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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
七章 白薔薇の祭り編
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白薔薇の祭り part3

 「村だ!畑だ!南の都だー!」


 ティルディーは目を輝かせながら周りをキョロキョロと見ている。あんまはしゃぐなよ・・と言おうと思ったが俺も内心浮かれている・・のかもしれない。さっきから口元が二やついてしまう。やっぱり故郷は落ち着く。

 東の国の首都から南の国の首都まで十時間ほど乗ったのちたどり着いた。そして南の国から二十分ほど歩き俺の故郷・・ヒルリの村へとやってきたのだ。


 「ここがソアンさんの故郷ですか・・お祭りの準備なのかキラキラしていますね!」

 「本当・・いつもこんなに人が多いものなんですか?」


 人・・俺自身あまり人付き合いが得意ではなかったから普段人が多いのか多くないのかと言われても分からないのだ・・。まぁいつもよりは多い・・かも?


 「うーん・・?」

 「あ。そう言えば村に着いたけど村長さんとかに言わなくていいの?到着したこと。せっかく白薔薇も買ったのに・・」


 あぁ・・そういえば到着してからフラフラと歩きまわっていたから到着したことを伝え忘れていた。日時が書いていないのだ。俺の到着を待っていたんなら伝えなければ祭りは一生始まらない・・かもしれない。


 「じゃあ村長の家案内するよ」


 村長の家は入り口から一番遠い・・青色の屋根で村一番のでかさだ。俺も一度入ったことがあるが家にはないストーブや綺麗なお皿などが置いてあってビビった記憶がある。

 懐かしい思い出だな・・と余韻に浸っていると声をかけてきた人物がいた。


 「ソアン・・・・?」

 「え?」


 俺は声のした方を振り返った。するとそこには手紙の送り主・・そしてかつての友人であるリオネル・ヒッシュがたっていた。リオネルは持っていた籠を落とし唖然と俺を見ている。そんな様子を不思議に思ったのかコソッとキラが話しかけてきた。


 「ソアンさん・・ご友人ですか?それとも不審者・・?」

 「いや・・・その・・」


 なんて説明したらいいか分からず地面を見つめる。かつて突き放してしまった俺の友人・・。あのときあんなこと言ったからきっと彼は・・。


 「ソ・・「あら!ソアンくんじゃない!もう遅いわよ!お祭りの準備をしなくちゃいけないのに!」


 リオネルがなにか言おうとしたとき近くにいたおばさんが俺の名前を呼んだ。確かこのおばさんは俺の隣人だった気がする。

 その声につられてか続々と人が集まってきた。

 

 「まぁまぁ、えらいべっぴんさん連れてきて・・さぁいらっしゃいみんなあんた達を待っていたんだ。」

 「そうじゃそうじゃ。早う着替えてきな」

 「え、えぇ?」


 スフィーニアは困惑のあまりどうしようか兄であるキラに相談している。まぁそうだ。俺もこんな積極的な村の人達を始めてみた。


 「ほら早う早う」


 村人たちの勢いに押され結局俺たちはどこかの家へとぶっこまれた。乱暴だな・・。


 「じゃあちゃちゃっと着替えてもらうよ。ほら女子はあっち。男子はこっちよ」

 「え?あ。はい」


 ティルディーとスフィーニアは二階へ連れてかれた。俺とキラはというと目の前に衣装を置かれ「これに着替え終わったら出てきな。」と言われ個室に押し込まれた。


 「なんだか・・・元気な方たちですね・・」

 「はは・・本当にな」


 俺は苦笑いをしながら衣装に手を伸ばす。手にとった衣装を広げるとシャツにブレザー、マントとなどがあった。なんというか肌触り的にめっちゃくちゃ高級だ。トバッシュ家に着てきたぐらいの高級感がこの服からする。

 あまりこの村は金持ちではなかったはずなのにどこからこの金はやって来たのだろうか・・。


 「すごく綺麗な服ですね・・僕の使用人服よりも良い生地使っている気がします・・」


 「はぁー」とうっとりした顔でキラは服を見ている。うっとりするのは分かるが早く着替えて外に出なければ・・。


 「ほら早く着替えるぞ。おばさんを待たせているんだ。それに・・」


 それにこの祭りの意図も知りたいし・・。リオネルと少しだけ話したい・・あの時のことを・・。


ーーーーーーーーー


 「あ!リオネル!待ってよ・・・」

 「もう、早く来いよソアン!学校に遅れる!」


 そう言ってリオネルは俺の手を引っ張って走った。俺の村は小さくて学校が無いから南の国の首都まで歩いて行かなきゃいけなかった。

 俺の村で同じ年なのはリオネルだけでいつも一緒に学校へ行っていた。学校へ行けば仲のいい友達は何人かいるしずっとリオネルと一緒というわけじゃなかったけどそれでも仲は良かった。

