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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
六章 星の花嫁編
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星の花嫁 part6

 時は少し遡り数時間前・・。


 俺とスフィーニアはトバッシュ家から馬を二頭盗み、ティルディーがいるとされるべラン家へと向かっていた。本物のティルディー(星になった方)だったら結婚式を阻止しようとは思わないが、今回は中身が違うからな。さすがにこのまま結婚式を進められたらまずい。

 それにトバッシュ家で毒?かは分からないけど何かを盛られたんだ。トバッシュ家の人間は普通だって言ってたからおそらくべラン家が裏で糸を引いているのだろう。

 これが本当ならティルディーの身が危険だ。相手がティルディーを本物だと思っているうちはいいかもしれないがいずれボロが出る可能性がある。こっちのティルディーは礼儀作法なんて分からないいんだから。

 ばれたらティルディーに何をするか分からない。早くしなければいけないのにキラとは合流できないしそれに・・。 

 俺は目の前で馬にまたがって走っている少女を見た。キラが伝言を頼んだ少女なのだから信用はできるはずなんだが初対面だとやっぱり警戒の方が勝ってしまう。ずっと視線を向けていたせいか少女が俺の方を見てきた。


 「あの・・・。何か?」

 「いや・・・その。・・スフィーニア・・さんとキラってどういう関係なのかと・・」


 ええい!ここはもう直球で聞いてしまえ!変にごまかした方が怪しまれるし。


 「あぁ!そう言えば慌てていて自己紹介とかしていませんでしたね!私はスフィーニア。年は十四歳。呼び捨てで構いません。キラさんはその・・私の兄です・・」


 スフィーニアはそう言い終わると照れ臭そうに前を向いてしまた。でも・・えっ?兄・・えっ。俺は数秒の思考停止後、俺は情報を処理し終えやっと飲み込んだ俺は大声を出してスフィーニアに尋ねた。


 「え!?あの?キラの!?」

 「はい!」

 

 万遍の笑みでそう答えるスフィーニアは笑っているキラと確かに似ていた。でも髪色も目の色も違う。言われなかったら気づかないレベルだ。


 「私と兄は孤児で・・。孤児院から引き取ってくださったのがトバッシュ家の御当主様だったのです。最初は雇われる際に兄弟ということを明かそうと思っていたのですが兄が「親族だと思われると弱みを握られたのと同じだ。搾取されるだけになる」と言ったので隠していたんです。もともと兄とはあまり似ていなかったですし」

 「そうか・・・」


 そういう経緯があったとは。でもこれで身元がはっきりとしたしそこまで警戒する必要は無いな。俺はそう判断した。そう話しているうちにスフィーニアが「あそこです・・」と大きな屋敷を指さした。どうやらあれがべラン家らしい・・。

 トバッシュ家もかなり大きいと思ったがあの家はもっとでかいな・・。トバッシュ家の二倍はある気がする。金持ちだな・・。

 俺たちはべラン家より少し離れたところで馬を降りそこからは歩いてべラン家へ向かった。まぁ正面からは入れないわけで・・・俺たちは見張りがいない隙にへいを飛び越え屋敷の中へ潜入した。

 中は侍女たちがあわただしく走り回っている。おそらくティルディーとフリッドの結婚式のためだろう。侍女が多く出入りしている部屋を調べればそこにはティルディーがいるとは思うのだが・・。


 「さて・・・どうするか・・」


 従者の服は借りられても何もせずうろついていたらすぐにばれるだろう・・。何か作戦を・・・。


 「お困りですか?」

 「「えっ?」」


 急に頭上から声が降って来た。・・とても聞き覚えのある頼もしい声が・・。


 「キラ!」

 「兄さん!」


 俺とスフィーニアは同時に歓喜をあげた。あ。もちろん小声で。でもスフィーニアに紙を預けたぐらいだったからてっきりキラに何かあったのかと思った、見た感じ無傷だし良かった・・。


