白薔薇の祭り part5
「・・・・大丈夫?」
緑のドレスを着た女性は静かに俺たちを見ていた。綺麗な人だな・・と思ったけどなんか見覚えがある気もする。どうしてだろうか。
「え・・あ、はい。えっと・・あなたは?」
「ルルア・アレディー・・。・・・通りすがりのお姉さんよ・・・」
なんかドヤ顔で言われたけど・・ルルア・アレディー・・この人第二王子が言ってた人では?俺はじっくりとアレディー嬢を見る。
「あの・・・もしかして東の国の王族・・第二王子の婚約者のルルア・アレディー嬢では?」
「へぇ!?え・・と。・・あ。もしかしてあなた達あの人の差し金!?なら助けなきゃよかった」
あの人は多分ルビアのことだろう。すごいガーンっていう顔をしている。ごめんね?ーーというかルビアの差し金なら助けなきゃよかったってどういうことじゃい!俺は内心荒れまくっていたが表情には出さない。だって相手貴族だし。
「差し金と言いますか・・頼まれたと言いますか・・」
「もう。ちょっとだけ南の国に遊びに来て・・。ごめんなさい。それよりも呪いをといてあげる方が先よね。『光の精霊よ 今ここに集まり 呪いを解かん』・・・どう?少しは楽になった?」
今のは・・魔術だ。しかも解呪の。初めて見た・・。
「あの!ルルア様って魔術師だったんですか!?」
キラは驚いたようにアレディー嬢を見た。まぁ、びっくりするよな、急に解呪の魔術を披露されちゃあ。
「あー。魔術師ってよりは呪術師?私魔術でも呪術しか使えないのよ」
?呪術は普通結構な高難易度の魔術だった気がするのだが・・なんで呪術しか使えないのだろうか・・。そんな疑問を胸にアレディー嬢を見ていると俺の視線に気づいたのか答えてくれた。
「あ・・そのね。私呪術が大好きで・・。興味ないものは覚えられないのよ!」
なんだかテヘペロ!という効果音が付きそうな声でそう言った。・・・なんか興味ないものはできないって天才なのかどうなのかよく分からない。
でもアレディー嬢のおかげで段々と力が入るようになってきた。
「というかそれよりなんであんな危ない儀式やったの!?あれ魂を抜き取る儀式なんだよ?」
「「「「・・・・・」」」」」
なんかものすごいこと言われた気がする。え?魂を抜き取る?あれが?
「あ・・あの。それって本当なんでしょうか?」
スフィーニアが青ざめた顔でアレディー嬢に聞いた。
「本当よ。血を白薔薇に垂らしてその薔薇を燃やすと呪いが発動するの。ーーでもこれ禁忌呪術だった気がするのよね。確か魔王時代あたりから禁忌になった気がするんだけど・・」
「むむむ」とアレディー嬢が頭を悩ませているが俺たちは今はそれどころではない。だって魂を抜き取る儀式を途中まで進められていたんだから。多分助かったのはまだ白薔薇が燃え切ってなかったからだろう。助かった白薔薇。いや?呪いの原因も白薔薇だから助けられたわけではないか・・。
でもなんで呪術の儀式をやらされていたのだろうか。俺とティルディー目当てか・・?
クソッ!こんなことなら村に来るんじゃ・・・。・・?そういえばなんで手紙は俺の元に届いたんだろうか。俺は旅をしているから特定の場所に留まるわけじゃない。だから手紙なんて届くはずがない。
南から東まで手紙を送るなら早くても一週間は届くまでかかる。それにトバッシュ領には一時数ヵ月滞在していたけど手紙が届いた頃には宿を変えていた。
・・・そもそもリオネルはあの儀式があるって分かって俺を手紙で呼び出したのだろうか。・・・いやリオネルはそんなやつじゃない。いつだってあいつは・・あいつは・・・
「・・・あの・・・」
「・・・!?」
考え事をしていたら急に背後から声がした。見つかったか!?と思ったが違った。・・・そこにいたのはリオネルだった・・。
「リオネル」
「あの人村に来た時に会った・・」
ティルディーは不安そうに俺を見た。あの時俺が不安そうな表情をしたからだろうか。心配かけちゃいけないと思いまっすぐリオネルを見た。
・・もう俺にはリオネルと話す資格はないけれど。
「ソアン・・・俺お前に・・・話さなきゃいけないことがあるんだ・・。だから・・聞いてほしくて」
リオネルの今まで下を向いていた視線が俺を捉えた。・・・綺麗な緑色の瞳。最後に見たのはかなり前だ。
「分かった・・この儀式のことを含めて・・リオネルから聞きたい。」
「・・・・うん・・この祭りが計画されたのはつい最近だったーーーー
一か月前水色の髪をした長身の男が村長の家を訪ねて来たんだ。俺はたまたま村長の家に用事があってこっそり会話を聞いていた。男が言うには白薔薇の祭りを行えば魔物から村を守れる結界が張れるって。だけどその儀式には貴族の血が必要。その時俺が村長から呼ばれた。今すぐ学校の知り合いから貴族の血を貰えって。貴族の知り合いはいたけどなんか嫌な予感がして血を貰わない方がいいと思って。・・どうしようって思ったときソアンを思い出したんだ。ソアンも貴族の血を引いているから。それにソアンなら今どこにいるか分からないから手紙を出しても来れない、儀式は完成しないって思ってた。けど・・・」
「俺たちが来たってことか・・」
でも、そう言うことなら俺達じゃなくてもよかったのか?だってリボン様が俺達をおびき寄せたいなら名指しで指定するはずだし・・今回は不運な事故か?
「そうだ・・。手紙はその場ですぐに書いた。郵便局へ出しに行こうと思ったら男が出してあげるって言って。渡したんだ。あいつが出したって届くはずがなかったのに・・それなのに・・・」
届いた・・か。冒険者は住所が不明な場合が多いから基本的にはギルドに手紙は届く。だけど今回は宿に届いてキラがとってきた。・・・・宿に手紙が届くのはありえないはずだ。直接宿の人に手紙を預けない限りは・・。
「他に情報はないか・・・・?」
「これは情報って言わないかもしれないけど・・村長が「なんで結界の儀式のことを教えてくれたんですか?」って聞いたんだ。そしたら男は・・「これはプレゼントだから。」って。自分はリボン・・いい子にしている人たちにプレゼントをあげるって」
リボン・・・やっぱりあいつが裏で糸を引いているのか・・。・・・・というかなんでリオネルはこんな話をしてくれたのだろうか・・。
「なぁ・・リオネル・・・・」
「ソアン!俺・・・「ドーーーーン!!!!!」
リオネルが何か言おうとしたとき爆発音が聞こえた。村の連中もしかしたら痺れを切らして爆弾でも投げているのかもしれない。
「あらあら・・・・火の海ねあっち・・・。」
他人事のようにアレディー嬢は言った。まぁ他人事なんだろうけど。
「えぇ!?じゃあ早く止めないと!」
ティルディーが焦って水を作り出している。
「ソアンさん行きますか?」
スフィーニアも俺を見てそう言った。・・リオネルの話もう少し聞きたいが・・。
「リオネル!あとでちゃんと話したい!少しだけ待っててくれないか!?」
「・・・分かった!待ってる。」
「お話はあとで!ソアンさん行きましょう!」
「あぁ!」
俺たちは村の人達の方へと向かった。




