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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
六章 星の花嫁編
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星の花嫁 part10

 ーーー戦いはとりあえず終わったわけだが・・・


 「・・・っぐ」

 

 物凄く体中が痛い。所々怪我もしていたので余計にだ・・。本当ならずっと寝っ転がっていたいが、そういうわけにもいかない。それにティルディーとキラの様子も気になる。


 俺は地面から体を起こし、二人の気配を探った。・・どうやら二人は式場から少し離れたところにいるようだ。・・戦いで吹っ飛ばされたのかもしれない。大怪我してなきゃいいんだが。


 トットトトッ


 「・・・・?」


 ・・どこからか足音が聞こえる。敵襲かと思い剣を手に取り立ち上がった。スフィーニアも足音に気づいたようで薙刀を構えていた。だが音の正体は敵ではなかった。キラを背負ったティルディーが全力疾走で走って来ていたのだ。あんまり体力ないはずなのに・・


 「ソアン!スフィーニア!無事ーー!?」


 手をぶんぶんと振っている。キラが落ちないか心配だが、よく見るとキラはティルディーの体に括り付けられている。・・落ちる心配はないが・・・うん・・・俺はあれやられたくないな。


 「無事だよ。結構怪我したけど・・。スフィーニアも同じ感じ」

 「はい。私も無事です。ティルディー様と兄さんは・・無事そうですね」


 俺もティルデイーとキラを見るが二人とも目立った外傷は無い。


 「うん、無事だよ。だけど二人は結構怪我してるね、えっとちょっと待って『精霊よ 時に逆らい 導きの光を』」


 ティルディーが詠唱をすると俺とスフィーニアの怪我が治っていた。・・やっぱりティルディーはすごい。


 「ありがとな、ティルディー」

 「ありがとうございます!ティルディー様!」


 スフィーニアは嬉しそうにティルディーに礼を言った。心なしかティルディーが少し嬉しそうだ。俺もその光景をみて微笑ましく思う。ーーーが、まだやるべきことは残っている。俺は地面で寝そべるフリッドに目を向けた。


 ・・ちゃんと目的やら色々話してもらわないと・・・


ーーーーーーーーーーー


 俺たちは結婚式場を少し片づけ事情聴取ができる状態にした。椅子にフリッドを紐でグルグルと巻き付け、ティルディーがつけられていたという魔力が封じられる手錠もつけた。

 そしてフリッドの回りへ俺達四人は立った。


 「・・・で?聞かせてもらおうか・・・なぜこんなことになったのか・・。すべて・・正直に・・・」

 「・・・・・・」


 フリッドは下を向いて話そうとはしない。拷問でもしないと吐かないか?


 「えいっ・・」

 「・・・・ッぐ・・・」


 急にフリッドは苦しみだした。俺は何が起きたか分からず、ティルディーを見ると、ティルディーは杖を構えていた。ーーどうやら魔法を使ったらしい。


 「これ以上話さないならもっと強い電気を流すけど?」

 「・・・・あれは・・・確か半年前・・・」


 最初は沈黙を突き通していたフリッドも観念したのか話し始めた。(まあティルディーが強めの電流を流したせいな気もするけど・・)


 ・・そしてフリッドは言った。数年前ティルディーがいなくなったという情報を手に入れた。ティルディーはもともとフリッドの父の後妻予定だった。だから別にいなくなろうと興味はなかった・・けど。トバッシュ家に行った際、星の気配がしたと。

 もともと魔物は魔王がいた時代に密輸で入手したものらしい。(今は法律違反だ)だから代々受け継がれるものらしくトバッシュ家に行ったときはたまたま連れていたとのこと。だから星の気配に気が付いた。

 「星を食らえば魔物は強くなれる。それにその個体は・・。」そうリボン様という者が言っていたらしい。それから何としてでもティルディーを手に入れるため父親を不慮の事故に見せかけ自分の婚約者にすることにしたらしい。

 そしてトバッシュ家に呪いがかかった茶葉をティルディーに飲ませるよう言っておいてあとは俺たちが知る通りらしい・・が。

 「リボン様?」 というのは何なのだろうか。冒険者をやっていて聞いたことが無い。今分かることはティルディーのことを知っていて狙っている・・ということしか分からないが・・。


 「・・・他に何かないのか?情報・・リボン様とは何なんだ?」

 「・・・・これ以上は絶対に言わない。というか俺も覚えてないしそれ以上の情報は知らない。たまたま会っただけだからな・・」


 そうフリッドは言うと下を向いてしまった。覚えていないならしょうがない・・記憶を封じる魔術でもかかっていたのか・・?

 ・・これ以上は本当に話すつもりがないらしい・・まぁ情報が手に入っただけましだが・・。フリッドは衛兵にでも渡しとくとして・・。「リボン様」・・ちょっと調べてみるか・・ティルディーに害がある存在だったらまずいしな・・。

 俺は顎に手を当てて考えているとティルディーに服を引っ張られた。


 「!なんだ?」

 「えっと・・その・・来て!」

 「へ?うわっと・・!」


 俺はティルディーに引っ張られるまま結婚式場の裏側へと来た。もう‥何なんだ?


 「・・そのさ。なんでソアンは必死に僕を助けてくれたの?」

 「へっ?」


 おっと・・間抜けな声が出てしまった・・。


 「だって貴族との結婚だよ?普通来る?ま、まぁ?僕はソアン助けに来ると思ってたけどその・・」


 もじもじとしてその先をティルディーは話そうとしない・。よくわからないが俺の答えは一つだ。


 「そんなのティルディーが結婚するのが嫌だったから」


 これは本心だ。だってティルディーが変な男と結婚するところなんか見たくないし。


 「えっ・・・それほんと!?」

 「あ・・いやその・・ほら中身違うし・・心配だし・・その・・」


 俺は顔が赤くなって変な言い訳を続けた。なんだか直球に恥ずかしいことを言ったような。


 「・・・・忘れてくれ」

 「ふふ・・・どうしよっかな!ソアンが僕に追い付いたらいいよ!先にキラとスフィーニアの元へ着いた方が勝ち!」


 そう言うとティルディーは結婚式場の中へ走っていった。忘れさせなければ後で蒸し返されそうだ。


 「もう始まってるのかよ、ティルディー待てよ!」

 「待たないよ!だって忘れたくないもん!」


 俺は走っていくティルディーを追いかけた。傍から見れば喧嘩しているように見えたかもしれないが、俺もティルディーも笑っていた。





 ーー誰もも傷つかないで笑える日が来ればいいのにーーーー


  

星の花嫁編全10話終了です。少し時間を空けてまた新章を書いていきたいと思います。

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