がいれば気づく。なのに・・・


 「いや。何もない・・。ここら辺には二人ともいないみたいなので、あっちの街の方も探・・!」


 警戒しつつ相手の気を逸らそうとした、が。その時に彼の腕の魔力反応に気づいた。あの魔力反応はティルディーのだ。学校の授業でしか魔術を勉強していない俺でもわかる。間違いない。この人は何か知っている。


 「あの・・急なんですが。ティルディーがどこに行ったのか知っていますね?」

「・・・本当に急ですね」


 少しだけ微笑んでいた表情は彼から消え鋭い冷たい顔、視線へと変わる。俺の危機察知能力ベルが大きく警鐘し剣を構える。


 ーー!来る!


 俺は姿勢をかがめ相手の間合いに入る。すると彼は俺の背中を土台に飛んだ。まずい、背後を取られるわけにはいかない。俺は片足を回しバランスをとる。そして勢いをつけた足を相手のみぞおちに向かって蹴る。


 だが、そう上手くいくはずもなく相手は詠唱を始めた。・・・相手は魔術師なのか。今は魔力封じを持ち合わせていない。・・まぁいつも持っていないが。あれ持ってるとティルディーが嫌がったんだよな。出会ったときとか警戒心が強かったから自分に使うんじゃないかって警戒して。


 ま、そんなこと思い出してもどうにもならない。それにあの貴族の魔術師とも戦えたんだ。俺は深呼吸をし、彼・・赤髪の使用人に向かって剣を振り下ろす。赤髪の使用人は杖を振るい、土の弾丸を作り出した。土の弾丸は俺に向かって放たれる。

 俺は攻撃をいったん止め俺に向かって来る土の弾丸を切り落とす。そして数十個を切り落とし前へ走る。相手が次の攻撃をする前に剣で彼の肩を突く。が、あまり深くは刺さらなかった。風の結界で剣が止められたからだ。

 風の結界は剣と相性が悪い。理由としては剣が風に取り込まれるからだ。俺は剣が取り込まれる前に剣を引き後方へ下がる。ーーーさすがに魔術師と一対一はキツイ。これじゃあ消耗戦だ。いや、その前に俺が殺られるかもしれない。一旦引くか?と思った時だった。


 「ソアンさん!大丈夫ですか!」

 「私たちも加勢します!」


 キラとスフィーニアが来てくれた。多分近くで大きな音がしたから様子を見に来てくれたのだろう。


 「助かる。相手は魔術師だ。油断はーー」


 キラとスフィーニアに手短に情報を伝えようとした時だった。相手はニヤリと笑い俺たちの真下に魔法陣を発動させた。


 「!?」


 ここにもあったのかよ、内心舌打ちしつつ、せめて二人を逃がそうと手を伸ばした。だがその前に光に包まれ前が見えなくなった。手に感触がない。多分二人を逃がせなかった。


 次に目を開けると森だった。


 「・・・森・・」

 「森ですね、とっても広い」


 「霧もすごいですね・・ここに昨夜、フィルア嬢がいたのでしょうか?」

 「そうだな・・」


 確かに霧が濃い。近くにいるキラとスフィーニアの姿も見えにくい。数歩離れたら姿が認識できない気がする。ーーーティルディー、フィルア嬢・・ここにいるのか・・?


ーーーーーーーーー


 「あの・・姉さま。もう大丈夫です」


 寂しそうなルチャードに何かしてあげたくて、ずっと抱いていたのだ。


 「あ、そう?でも良かった。今のルチャードすごいいい笑顔だよ!」


 「そ。・・そうですかね?」


 そうはにかむルチャードは出会った頃のルチャードとは違った。何かが吹っ切れたような顔をしている。僕も震えは消えた。


 「さて・・・これからどうしようかね。」


 なんとなく魔力の気配がする。この空間自体が魔法でできているような。相手の巣に潜り込んでいっているような気がする。


 「・・あ」


 「?どうしたの、ルチャード」


 僕が脱出について考えているとルチャードが声を上げた。それもどこかを見ながら。


 「いえ。その・・見間違いかもしれないんですが、今フィルア嬢がいた気がして」


 フィルア嬢が!?と思わず驚きの声を上げようとしてしまった。だがここが敵の陣地なら自分の場所を知らせるような行動はとらない方がいいに決まっている。僕は魔法で望遠鏡のようなものを作り出しルチャードが見ている方向を見る。ーー確かにいる。フィルア嬢だ。


 「ルチャード。敵がいるかもしれない、急いでフィルア嬢を保護するよ」


 「はい、姉様」


 僕は足音を立てないように走ってフィルア嬢に近づく。フィルア嬢に近づけば近づくほど不思議な音楽が聞こえてくる。


 ・・この音楽。そう言えば森に来た時にも聞いたような・・。そこから意識が朦朧となった。何か音楽が関係しているのだろうか。


 「フィルア嬢!『姿を捉え 動きを止め すべての時を止めよ』」


 ルチャードが呪文を詠唱しフィルア嬢に眠りの魔術をかけた。フィルア嬢はぷつんと糸が切れたように地面へ倒れようとしたので慌てて僕はフィルア嬢を抱きかかえる。


 「ナイスだよ、ルチャード」


 ルチャードを褒めて気づいたが、ルチャードの前でティルディーとして振舞うなら僕も詠唱をしなければいけない、・・・僕魔術の詠唱まだ覚えているかな。



この世界では小・中等部で基本的な魔術の知識を習います。なので魔術師でない人でも基礎の魔術知識はあります。ここから才能がある人・魔力量が多い人などは魔術高等学校で専門的な魔術を学ぶ人が多いです。

(魔力の持たない人もいますが基礎魔術の授業は必須です。これは魔術という未知の力を魔術を使わない人にも学んでもらうためです。分からない力は怖いですからね。魔術師を差別しないようにした配慮です。それに魔力を持たない人でも魔術の研究者になる人がたまにいます)

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