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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
八章 誰かの願い編
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誰かの願い part4

 あの後何も収穫がないまま明け方になり、フィルア家へ戻ると、フィルア嬢は部屋で寝ていた。てっきりフィルア嬢を見失った付近から戻ってくると考えていたがそうではないらしい。


 ダメもとでフィルア嬢に昨日の出来事について聞いたが、フィルア嬢は不思議そうな顔をして「昨日は何かありましたか?」という返事が返ってきた。嘘をついているようには見えなかったから本当に覚えていないのだろう。 一応操られている線も含めて調査した方がいいかもしれない。


 ーーーーーー


 「ーーーじゃあ昨日の場所の見張りとフィルア嬢の見張りの二手に分かれる・・でいいか?」


 ・・俺たちは機能の二の舞を避けるためにフィルア家の一室で作戦会議をしていた。あの場所で消えたのは確かだ。なら帰る方法だけでも分かれば策は立てられるかもしれない・・、ということで二手に分かれることとなった。本当のところ魔術師であるトバッシュ子息の力も借りられたらいいんだが・・仕方がない。

 夜明けになっても出会うことはなく、今どこにるのかも分からない。まぁ解決する気でいたから、もしかしたらどこかで情報収集をしているかもしれないが・・


 「大丈夫です、・・でも待ち伏せよりも発信機のようなものをフィルア嬢につけておく方がいいのではないですか?」


 確かにその案も一理ある・・が。


 「兄さん、それはフィルア当主が許さなかったそうですよ。それに発信機の類は魔術のなかでも呪術扱いになってしまうので、万が一何かあったときに取り返しがつかないと・・」


 そう。一度は提案したが「傷物になったらどうする!?」と怒られてしまい没になった。俺もティルディーの腕は信用しているが最近は寝不足気味だ。無理をして魔法が暴走したら俺も責任が取れるか分からない。


 「そうなんですか・・じゃあちゃんと見張りしていないとだめですね・・ふぁあ・・眠いです・・」

 「私も・・もう限界でしゅ・・」

 「俺も・・ふぁあああ」

 

 キラにつられて俺も欠伸が出てしまう。昨日は張り込んでいたせいで寝ていない。徹夜には慣れているつもりだが眠いものは眠い。・・・スフィーニアなんて眠いからか明け方はほぼ寝ていた。

 キラは眠そうなそぶりを見せなかったが帰ってくるなりベッドにダイブしていた。まぁ今もそうだが・・。・・どうせ見張りは夜だ。俺も今のうちに寝ておくか。俺は欠伸をしながらソファーで横になる。

 ーーだんだんと瞼が重くなってきた。ん・・きっと張り詰めていたせいで疲れていたんだ。このまま夢の世界へと旅だとう・・・。


 「ぐーーっ・・ぐー」

 「・・・・・」


 ーーーーー

 

 今は昼・・僕は少し思い出したことがあってフィルア嬢がいなくなった現場へと来ていた。


 「・・この魔法陣みたいな・・やっぱり・」

 

 僕はじっと魔法陣らしきものを見つめる。この魔法陣らしきものは足りない。未完成だ。・・だけどここへ来る前東の王宮へ足へ運んだ時のことを思い出していた時に気がついた。

 アレディー嬢はシリルに渡すお土産の一つにシートで隠せば絵が出てくるものを渡していた。この魔法陣らしきものの場合逆だ。ごちゃごちゃしているものを消すんじゃなくて”足すんだ”。

 きっと足りない部分を別の紙に書いて上からかぶせれば・・


 ポワッ・・


 やっぱり・・魔法陣が光を帯びた。でもなんでこんな仕組みにしたんだろうか・・?一般人に見られたくないから?でもそうしたら周りからはみえないように消せばよかったはず・・。魔法陣の組み合わせは本に書いてないわけではない。