 「あの後大丈夫だったのか?心配したんだぞ」

 「それはすみません・・あの後・・」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 僕は執事長の部屋に忍び込んだこと、見つかったから伝言をスフィーニアに頼んだことをソアンさんに伝えた。・・そう読者のみなさんも少しだけ気になってるかもしれない僕のその後。


 ・・・・


 「・・・・キラ・・お前はお嬢様のために行動しているのか?」

 「えっ・・・・」


 てっきり捕まって旦那様に報告されるものばかりだと思っていた。想像と違う質問に僕は瞳をぱちくりとした。何かの冗談かと思っていたけど執事長の目は真剣に見える。

 ・・僕の行動はお嬢様のためのはず・・。旦那様に引き取られて妹と一緒にこの館へ来て。綺麗な服や食事を用意してくれたことには感謝している。

 お嬢様にはあまりお会いしたことはなかったけどたまたま廊下ですれ違ったときには女神を見たのかと思ったくらいう美しかった。

 ・・お嬢様については執事著からお嬢様の名を出したらクビだと教えられて働いていた。なぜそうなのか僕にはわからなかった、

 僕はお貴族様の名前は出してはいけないものだと思ったので不思議には思ったがやがてそれが普通になった。それから数週間がたったころ旦那様にお嬢様の捜索を命令された。

 だから僕はお嬢様が愛されているものだと思っていた。だけどあの執事長の言葉を聞くとお嬢様は愛されてなかったみたい・・僕は僕はお嬢様に幸せになってもらいたい。


 なら・・答えは!


 「はい。そうです」


 「・・・・そうか・・・。これを」


 ?執事長からなにか渡されたメモ用紙のようだが。


 「・・行きなさい。私は何も見ていない。ただここへ本を取りに来ただけだ。・・・・・急げ」


 そう言い残すと執事長はこの部屋を出て行った。メモ用紙の件を聞けなかったがまぁいい。僕は執事長が出て行った数秒後間を見計らいソアンさんとスフィーニアの元へ急いで向かったのだ・・。


ーーーーーーーーー


 「ーーーというわけです」

 「「なるほど・・・」」


 俺たちはキラの話に納得した。でもまさか執事長と呼ばれている偉い人が逃してくれるとは。分からんもんだな・・。ーっとそれよりだ。俺たちは困ているのだ。どうやってティルディーと接触するか。


 「あ、そうでした。このメモ用紙・・執事長から渡されたんですが・・」

 

 そう言いながらキラはメモ用紙を開いた。俺とスフィーニアもメモ用紙の中身が気になり顔をのぞかせた。


 「  魔物 と 魔術師 べラン家  」


 とメモ用紙には書かれていた。


 「これって・・・」


 俺はべラン家の屋敷を見て言った。だってこのメモ用紙の意味は魔物と魔術師がべラン家に存在していることを示唆している。

 俺は必死に記憶を遡らせる。毒を盛られたと思われるお茶・・。あの時なにか感じたか?・・分からないが誰かがもう一人裏にいたはずだ。でもあの時フリッドはいなかった。

 魔術師ならティルディーが気配を察知できるはずだ。魔術師同士なら気配でわかると聞いたことがある。分からなかったということはかなりの星を食べている魔物だ。

 ・・・本当にこの屋敷にいるなら・・・ティルディーに何とかして伝えなければ・・。


 「なら・・私が伝えに行きます。少しだけ観察してて気が付きましたがみなさん部屋には入ってないです。従者なら声掛けをするはずなので声が聞こえるはずですし。でも聞こえないということは部屋前に物が置かれているというだけなはずです。私は今侍女の服ですしティルディー様にこの荷物をお届けしますと部屋の前に置いてある荷物を持って中へ入ればいいはずです」

 「そうか・・・。なら頼む!俺たちは式場の場所を聞き出して先回りして潜もう・・」

 「そうですね・・スフィーニア頼んだ・・」


 そう言い俺とキラは式場の場所を聞き出すため、スフィーニアはティルディーに情報を伝えるためと別れた。



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