困り事があるんです
「なぁティルディー売れるものあるか?」
「ないよ。さすがにこんなこと想定していないし。・・これじゃあ馬車代もないね・・。」
そうだよなぁ・・俺も金目のものは全部盗まれてるし・・。あ・・俺の犬の写真はある・・。なんだよ!これは宝物じゃないってか?めっちゃ可愛いのに金目のものだけ盗みやがって・・。
まぁそれは一旦置いておいて・・。置いておきたくはないが・・それよりもティルディーが言っていたように馬車代が無い。これはどうするべきか・・。村だしギルドはないし・・。
「あの。」
足元で声がした。なんだ?と思い俺は下を見下ろすと茶髪で三つ編みの女の子が俺とティルディーを見上げていた。・・身長的に十歳ぐらいだろうか。
「どうしたんだ?」
俺はしゃがんで女の子に視線を合わせた。
「あの。こんなこと初対面で聞くのは失礼だと思うんですが・・・そのさっきの話聞いて・・お金に困っているんですよね!?」
「あ。あぁ。そうなんだよ・・金にね・・。ハハ・・・。」
めちゃくちゃドストレートに言われて少しだけ心が傷ついた。・・・そんなはっきり言わんくても。今時の子は言葉が強いな・・なんて思った。
「じゃあ・・その・・困っていることがあるんです。・・・解決してもらえませんか?」
女の子は焦ったような声でそう言った。?解決?何か事件でもあったのだろうか。でも大きな事件ならさっき会った村の女性が教えてくれるはずだしなと思ったが馬車代が稼げるならと思い少女の話を聞くことにした。
「困りごと?それはいいんだけど・・・報酬は?」
本来頼まれごとなら無償でやるべきだろうが今は馬車の運賃を稼がなければいけないのだ。すまない小さな女の子よ・・・。
「えっと、どのくらいがいいんですか?その・・大きな額だと・・。」
不安そうに少女は聞いてきた。恐らくあまり大きな額は無理なのだろう。小遣いから払うにしてもこの年齢じゃあまりないだろうし。そもそも貰っているのかすら怪しい。銅貨二・三枚あれば馬車代に関してはどうにかなるのだが。
「関所までの馬車代が払えるくらいかな。」
ティルディーがそう言うと少女はパアアッと目を輝かせた。何かいい案でもあったんだろうか。
「なら大丈夫です!私の父が御者なんです!(馬車の運転手)関所まで送ってくれるよう頼んでみます!というか、土下座してでも頼み込みます!」
「土下座まではいいからな!!?でも・・まじか!ありがとう。えっと。」
土下座してでも頼むとは行動力がすごいなと思いつつ俺はお礼を言おうと思ったがそもそも名前を知らない。どうしたものかと思っていると俺が困っているのを察してか女の子が口を開いた。
「あ、すみません。申し遅れました。フィニーです。」
ご丁寧にお辞儀までしてくれた。
「俺はソアン、でこっちが。」
「ティルディーだよ。よろしくねフィニー。」
ティルディーがそう言うとフィニーの頭をわしゃわしゃと撫でた。・・おっとこういうのは年頃の女の子にすると「髪が崩れるから触んな!」と言われないか・・?・・・いや大丈夫なようだ物凄く嬉しそうだし・・・。
「それで?困りごととはなんなんだ?」
「あの。最近この近くで大きな魔物を見たとの目撃情報がありましてお二人は冒険者さんですよね?父が仕事でよく使う道ですし魔物にでも襲われたら大変です。お願いします!あと、ちゃんと調べてください!!」
フィニーはそう言うと俺たちに頭を下げた。
「・・・。顔をあげてフィニー。僕たちが魔物討伐してきてあげる!」
ティルディーは笑顔でそう言った。
「そうだな!魔物討伐開始だ!」
そんなこんなで魔物討伐へ向かう二人であった。
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「ヨカッタナ金の目途がたって・・」
「そうだろ!ナレーター!」
「・・・でも小さい女の子からカツアゲするんてひどい大人だな・。」
「ちょっ!カツアゲじゃねけし!金奪ってない!!」
「そう?じゃまた次回の話で!」
「勝手に話終わらすんじゃねぇ!」
「・・・・ナレーターとソアンうるさい・・・。さっさと魔物討伐行くよソアン。」