 今回はアレディー嬢の件で思い出したけど組み合わせの魔法陣は上級魔術の本で見た。ティルディー(星になった方)が見ていた本だから間違いはない。

 上級魔術師なら分かってしまう魔法陣をなぜ・・?あごに手を当てて考えていると背中を誰かに押された。


 「えっ!?」


 僕は急いで風の魔法を発動させようとしたけど、もう遅かった。僕は魔法陣に足を踏み入れていた。


 「ーーっ」


 せめてソアン達にメッセージを残そうと犯人の袖に魔法の痕跡を仕込んでおいた。だって・・今僕の背中を押した人は・・○○だから・・・。

 僕は眩しくて目を閉じた。そして次に目を開けた先にあった景色は・・


 『森』だった。


 どこかで見た気もするけど上手く思い出せない。だって・・?えっと・・僕は・・


 ♬♪~♪♬


 意識が霧に包まれていく・・。そして僕は音楽が鳴る方へと足を運んだ。


 ーーーーーーー


 「ーーっ・・」


 まさか姉がいるとは思わなかった。結婚式の事件以来、姿をくらませ行方が分からないと両親が話していたから・・。

 正直言って結婚式の前の日、暴力を振るったのは八つ当たりだった。姉さえいなければ僕はこんなに辛い思いをすることも暴力を振るわれることも無かった。比べられることだって。

 僕だって僕なりに頑張ってきた。勉強で一位を求められれば一位を取った。馬術だって、魔術だって、礼儀作法だって・・すべて完璧の評価を取ってきた。なのに・・僕は褒められたことが1度もなかった。


 いつだって親から返ってくる言葉は一緒「ティルディーはもっと凄かった。あんな奴に負けて悔しくないのか?」と。


 俺にとって姉は憧れの存在だった。勉強も魔術も・・なんでもできる。でもあまり会ったことのない姉。会ったことはないけれどいつもどこかで姉の噂を耳にするたび誇らしかった。俺の姉はすごいんだと。だけどある時から憧れは憎悪へと変わった。


 姉が知らない誰かに褒められるたび俺は両親から責められ殴られる。そしていつからか思ってしまった。姉さえいなければ・・と。


 せめて誰か一人でいいから俺をちゃんと見てほしかった。怒るだけ殴るだけじゃなくて俺のすごいところ、俺にしかできないところを見てほしかった。


 ただ・・それだけなのに・・。

 

 「あ・・・」


 涙が出てきた。早く止めなきゃ・・泣いている姿なんて見せられない。弱みなんて握らせたくない・・。俺は早く依頼を解決しなきゃいけないのに・・


 『そんなに気負いすぎなくていいんだよ。だってルチャードは細かい魔術得意じゃん!私は苦手なのにさ!』

 

 「・・・・姉さま・・・」


 懐かしい記憶・・あんなことしてしまったけど・・もう一度・・会いたい。ちゃんと謝って・・俺。姉さまに本当のことを言いたい。


 ーーーーーーー

 

 同日 十九時


 「ん、んーー。よく寝た・・。えっと今は・・あれ?ティルディー様がいない」


 私はゆっくりと立ち上がって部屋を見渡す。部屋にいるのはベッドで寝ている兄さんとソファーで寝ているソアンさんだけだ。ティルディー様用の客室へ戻っているのかなと思い廊下へ出る。


 寝ていたら起こさなければ。今日だってスフィア嬢の見張りをしなければいけないのだから。「ティディー様?いますか?」と声をかけるが返事はない。前にソアンさんが「ティルディーは一度寝ると起きないから、起きなさそうなら耳元で大きな音を出せばいい」と言っていたのでまだ寝ているのかな?と思った。


 本当なら寝かせてあげたいが寝すぎもよくないし・・仕方がない。「ティルディー様。入りますね」と声をかけ私は部屋の中へと入った。・・・だけどどこにティルディー様の姿はなかった。


 部屋の隅々まで探したけどいなかった。どこへいったのだろうか。と思い、近くを歩いていた侍女に声をかけた。


 「あの・・すみませんが、ティルディー様を見ていませんか?金髪で赤目の・・」

 「あぁ。お仲間様ですよね?でしたら昼間外出していましたよ。まだ帰ってはいないようですが・・。」


 外出?私は嫌な予感がして、侍女にお礼を言った後兄とソアンさんをたたき起こした。


 「兄さん!ソアンさん!ティルディー様が。いないんです!!」


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