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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
七章 白薔薇の祭り編
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白薔薇の祭り part1

 ・・ちょっとした誘拐事件から早数日。俺は宿の一室でのんびり新聞を読んでいた。


 『ラント家没落。トバッシュ家も関係が・・?』 


 と新聞の見出しには書かれている。・・この一件でラント家は没落になったらしいがトバッシュ家がどうかまでは知らない。


 詳しく知りたかったが、ティルディーが自分の弟・・トバッシュ子息と会いたくないと言ったので、あれ以来トバッシュ家について情報収集をしていないのだ。没落になっていない以上もう少しあの家について知る必要があるけど・・それはまたの機会に・・ということで話は終わった。

 ・・・フリッドが「リボン様」と結婚式場で言っていたのも気になるが・・警戒したところでどうにかなるわけではない。今まで以上にティルディーを守るよう努力しよう・・。

 ーー魔物は星を食べるがリボン様は魔物なんだろうか・・。いやリボン様を調べるよりも前に星について調べた方が・・?


 「うーーーーっ!?痛い!」


 「うーー」と一人でうなっていたら頭を思いっきり手ではたかれた。痛い!・・頭が割れるほどではないが地味に痛い・・。足の小指をタンスの角に当てたような痛みだ。俺ははたいた本人を半目で睨んだ。


 「キラ!何するんだよ!」

 「すみません!虫が付いていた気がして・・気のせいだったみたいです!」


 コ、コイツ・・・。めっちゃくちゃその笑顔にイラついたが、それよりもキラが手にしている手紙の方が気になった。


 「なぁ。キラ。その手に持っている手紙って?」 

 「あ、これですか?これソアンさん宛の手紙です。とっても素敵な手紙ですね!貴族からでしょうか?」


 貴族・・確かにキラから受けとった手紙は高級そうな紙が使われている。・・が俺には貴族の知り合いはあまりいない。トバッシュ家は知り合いって言わないし(多分)来るならルビアからぐらいだろうけど宿の場所は教えていないからありえない。なので俺宛なんてあるはずがない・・・。そう思い送り主を確認するため封筒をひっくり返した。


 「・・・・・リオネル・ヒッシュ・・」


 俺はそう呟いた。この名前は知っている名前だ。・・・確かに俺宛の手紙だが・・


 「・・?どうしたんですか?」


 キラが俺の顔の前で手を振っている。だが俺はその間、過去のことを思い出していた。「リオネル・ヒッシュ」・・彼は俺の・・・友人の一人だった。

 あの時俺があんなことを言わなければ、ずっと友人だったかもしれない男・・。もう過去のことだけど・・。俺はため息をつき封筒から便箋を取り出した。便箋に書かれていた文字はたった一行のみ。


 『村の祭りに参加しろ』


 祭り・・・?そんなもの前はやっていなかった気がする。急にできたのだろうか。他に情報はと思い封筒にまだ何か入っていないか探る。すると一枚の紙きれがヒラヒラと落ちてきた。


 『追伸 白薔薇持参』


 「白薔薇・・持参?不思議なお祭りですね・・。どんなお祭りなんですか?」

 「・・・・いや俺も知らない。というか俺が村にいたころにはこんな祭りなかったはずだ」

 「・・うーん何か裏があるんでしょうか?でもただお祭りに来てほしいという話かもしれませんし・・」


 キラは首をひねる。俺もそれに合わせて首をひねるが特に祭りに関する情報は浮かんでこない。まぁリオネルも俺に祭りの情報を伝えたかっただけかもしれないしな。考えすぎだよな。俺。・・リボン様の話ついでにティルディーとスフィーニアにも、この話をしてこようと思い俺は立ち上がった。


 「俺、ティルディーとスフィーニアにもこの話してくるよ」

 「あ、僕も行きます。そのまま朝食食べたいですし」




 ーーーというわけで俺たちは隣の部屋をノックした。そうそう。言い忘れていたがスフィーニアも旅に加わることとなった。トバッシュ家が色々とあったためキラと共に辞めてきたらしい。判断が早いな・・と感心したのを今でも忘れない。

 それともう一つ。キラとスフィーニアにティルディーの正体について話した。もともとキラとはトバッシュ家に行くまでの付き合いだと思っていたので星の丘の出来事の後も話してなかったのだ。だけどこのまま俺達の旅に加わるということなので話しておこうとティルディーと話しあっていた。

 二人の反応は意外にも普通で、「そうだったんですね・・」と「それでもティルディー様はティルディー様です!これからもお守りします!」という感じだった。


 まぁそんなこんなでティルディーにルームメイトができたわけだ。ーーが。


 

 コンコン



 「・・・・・」

 「・・?返事がないですね」

 

 コンコン


 「・・・・」


 いくらノックしても返事がない。少しだけ笑い声が聞こえる気もするが。・・・もういいここは強行突破だ。


 「二人とも!開けないと鍵をこじ開けるぞ!いいのか!?」


 大声で俺は部屋に向かって怒鳴った。すると数秒後・・ばたばたと足音が聞こえたと思ったらドアが勢いよく開いた。


 「ごめん!音楽を二人して聞いててさ。んで?何の用?」


 ごめんと言うがまったく悪びれもない様子に呆れつつ用件を伝える。


 「俺の故郷の村から祭りの招待状が来てるんだ。・・・行くか?行かないか?」

 「えっ!?お祭りですか!行きたいです!!」

 「ソアンの故郷!?行きたい!」


 そんなに行きたいのか・・・と内心でぼやいた。さすがにここまで食いつかれるとは思っていなかった。だがここまで言われちゃ行くしか選択肢は残ってない。


 「んじゃ・・・行きますか。・・・・朝食がてら道のりとか確認しよう・・」


 俺はそう言うと扉を背に階段の方へ歩いて行った。朝食がまだだったので食べながら話し合いをしようと思ったのだ。ーーというかキラもさっきそのまま朝食へ行きたいと言っていたし。

 ゆっくりと歩いていた俺だが突然風が吹いた。何事だ!?と思ったら全速力で走り去ったキラとスフィーニアだった。二人はあっという間に見えなくなってしまった。早すぎる・・。

 俺は残ったティルディーを見た。・・そういえばちょうどティルディーと話したいことがあったのだ。


 「・・なぁ突然で悪いんだがティルディー・・リボン様・・いやなんでティルディーが狙われているか自覚あるか?」

 「・・ないよ。だって僕ただの星だし。空の星を狩った方が断然強い力が手に入るから狙われる理由が分からないんだよ。それに人間の体の僕には力は譲渡できないだろうし、リボン様なんて聞いたことがないし・・」


 まぁそりゃそうだよな・・・俺はてっきり中身が星だから狙われていると思っていたけど裏で操る人がいる限り、ただ『星』だからで狙われるのはあまりにも不自然だ。


 「じゃあ・・星について何かわかるか?ランクがあったとか・・序列とか・・。」

 「え・・・そうだな。いつも頭に誰かの声が聞こえてたのは覚えてるけど序列まではなかったかな。それに・・・」


 『助けなきゃ!・・・・あの人を・・・まだ自我があるうちに・・』


 「えっ・・・?」

 「どうした?」


 急に黙ったティルディーが心配になり声をかける。一体どうしたのだろうか。


 「あ、・・いや。何でもない。まぁ思い出したらまた何か言うよ!早く朝食食べに行こ!」

 「お、おう」


 俺はティルディーの後を追って階段を下りた。

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