間話 3 あだ名
「あだ名が欲しい?」
夜の十一時頃。急にティルディーに呼び出されたかと思えば用件はこれだった。これ明日でもよかったのでは?と思うが口には出さない。
多分文句を言うと怒って説教タイムが始まる。時間が長くなるのは嫌だしな。何も言わない。
「そうだよ!本で見たんだ!冒険者パーティーが仲良くなるごとに名前の呼び方が変わっているの!!僕たちもやるべきだよ!」
・・別に絶対変わっているわけではないと思うが。それにやらなくたって俺たちは仲良しだ。
「へぇー、あだ名ですか!いいですね!」
意外にも食いついてきたのはキラだった。スフィーニアの方が食いつくかと思ったが真顔だ。眠いのだろうか。
「兄さん二文字だからあだ名つけられにくいですもんね・・」
と意味深な言葉を投げかけるスフィーニア。あれ?眠くない?ーーーでも心なしかいつもよりいい方に棘があるような?
「じゃあとりあえず何かつける?んー。じゃあまずソアンから!、えーとソーくん?」
「ソーくん・・アンとかは?」
可愛すぎだろ!と思った。俺二人から見て兎にでも見えているのだろうか・・。子供の時とかはそりゃ可愛いとか言われたことあるがさすがに・・・俺もう十八だぞ?
「フッ・・・アハハ・・!か、可愛いですね・・・フグッ・・ソアンさん。いやソーくんさん」
・・・キラが腹を抱えて笑い出した。・・俺が思っていること言いやがって。俺だって恥ずかしいんだぞ。
「それならキラはキーくんとかになるぞ!いやキー子とか!」
おれは笑ったキラにあだ名を言い返したがあまりいいあだ名はない。・・俺あだ名考えるの苦手なんだよな・・。
「なんだキーみたいですね・・。あの扉の・・」
言われてみれば?
「ぷっ、ラーくんでもいける!」
「ラー油、、?」
キラが真顔でそう言った。やめてくれ・・真顔は!ーーーなんだか真顔なのがおかしくて笑いが起きる。みんな必死でこらえているがもう限界そうなのが一名ーーー。ティルディーはもう無理そうだ。
「ぶっあはははっ!だめっ・・腹筋が・・」
「ーーーっふぐ・・」
思わずキラの頭がラー油に変換されているのを想像してしてしまった。・・キラとラー油・・。だめだ。これ以上想像すると笑い転げてしまう。ゲフンゲフン。一回深呼吸深呼吸。
「もう!笑わないでください!なら‥ティルディー様は・・・ティルディー様は・・」
「様は?」
長々と考えるキラを俺はじっくりと見た。別にせかしているわけではないのだがなんだか気になってしまった。
「・・・・・・・・・・・」
ーーーそして長い長考の末キラが出した答えは・・
「・・・ティルディー様にあだ名などつけられません・・」
と苦虫を嚙み潰したような顔でそう言った。ーーいや、つけろよ!と心の中で叫んでしまった。先程まで笑っていたはずなのに次は怒るとは・・俺の喜怒哀楽は激しいらしい。・・夜だからか?
「んーティルディーならティ・・・あ!ティッシュ!」
「あはっ・・・ふ・・っごほん。どうせならディーとかルディーとかにしましょうよー」
スフィーニアが一回笑った後そう言った。・・・そう言えば変なあだ名が続いていたせいで忘れていたが本来の目的はあだ名をつけること・・普通のだ。別に面白さを求めているわけではないのだ。
「じゃあスフィーニアはニアかフィー・・ですかね?」
キラが笑いのツボから抜けた後真剣な顔をしてそう言った。・・・面白さは消えたがあだ名としては機能できる・・。
「じゃあそんなんで・・・いい?もう俺・・・眠い」
ーーー話していて分からないと思うが集合してから結構話していてもう深夜0時だ。本来の俺はもう寝るはずの時間・・。別に寝なくてもどうにかはなるが・・
「えーもう少しはな・・ってもうキラとスフィーニア寝てるし!?」
えっ・・と思い横を見れば二人はもう夢の中だった。早いなと思ったが俺も瞼が重くなりゆっくりと閉じた。この後ティルディーは明け方の四時ごろまでみんなのあだ名を考えていたそうで・・起きた時には大量の紙の山にティルディーが埋もれるように寝ていた。
ティルディーの手に握られていた紙に書いてあった内容は「これであだ名決定!という言葉の下に
僕→ディー
ソアン→ソアルコール
キラ→キー
スフィーニア→ニア
ーーと書かれていた。
「いや、俺だけおかしくね!?」
と叫んでしまったのはしょうがないだろう・・
寝るのが早い順
スフィーニア【普段は夜の9時、徹夜は絶対できない。】
キラ【普段は十一時半、徹夜はギリいける。でも次の日まったく動けない】
ソアン【普段は十二時時。全然徹夜はいける。三日ぐらいなら寝ずとも動ける。】
ティルディー【普段は二時。星だった時は睡眠を必要としなかったので寝る習慣があんまない。疲れたから寝るみたいな。でも一度寝たらなかなか起きないし寝つきもいい。一週間は寝ずともいける】




