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知らない人にはご注意を

 旅を始めて一日目の午後。俺たちは迷子になっていた・・・・。何もない草原の真ん中で。


 「ティルディー?関所まで直通の馬車がある村に向かっていたはずだよな?歩いて数十分って言い張っていたよな・・・?」


 俺はジト目でティルディーに聞く。


 「いやその・・もう少し歩けばつくよ!」


 何を根拠に言っているのかはわからないがなぜか自信満々に言い張るティルディーがいる。・・その自信を少し分けてほしいと思いつつ俺はため息をついた。


 「それ聞くの五回目なんだが?」


 そう。迷い始めてから数分歩くたびに俺が「街が見えないんだが?」というと「もうすぐ着くよ!」とティルディーは言い続けていたのだ。


 「はい。すみません迷子です。」


 ティルディーは何かをあきらめたようにそう言った。最初から正直に言えばいいものを・・・。まぁ迷子ってのは気づいていたけど。


 「どうする?人どころか動物もいないぞ。ティルディー空とか飛べないか?なーんてな・・。」


 もう絶望感に頭が回らないのか冗談を言う俺がいた。・・普段は言わないけどな。だって前友達の前で逆をしたらみんな固まったからな・・もうあれっきり冗談すら言わなくなった。


 ふん。どうせ俺には冗談とかギャグのセンスはないですよーだ。


 「んー。飛べなくはないけど。」


 飛べなくはないんかい!思わず心の中でツッコんだ。まさか今の魔術では空も飛べるとは・・。冗談のはずが冗談ではなくなった。俺も練習すれば・・・?淡い期待を心の中に抱いていると


 「どうしたんだい?夜になるとここらへんは魔物がうろついていて危険だ。」


 急に後ろから白髪でキラキラ光るサングラスをかけたおじいさんに話しかけられた。


 「っっっっっつ!!!びびったぁ。」


 「!!!!!????僕、心臓が止まるかと思ったぁ。」

 

 俺とティルディーは驚きのあまり地面へと座り込んだ。まじで不審者か幽霊かと思った。だって気配もなく近づくんだから・・。


 「あ、あの俺ら道に迷ってしまって。」


 慌てて助けを求め今の現状をおじいさんに説明した。このおじさんに説明したら村にたどり着けると信じて。


 「・・ふむそういうことならならわしの住んでいる村がすぐそこにある付いてきな。」


 おぉ!と心の中で喜んでいるとそのうちに、おじいさんはスタスタと歩き始めた。・・・付け足すとめっちゃめっちゃ速足。


 「何者あのおじいさん。歩くの早!」


 「ティルディー、見ているだけじゃ置いていかれる!俺達も急ぐぞ!」


 俺はそう言うと走っておじいさんを追いかけた。・・・本当に早いな。若い時陸上選手か何かだったのか?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 歩くこと約五分。俺たちは村へ着くことに成功した。


 「つ、着いた!」

 

 ちゃんと村までたどり着けた・・!心の中でめっちゃくちゃ感動しつつおじいさんにお礼を言うため振り返る。


 「あのおじいさん、ありがとうございまし・・あれ?おじいさん?おじいさーん!」


 先ほどまでいたはずのおじいさんがいなくなっている。俺は何回か「おじいさーん」と呼んだが呼びかけには応答しない。・・・消えてしまった。


 礼もせずにいなくなってしまった・・。なんだか対価もなしにつれてきてもらっては申し訳ない。だけどいないからしょうがないのか・・。?


 「・・?どこいっちゃったんだろう。お礼にお財布に入れといた宝石でも渡そうと・・・。」


 ティルディーがそういいながらガサゴソと鞄から財布を取り出そうとしていた。だが一向に財布は出てこない。ティルディーも不思議に思ったのか鞄の中身をどんどん俺の腕に積んでいく。そうして鞄が空になったが肝心の財布がない。


 「・・・え?」


 「え。マジでないのか??財布?」


 「無い・・・。無い!というか宝石系全部ない!後で換金しようと思っていたのに!!」


 ティルディーがショックのあまり手に持っていた鞄を地面に落とした。まさかとは思い俺もティルディーの荷物を鞄に全部入れた後自分の鞄の中身を確認する・・。だが結果は・・・。


 「俺も無い・・・。」


 残念なことに入ってなかった。盗まれたか落としたか。二人で落胆していると・・。


 「あら、どうしたの?そんなところに突っ立って。冒険者さん?」


 村の住民であろう女の人に話しかけられた。


 「実は財布が無くて・・・。」


 「・・・・もしかして、あんたたち白髪でサングラスをかけたじいさんに会ったかい?」


 急に真剣な顔つきで女の人に言われた。え?何かあるんだろうかよくない噂とか・・。


 「えぇ。村まで案内してもらったよ。」


 ティルディーが涙ぐんで言うと、女の人は憐れみをもった顔で口を開いた・・


 「そりゃ災難だったね。そいつは迷子の冒険者を見つけては金銭を奪うスリだよ。」


 「「えっ?」」

 

 「まぁ、ゆっくりしておいき、じゃあね。」


 衝撃の事実だけを置いて女の人は去っていった。なんだか知りたくなかったような気もするが教えてもらった後だしょうがない・・。


 「スリか・・・。馬車代どうしようか。」


 「どうしようね。」


 旅一日目にして所持金がゼロ円になった二人であった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 【あららどうするんでしょうかこの二人は・・・!!??次回一文無しに少女が・・・!?】


 「ちょっ!!このナレータまで俺たちに追い打ちかけんなよ!」


 グサグサと心のナイフを刺してくるナレーターなのであった。

 

 

 

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