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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
六章 星の花嫁編
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星の花嫁 part1

 星の丘で願いを叶えてもらってからニヵ月が経過しようとしていた。あの後星の丘から村へ戻ったらキラが「待ってましたよ!ティルディー様!これでトバッシュ家へ行くことができますね!」と喜んでいたが、ティルディーことティーの正体を知ってしまった俺としてはどうしたらいいんだろうと思って頭を悩ませていた。

 結局ティルディーの体調がすぐれないという理由で、今はトバッシュ家の領地であるレディアの街に滞在している。


 「すぐそこがトバッシュ家なのに・・」とキラが愚痴っていたがまぁ、ティルディーがゆっくりできるなら・・ということで街の宿屋で療養することになったのだ。


 そう言えば言い忘れていたが、ティーはティルディーという名を使い続けるらしい。「どうして?」と聞くと「これが僕につけられた足枷だからね!」ということだった。


 まぁそんなこんなで、度々キラから「トバッシュ家へ・・」みたいな言葉がくるが、上手くかわしつつニヵ月がたったのだ。


 それに俺も星のティルディーから頼まれごとをしているのだ。・・あの時。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 「・・・ねぇソアン・・最後に頼まれごとしてくれない?」

 「分かった。なんでも願いは聞く・・」

 「・・ありがと。あのね・・・ティーのこと君が守ってね?絶対、絶対だよ?」

 「分かった・・ティーのことは俺が絶対に守る」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 という会話をした。きっとトバッシュ家から魔物から・・色々なことがティルディーを襲うのだろう。それらから俺はティルディーを守らなければいけない。だからトバッシュ家へ行くのは俺もあまり気が進まない。きっとティルディーに何かしてくると思うから。


 コンコン


 「・・?はーい。開いている、どうぞ?」

 「失礼します・・ねぇソアン・・相談があるんだけど・・」


 来客はティルディーだった。ちょうど俺もティルディーと話したいことがあったからちょうどいい。俺はティルディーにお茶を出しソファーに座るように勧める。


 「あ、お茶ありがとう・・それでね。相談なんだけど、僕。トバッシュ家へ行こうと思うんだ」

 「トバッシュ家へ?」

 

 意外だった。ティルディーが自ら行きたいと言い出すなんて。前に聞いたティルディー達の過去。あの話を聞く限りトバッシュ家はいい場所とは言い難かった。そんなトバッシュ家にティルディーが行きたいなんて・・


 「うん。だってさ、このまま先延ばしにしても仕方がないかなって。キラだって仕事で僕を・・ティルディーを探していたんでしょ?このまま延ばしていたらキラが怒られちゃうかもしれないし、それに・・それに・・」


 それに?何なのだろうか?ティルディーはそこから口をもごもごとさせて黙ってしまった。


 「分かった、行こう。トバッシュ家へ。・・何があっても俺がティルディーを守るよ」

 「ありがとう、ソアン。キラに伝えに行ってくるね?」


 ニコッと笑ってティルディーは俺の部屋を後にした。ーーこれは後でティルディーに聞いた話だが、キラにトバッシュ家へ行くことを報告したところ「旦那様に報告しに行ってきます!」と物凄い笑顔で宿屋を出て行ったそうだ。


 ・・さすがにキラの行動力には驚かされた。


 

 そしてその夜・・


 「・・そういえばなんだがトバッシュ家でかなり星になった方のティルディーは冷遇されていたんだよな?なのにキラは探していたっていうし。本当に行って大丈夫なのか?」


 俺は心配になりティルディーに声をかけた。もう行くと決めたのだから、この判断が覆ることはないのだがどうしても心配になりティルディーに聞く。

 ティルディーの話によるとただの人間だということなので心配はいらないと言っていたがこれは星のティルディーから聞いた話らしいのでティルディー本人もトバッシュ家についてはあまり知らないらしい。会ったこともないと言っていたし。


 「・・わかんないけど僕も魔術・・魔法は使えるしソアンだって戦士でしょ?大丈夫だとは思うんだよね。何かあったときには対処できるし」

 

 まぁそれもそうかと思ってこの話は終わりになった。でも俺たちはこの後深く後悔することになったトバッシュ家をかなりなめていたのだと・・・。


ーーーーーーーーーーーーーー


 そしてこの話から三日後、面会が可能だとキラに言われ俺達三人はトバッシュ家へ向かっていた。


 「うわ・・・・マジで広い・・でっか」


 俺は目の前にある城を呆然と見つめていた。キラは城ではなく館だと言っていたが俺にとっては同じようなものだと思ってしまった。


 「そんなことを言っていないで入りますよ。旦那様も奥様もティルディー様のお帰りを心待ちにしていたんですから」


 ・・・トバッシュ家で空気扱いで心待ちにしていたは怪しい気がするけどここで怪しんでいても埒があかないので大人しく館へ入ることにした。・・そう言えばだが今日のために服がトバッシュ家から用意されていた。ティルディーと俺の分まで。だから今日はきっちりとした服装だ。

 人生で一度もこんなに綺麗な服に袖を通したことがなかったことがなかったのでまじで着るときに緊張した。

 ーまぁそろそろどうでもいい話は終わりにして・・気を引き締め俺達三人は館へ足を踏み入れた。中で待っていたのは金髪で黒目の中年男性と、キャラメル色のような髪で赤目の中年女性だ。

 二人は一瞬冷たい視線を俺たちに向けた後、それが嘘だったかのよういに笑顔を見せた。


 「!ティルディー!もう!心配したのですよ」

 「本当に・・」

 「・・!」


 急にティルディーは先程の男性と女性に抱き着かれた。ティルディーは何が起きたのか分からずフリーズしている。おそらくティルディーもこのような事態になるとは想像していなかったんだろう。俺も驚いてその様子を傍観していた。


 「・・あなたがティルディーを連れてきてくださった方ですかどうぞこちらに・・お話をお聞かせください」

 「・・・はい・・・」


 俺はそう言われ客間に案内され座るように促された。貴族のマナーなんて平民出身の俺が知るはずもないのでとりあえずお茶だけ飲むことにした。ティルディーも同じらしくお菓子は食べずにお茶だけを飲んでいる。

 そこからトバッシュ夫妻は俺たちの旅の話など色々質問し俺達も話をした。なんというか思ったより平和な時間を過ごした。

 警戒していた俺が馬鹿だった・・なんて思ったのもつかの間急に視界がぐらりと揺れ俺は持っていたティーカップを落とした。

 あ、貴族様のティーカップ割れたらやばいとかそんなことを考える余裕もなく俺は地面に横たわった。一緒のお茶を飲んでいたティルディーは大丈夫だろうかと視線を向けたがティルディーも同じようで口元を手で押さえている。

 ・・・何か毒か盛られていた。クソッ、お茶なんて飲むんじゃなかった。やっぱり警戒を解いてはいけなかった。ティルディーをどうにかしてでも守らなければと思い手を伸ばすが先に意識の方が途絶えた。


 「・・・・・ソアン・・」


 最後にそう呼ぶティルディーの声が聞こえた気がした。




 


 

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