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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
六章 星の花嫁編
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星の花嫁 part2

 「んん・・・・。ここは?」


 俺はゆっくりと重い瞼を開け、自分が今どこにいるのかを確認しようとした。だが、目に映るのは薄暗い壁のみだ。

 立ち上がって情報を早く集めなければと思ったが手と足を鎖で拘束されていて立ち上がることは不可能だった。

 紐なら靴に隠してある短剣で対処できたが、鎖なのでどうにもできない。・・完全にやられた・・。クソ!

 怒りのあまり壁を思いっきり殴った。・・手が痛い。ーってかこんな苛ついてたら助けられるものも助けられなくなってしまう。

 一回冷静になろうと深呼吸をした。焦っていてもティルディーは取り返せない。それに一回情報を整理しなければ・・。

 ーートバッシュ家の狙いは・・・・多分、というか絶対ティルディーだ。ティルデイーが昔話をしてくれた時、本物のティルディー(星になった方)に対して結婚話が出ていたと言っていた。おそらく結婚を成立させるためにティルディーをということなんだろうが・・。


 「こいつは本物のティルディーじゃない」ってもあいつらまともに本物のティルディー(星になった方」)とも話したことがなさそうだったし見分けがつかない気がする。「あれ?一人称が違うかも?」みたいにしか思っていないのだろう。


 というかキラはこれについてどう思ってるんだ?ーーーまぁ連絡が取れない今キラについて考えても仕方がない。俺が今しなければいけないことは『ティルディーの奪還だ!!!』

 だからいち早くこの拘束を解かなければいけないんだが・・。この部屋にあるものと言えば。


 「薄くて汚い布、カビたパン、水と言っていいのか分からないほど濁った液体」だ。


 それに・・鉄の檻に入れられているのだ。脱獄とかできるはずない。せめて鉄の檻さえどうにか出きれば外の見張りは倒せるのに・・


 「うーむ・・・・・あ、うわっと。やべ」


 ゆらゆらと体を揺らしながら考えていたら近くに置いてあった濁った液体を零してしまった。・・布にまでかかってうわぁ・・俺この布被って寝たく・・・

 

 「・・・・あ・・・」


 もう使えないであろう布を使って濁った液体を拭いていた時驚くべき現象を見てしまった。

 俺の目線の先にあるのはそう!鉄の檻!・・・がなんと少しだけだが溶けている。もしかしてこれの原理を使えは・・・?

 俺は口角をあげて早速近くにいる見張りに声をかけた。


 「すみません。見張りの方・・俺実は毎秒水を飲まなきゃ死ぬ病気なんです!!綺麗じゃなくても構いません濁った!濁ったですよ!濁った水を用意してください!用意してもらえなければ俺、目玉が飛び出して髪がもげ、口から内臓を出してしまいます!・・あぁ!苦しい・・死ぬ・・。」


 めっちゃくちゃないい訳だが実は俺演技には自信がある・・・。めっちゃくちゃ苦しそうにもがいている演技をする・・。さぁ!そうだこれで!


