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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
六章 星の花嫁編
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星の花嫁 part5

 【キラ】


 僕は来訪者の名前が一覧となって書いてある紙を見つけるため執事長の部屋へと忍びこもうとしていた。

 (・・えっとここを曲がって一番左の部屋が執事長の部屋だったはず)

 今は皆仕事に出払っているためここの従者たちが暮らす階には誰もいないはずだ。僕はもう一度誰もいないのを確認してから部屋の鍵を開け入った。


 「うっわ・・紙とか本ばっか・・」


 この中から探し出すのかと若干絶望しつつ端っこから見つけてくことにした。


 「これじゃない・・あれでもない・・」


 僕は紙とにらめっこしつつ猛スピードで紙を探す。焦ると見つからないというがこっちには時間がないんだ。


 「これでも・・違う!えっと・・これか・・・?違うな・・あいたっ!」


 本を粗っぽく読んでたせいかどっかから落ちてきた本が僕の頭に落ちた。痛いが大声で騒ぐとさすがにばれる。この本恨んでやる・・と思いその本を開くと・・。


 『来訪者 ×月〇日 ~~~家

 

      ▽月〇日 ~~~~家

                  ・・・・・・・・・』


 「・・・!あった」

 

 僕は心の中で物凄く盛り上がり今日の日付を確認する。えっと今日は・・フリッド・べラン。べラン・・!確かティルディー様の結婚相手だ!

 でも結婚相手なら問題ないんじゃ・・?・・!来訪者の紙を見つめていたら外から足音が聞こえてきた。まずい隠れなきゃ!と思い近くの隙間に体を潜ませる。

 その数秒後カチャリト扉が開いた。隙間から顔を見ればやっぱり執事長だった。一応中へ入るとき鍵を閉めたから変には思われていないはずだ。

 執事長は部屋に入ってくると棚から一冊の本を取り出した。


 (絵本?執事長子供とかいなかった気がするんだけどな)


 執事長は絵本を数秒間眺めたあとポツポツ言葉を呟き始めた。


 「・・・・お嬢様もお可哀そうに・・。この家族から冷遇されていたのに挙句結婚とは。せめてお嬢様のお好きだった本ぐらいお渡ししなければ・・」


 ・・冷遇?ティルディー様が?僕・・そんなこと知らない。だってティルディー様は・・。あれなんで思い出せない?ティルディー様は・・。

 記憶が封じられているのか上手く昔を思いだせない。でも・・今の話が本当なら・・。

 急いでソアンさんに来訪者のこと伝えなきゃと思ったけれど執事長はなかなか出て行かない。でもこのままだと間に合わなくなる。俺はそう考え持っていた紙とペンで今自分が取得した情報を書いた。

 (よし・・・・ここからじゃソアンさんのところには投げられないけど、あいつのところになら・・)

 僕はそう思う一心で紙を書いていたがそれに夢中で足音が自分のいる位置へ近づいてるなんて思いもしなかった。

 

 「・・・泥棒とは感心しませんね。キラ・・」

 「・・・・!」


 僕は今書いている段階で書くのをやめ執事長に取り上げられる前に急いで刃物で紙を突き刺し投げた。

 (頼む・・あいつに届いて・・。くれ)

 僕は投げた後じりじりと近づいてくる執事長を睨んだ・・。

 

 


 【ティルディー】


 「・・・・・」


 ここへ連れてこられてからもう一日近くが経つ。あれから食事は一度だけ運ばれてきただけであとは特にない。ただ結婚式が近づいて危機感が増したということぐらい。そろそろ侍女とかが来て、ドレスを着させられるのだろう。

 相変わらず謎の視線はあるし身動きもできない。できたとしても無断でこの部屋を出れば攻撃される気がする。逃げ出すのは結婚式が一番の逃げ場なんだけど。

 (このままソアン来なかったらどうしよう・・)

 ・・来るって信じているけど信じてるけど・・!あと少ししか時間がないのに・・。


 不安になり近くにあったブランケットに顔を埋める。心の中で大丈夫大丈夫と連呼し心を落ち着かせる。このまま心までウジウジしていたら本当に結婚することになっちゃう。

 (大丈夫よティルディー・・。大丈夫・・大丈夫)


 「ふーっ」


 少しだけ心が落ち着いた頃ドアをノックされた。誰だろうと思ってとりあえず「どうぞ」と言う。


 「失礼します」


 そう言って入って来たのは侍女だった。何やら台車を押して部屋へ入って来た。台車の上には純白のドレスが乗っている。


 「綺麗・・」


 僕は純白のドレスを見てそう呟いた。夜会のドレスのような派手な美しさとはまた違ったシンプルな美しさ。思わず見とれてしまうほどだ。


 「・・ただいまから婚礼の準備をさせていただきます」


 ドレスに目を奪われていると侍女から衝撃な一言が発せられた。今この侍女は「婚礼の準備」といったのだ。

 僕は一気に冷静になりドレスどころではなくなった。どうしようと悩んでいると侍女に「こちらへ!」と手を引かれ浴室に向かった。


 (・・・)


 それから体を綺麗に洗われ、オイルを塗られ、メイクをされ。思考が追い付かないうちに僕はドレスに身を包まれていた。


 ・・・そして僕の結婚式が始まったのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「綺麗だよ。ティルディー嬢・・。さぁ・」

 「はい・・。フリッド様」


 僕は目の前の男に手を添える。そして扉が開かれ二人でバージンロードを進みだす。神父の前まで来たとき・・僕は。


 「・・?どうしたんだい?ティルデイー嬢」


 小声でフリッド様に声をかけられたが僕はそれどころではない。僕は魔法で杖を出し瞬きをする合間に呪文を唱えた。


 「『水の精霊よ 心に溢れる 雨を今ここに』!!」

 

 僕が呪文を唱えると多くの水が塊となって新郎に向かって放たれた。


 「!!キャアアアァァァアl!」

 

 参列者の一部には悲鳴を上げる者がいたがそのほかはほとんど無反応だ。無反応か僕を静かに睨んでいる。


 「・・事情はもう僕にもわかってるよ。君でしょ。魔物と手を組んで僕とソアンに呪いをかけた魔術師は・・」


 僕は目の前の新郎に杖を向けそう言った。新郎はというと冷たい瞳で僕を見ている。


 「・・・・大人しくしてたら危害を加えるつもりはなかったのに・・残念だな・・。でも君一人で何ができるんだ?たった一人の魔術師さん?」


 「・・・・一人じゃない!ソアン!キラ!」


 僕が二人の名前を呼ぶと二人は上から降って来た。


 「よっと・・待たせたなティルディー!」

 「遅れてしまい申し訳ありませんでした。ティルディー様!」

 「もう・・でも、助けに来てくれてありがとう!じゃあ行くよ!二人とも!」

 「あぁ!」「はい!」


 ・・・・戦いの幕が切って落とされた・・。

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