表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
八章 誰かの願い編
66/90

誰かの願い part3

 「ーーーールチャード」


 これで会うのは二回目。本当なら「何であの時殴ったの!?」とか問い詰めようかと思っていたけど寝不足のせいか頭が回らない。


 それにあのルチャードの傷ついた顔を見たら責められない。何か声をかけなきゃいけないのにこの前の恐怖心が邪魔をする。


 今の僕は魔法が使える。何があっても大丈夫。それは分かっているのに。


 「・・あの方はトバッシュ令息です。ソアンさん、ティルディー様が怯えているようなので後方に行ってください」

 「あぁ。行こうティルディー」


 待って。後ろに下がったらルチャードと話ができない。深呼吸をすればゆっくり・・ゆっくり。

 僕は息を吸ったり吐いたりを繰り返してルチャードを見た。僕はティルディー(星になった方)とも向きあえた。ソアンだって事実と向き合った。

 なら僕も勇気を出して話さなきゃ。


 「ーーーっ、あ、あなたたちもフィルア家から依頼をされて?・・そうなら帰ってください。これはおれ・・私の依頼です。邪魔するな!!」

 「ル、ルチャ・・」


 そう言いルチャードは僕たちに向かって杖を向けた。ーーあの様子じゃ話すことは無理かもしれない。・・それにルチャードを苦しめているものがわからない限り話せないーーそんな気がする。


 「といっても俺たちも依頼されているんだ。依頼料をもらう限り俺たちも働かなければいけない。トバッシュ令息。ここは協力を・・あ」


 ソアンが説得をしようとし、話している間にルチャードは詠唱をしどこかへ消えてしまった。


 「どこかへ行ってしまいましたね。えーっとひとまず痕跡がないか調べてみましょう」

 

 スフィーニアが地面に顔を近づけながら言った。確かにそうだ。あ、なら光があった方が見えやすい。

 僕は詠唱をして光を辺りに灯した。


 「あれ?ティルディー様、今日は詠唱するんですね。最近していなかったのに」


 詠唱。確かにしなくても使えるが、今日は座標計算が上手くできない。魔法陣の詠唱で魔法を発動させた方が安定する。僕はそこそこ魔力があるから魔力が暴走すると辺りが焼け野原になってしまう。


 「ま、いいじゃない。細かいことは気にしないの」


 僕はそう笑って地面を見た。ここ近辺でフィルア嬢は消えた。魔術か魔法ならここ近辺のプレアの濃度がかなり少なくなっているはず。


 ーープレアは体内に取り込むもので魔術や魔法を使うと消費量(取り込む量)も魔力を回復させるため多くなる。

 よって魔法戦や魔術戦をした後のプレア濃度はかなり低くなるのだ。

 でもプレア濃度は通常値だ。プレア濃度が濃い場所なら魔力を使ってもこのぐらいだけど最近だとプレア濃度が高い場所なんて限られている。

 全ては暗記していないが少なくともここらへんには存在しない。


 ーーとなると魔術、魔法類ではない?僕は地面と睨めっこをしながら考えられる可能性を探していた。過去の記憶を引っ張り出そうとした時後方から声がした。


 「んー、これなんか見たことある気がするんですよね」

 「どれどれ・・?魔法陣?いや落書きか?」


 どうやら三人で地面に書いてある何かを見ているようだ。僕も気になって除くとそこに書かれているのは魔法陣とは言えない何か。


 「・・・・魔法陣にしては足りないね・・こことか」


 僕は手を伸ばして足りない部分を宙に書いた。これが完全の魔法陣なら警戒したけど・・未完成なら警戒する必要はない。未完成は魔力を注ぎ込んでも作動しないしね。


 「・・さすがティルディーだな。俺。魔術とか魔法関連さっぱりだからな・・」

 「必要と感じたら教えてあげるよ!魔法陣はまぁ初歩っちゃ初歩だしね」


 魔法陣は結構初めに学ぶものだ。・・人間が書いた本を読んで初めて知ったことだが魔法陣は詠唱するものなので魔法陣を理解しないと魔術を発動させられないらしい。


 僕もこれを機に学び直してもいいしね。


 「えー!ソアンさんだけずるいです!ティルディー様、私にも教えてください!」

 「僕も!魔法陣について詳しく知りたいです!」


 ソアンに提案したらスフィーニアとキラも教えて欲しいと手を挙げた。んーでも僕の知識って人間のものじゃないし僕が教えてもいいんだろうか・・

 さっきまで教えようと意気込んでいたけど少しだけ不安になる。自分の知識があっているのか間違っているのか・・不安なのだ。


 「・・・僕の教えでいいの?間違った知識教えちゃうかもしれない・・」


 下を向いて杖をぎゅっと握る。三人の声が聞こえないから余計に不安になった。けどその時・・笑い声が聞こえた。聞き間違えかなって思ったけどそんなことない。

 ゆっくりと目を開けて前を見るとソアンが少しだけ肩を震わせている。もー!人がせっかく悩んでいるのに!


 「っ・・っぷ・・あはは・・そんな心配すんなって。俺たちはティルディーに教えて欲しいんだよ。それに間違ったっていいじゃん。そうしたら俺たちとまた学ぼうよ。誰もティルディーを責めたりしないよ」

 「そうですよ。そもそも僕達が勉強していないのが悪いんです。無知は罪ってやつです」

 「・・・ティルディー様。分からない所は一緒に勉強です。あ。じゃあ私は武術でも教えましょうか?」


 ・・・考え・・すぎだったかな。そうだ。きっと最近不安なことがあったからちょっとだけ色々考えすぎていた。みんな僕を馬鹿にする人たちじゃない・・


 「じゃあ教えてもらおっかな・・勉強会できそうだね!」


 でもせっかく教えあいをするんだから僕だってちゃんと勉強しなきゃ。間違った知識は生徒に教えられないしね。


 「勉強会かー俺勉強に苦手・・」


 「ソアンさんが勉強しよっかなって言ったからティルディー様が提案してくれたんですよ。ちょっとは真面目にしてください。」

 「うっ・・それはそうなんだけど・・・」

 「もう・・・剣術だけではなく知識も蓄えるべきです!ここは基礎から・・」

 「ちょっとそれ・・・!!」


 バサッ・・・


 「・・?」


 ソアンとキラの言い争いを見ていたら何か音がした。それに人の気配も。今・・誰だったんだろう。


 ーーーーーーーー


 ♪♬~♪♪~


 音楽が聞こえる。もう少しで会えるわ。グスタン。だから待っていてね・・今これを持っていくから。だから大人しく待っているのよ?


 ・・・あれ?でも私どこへ向かっているのかしら。だってグスタンはいつも私の傍にいるから会いに行く必要なんてないのに。


 ♪♬~♪


 いいえ、きっと私の記憶違いだわ。だってグスタンは遠いところにいるんだもの。だから私グスタンが用意した魔法陣で森まで来て・・・


 そうだわ。私森の奥に行くんだったわ。私の愛する人。忘れるはずがないのに。忘れてしまう。


 ♪♬♬~♬


 私はいけない人ね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