 「・・・は?えっ口から内臓・・?・・・ちょ・・・ちょっと待ってろ!今すぐ取ってくる!」

 「濁った水ですよ!綺麗な水だと効果ないんです!」


 最初はどうでもよさそうに聞いていた見張りだったが目玉が飛びだすとか口から内臓を出すとかグロテスク的な言葉を言ったら素直に聞いてもらえた。

 まぁそうだよな。俺が死ぬのは見張りにとってどうでもいいだろうが死体の処理をするのはおそらくこいつだ。グロテスクな死体は見たくないだろう。

 ニコニコと見張りの帰りを待っていると数十分後、看守は大きな樽に先程の濁った水を溢れるほどに入れて戻って来た。


 「さぁ!濁ったやばめな水だ!たくさん飲め!これで大丈夫だろう!」

 「あ・・あぁ。助かった。ありがとう」


 すっごくキラキラとした目で濁った水入りの大きな樽を俺の目の前へと置いた。俺はその仕事熱心さに少しだけ気後れした後礼をした。

 大量にと言ったのは俺だがさっき見張りのやつ「たくさん飲め!」って言っていた。この水を飲んだらガチ目に死にそう・・と心の中で思った。

 まぁ死ぬか死なないかはどうでもいいこれを鉄の檻にかければ溶けるはず!そう思い俺は思いっきり鉄の檻と俺の手足につけられている手錠と足錠にかけた。

 俺の手錠も鉄製なので多分だが溶けるはずだ。そしたら案の定ゆっくりとだが溶け始めた。よっしゃ!と心の中で歓喜しつつある程度脆くなったら自分の怪力で壊した。

 檻の方はそうもいかないので体当たりを繰り返したら一部が壊れた。だが出られたと同時に見張りに見つかってしまった。


 「!鐘を鳴らせ!人を呼ぶんだ!脱獄だ!」


 見張りは剣を持って俺に対して構えていた。・・俺が動くと同時に襲ってくるだろうが手足の拘束も無い俺はもう上級戦士のソアンだ!俺を縛るものは存在しない。

 俺は近くに会った箒を手に取り見張り相手に攻撃を仕掛けた。まっすぐと進むと見せかけて真上へとジャンプした。そして一人の見張りの頭上へと着地しその者の剣を奪う。

 剣を奪った俺は残りの見張りも次々に倒した。だが次々と兵はやってくるので相手にしている時間は無いなと思い逃げることにした。

 だが目くらましも無い・・!目くらまし!俺は懐に入れておいた鈴を取り出し思いっきり足で踏みつけた。

 忘れていたがこれは城の潜入調査をしていた時にティルディーからもらったものだ。使わなかったからずっと懐にしまっておいた。お守り代わりと思っていたがこんなところで役に立つとは。


 「サンキューな、ティルディー」


 これにより鈴からもくもくと煙が立ち上がり俺はこの場から逃げることに成功した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 【トバッシュ家の一室にて  ティルディー】


 「ん・・・ここは・・」


 僕はぼんやりする思考をフル回転させ何があったのかを思い出す。確か旅の話とかしていながらお茶を飲んでいたら気持ち悪くなって頭がぼんやりして・・そこから記憶がない。

 最後にソアンの名前を呼んだのは覚えているけど。

 ここにソアンがいなくて自分が今手足をベッドに拘束されているということはしてやられたのだろう。

 手足を拘束している手錠を魔法で取ろうにも魔法が発動しない。多分そういう不思議の力を封じ込める術式が組み込まれている手錠なのだろう。

 魔術は分かるにしても魔法までもが使えないとは思わなかった。まぁ僕が魔法下手だから使えないというのもあるかもしれないが。

 でも魔法が使えないにしてもどうにかして逃げなければいけない。あの時ティルディー(星になった方)は結婚話が出た後僕に願って星になった。

 だからこうやって手段を問わずともこの結婚を進められればいいのだろう。けど・・。


 「僕本人じゃないのにーー!!」


 なんで結婚なんてしなければいけないのか。・・願いを叶えたのは僕だけどこういう事態までは想定してなかった。

 もう一度ぐいーっと手錠と足錠をどうにかして外そうと試みるが非力な僕には無理だった。こういう時のために鍛えた方が良かったのかなと思うがいつかにやっていた筋トレはどんなに続いても五日だったのを思い出し「無理だな・・」と心の中で苦笑したのであった。

 はやく来てソアン・。。と天井に向かって呟いていると扉の外から足音が聞こえた。「まさかソアン!?」と思い扉の方を見たが現れたのは予想外の人物だった。


 「・・・・・君は・・・」

 「やぁ。久しぶり姉様」

 「・・・・・」


 ニコニコと張り付けたような笑顔で扉を開けたのはトバッシュ家の長男。ティルディーの弟であるルチャードだった。


 ティルディー(星になった方)からたまに話は聞いていたけどあんまり関りが無いと言っていた気がする。なのになんでここにと思い警戒心を強めルチャードを見つめる。


 「・・・ッチ。なんでお前逃げたんだよ・・・」

 「っぐ・・」

 

 近づいてきたと思ったら思いっきり腹部をを足で殴られた。痛い・・。怖い。


 「お前が逃げたせいで家大変だったんだよ。どう責任飛んだよ!」

 「やめっ・・・!」


 手や足・・色々な所を殴られた。顔は目立つからか殴ってこないけど・・痛い。回復魔法を使おうにも魔法が押さえつけられていて抵抗すらできない。

 手錠と足錠が付いているせいでされるがままだ。ルチャードが何か言っているが痛みでそれどころではない。・・


 「・・・っ助けて・・・ソアン・・」


 僕は一滴の涙を流し目を閉じた。ソアンが来てくれることを信じて・・。

 

 

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