 まぁ世間一般で言う幼馴染というやつである。

 リオネルは面倒見が良くて誰かが困っていたらすぐに助けてくれる・・・そんな奴だった。そんな奴だったから俺が七歳の時もう治らない病気だと告げられた時も励ましてくれた。

 俺が落ち込んでいて周りと距離を取ったときでも声をかけ続けてくれた。だけどその数年後・・・俺の家族が死んだ。

 学校から帰ってきて家へ入ったら家族はみんな死んでいた。父も母も妹も弟も。みんな体から血を流して地面に横たわっていた。

 「どうして?」と声に出したけど返事は返ってこず俺は絶望のあまりその場に座りこんだ。どうしたらいいか分かんなくて、なんとかしなきゃいけないとだけ思って医者を呼びにいった。

 でも村を出ようとしたとき近くに住むおじさんに首を振られ俺はその場でわんわん泣いた。おじさんも何も言わず抱きしめてくれた。そこから数十分泣いてやっと落ち着いてきたとき村の人から何があったかを聞いた。

 俺が学校へ行っているとき魔物が俺の家族を襲ったと・・。他の村の人達も襲われると思ったけど危機一髪のところで冒険者の人達が助けてくれたらしい。

 だから村の犠牲者は俺の家族だけみたいだった・・。

 心のどこかで俺はこう思った。なんで俺の家族だけこんな目になったんだ。他の人が犠牲になればよかった。なんで・・なんで俺から奪っていくんだ・・健康を・・・家族を・・。

 でも・・生前母さんが言ってた「人の不幸を喜んでも自分に幸福はやってこない」と・・。俺はその言葉を思い出してまた泣いた。このぶつけられない怒りを・・涙に変えて・・。

 ーーーーそして事件から一日が経った頃リオネルがうちにやって来た。リオネルは昨日風邪で休んだと聞いたから本当は学校から帰ってきたらお見舞いに行く予定だった・・ということを今思い出した。

 でも笑顔でリオネルにあいさつする元気など残っていなく虚ろに地面を眺めていた。


 「ソアン・・。ソアン・・ちょっと外の空気でも吸いに行こう・・」


 そうリオネルは言って手を伸ばしてきた。いつも強引に引っ張るリオネルの手はなぜか震えていた。・・親切心で言ってくれたと成長した今なら分かるが当時の俺は周りの気持ちなんて考えられなかった。


 だからーーーあんなことを言ってしまった。


 「・・・リオネルは良いよな・・病気で薬飲むことも無ければ健康で大抵のことじゃ体調を崩さなくて・・家族もいて・・みんな健康で・・なんでだよ・・なんで俺だけ奪われてくんだよ・・ずるいよ・・。俺の家族を健康を・・・返してよ・・。もうどっか行けよ!もう俺にかかわるなよ!!!」


 息を切らしながら俺はリオネルに向かって叫んだ。何もリオネルは悪くないのに・・・。


 「・・・・そう・・・かよ・・」


 リオネルはそう言ってどこかへ言ってしまった。そこから俺はリオネルと話さなくなった。俺はリオネルを避けてたしリオネルも自分から関わろうとしなかった。

 中等部へ上がっても俺は周りと話したくなくてずっと暗くて・・そんな俺を周りは空気みたいに扱った。リオネルは学校のスターみたいな存在だったけど・・。

 ・・・あの時のこと後悔してるけどもう話す機会も無い・・。

 一度入った亀裂は戻ることはないのだ・・。


ーーーーーー


 「ソアンさん?ソーアンさん!早く着替えないとっていったのはソアンさんですよ?僕着替え終わっちゃいました!」


 キラは着替えた衣装を「ドやっ」と言いながら見せてきた。・・何んというか・・かわいい。


 「ごめんごめん。考え事しちゃってすぐ行く!」


 俺はそう言って着替えた。

 

リオネルに苗字があるのは家が商人だからです。



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