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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
序章 星の下の運命
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星の下の運命 part4

 旅一日目  新月まで今日を入れて後十三日。


 今俺はティルディーとの集合場所である町の門の前に居る。俺は熱々のコーヒーを片手にまだ姿を現さないティルディーを一人寂しく待っていた。


 いや、一人ではないな。数分前から黒色の野良猫が俺の足元をうろちょろしている。俺とバディーを組めるほどの黒だ。それにふわふわとしていてあったかいな・・ではなく!!


 集合時間は九時のはずなのに今はもう九時半である。いや、さすがに遅すぎだろ!!!もう三十分も・・いや一時間前の八時から待っているからもう一時間半もここにいる。


 早く着すぎた俺も悪いがなんで三十分すぎても来ないんだ??大雑把な性格だなとは思ったけど時間にルーズなタイプには見えなかったんだが・・。


 風もビュービューと吹いていてとても寒い。昨日のうちに泊っている宿くらい聞いておくんだったと後悔してももう遅い。


 もういっそここでティルディーの名前を叫ぼうかと思ったとき。


 「ソーアーンーー!!!ソーアーーン!!!」


 どこからか俺を呼ぶ声が聞こえた。誰だ!俺を呼ぶ者は!!っつても一人しかいないのだけれど。


 「遅いよティルディー。」


 「ごめん!ちょっと目覚めが悪くて寝坊しちゃった。」


 ティルディーが走りながらこちらへやって来た。というか息切れがすごいな。そんな遠距離を走らせてしまったのだろうか・・。少しだけ罪悪感・・いやでも待たされたのはこっち・・・


 「はぁっはぁっつちょっと、待ってはし、走るのなんて久しぶりで。」


 ティルディーは激しく息を切らしながら言った。まぁ魔術士は魔術を使い敵を倒すからぶっちゃけ体力がない人が多い。というか動く必要あまりないからな。


 俺が前あった魔術師も基本的に魔術で戦闘をどうにかするので動かないそうだ。依頼がない日とかだと日常でも魔術を使うからマジで動かない日があるらしい。それって太らないのか?って聞いたらフルボッコにされた。・・・・・ちなみに性別は男だぞ?


 それに。人によると思うがな・・?


 「いや、ゆっくりで大丈夫だから、えっとはい水。」


 俺は鞄から水筒を出しティルディーに渡した。あ、念のために言うが俺は飲んでいないからな!俺が飲んでいたのはコーヒーだから!そう熱々の。


 「あり、ありがとう。」


 ティルディーは俺から水筒を受け取ると一気に飲み干した。あ、俺の水。全部飲みやがって・・・。


 心の中で文句を言っているとティルディーが満面の笑みでこちらを見た。・・・この笑顔が見られたなら水筒の水くらい安いもの


 ・・なのかもしれない。


 「はぁー美味しかった。あ、ごめん水全部飲んじゃって。えっと『水の精霊よ 心に溢れる 雨を今ここに』」


 ティルディーが詠唱をすると水筒の水が元の満杯になっていた。うわっ魔術ってすげぇ。でもこれから出発なのに魔術を使わせて大丈夫なんだろうか。


 魔術師は体内に魔力がありその魔力が尽きるともう動けないぐらい体がだるくなるらしい。


 あ、魔力っていうのは魔術を使うときの消費物みたいなもんだ。この世界に生きる生物なら全員が魔力を持って生まれる。量に個人差はあるが。


 だから俺にも魔力はあって魔術も習得すれば使えるんだが。扱えるようになるまではかなりの時間が必要となる。あと才能も。だからあまり魔術師になる人は少ないそのせいか魔力の研究もそんなに進んでないらしい。


・・・・言いたいことはとにかく魔術師はすごいということだ。十八歳で魔術師なんてティルディーぐらいじゃないか?というほどに。


 「はい。水ありがとう!魔術で水入れておいたから。」


 「あ、ありがとう。」


 俺はそう言うとティルディーから水筒を受け取った。ん?・・・というか今この水筒を直接飲んだら間接キスでは?


 ・・いや、でもさっきせっかく間接キスではないと心の中で説明した後だからな・・。でも・・。


 「・・・・。」


 水筒を見つめていると心の中の悪魔と天使がやってきた。


 『おいおい飲んじまえよ。女子耐性が無いお前が女子と旅することになってましてや間接キスだぞこんなチャンスないぞ!』

 

 ーーと心の悪魔が言う。


 『だめじゃないか!さすがに出会って二日目で間接キスをしてみろ。やばいやつだって思われて星の丘へ行くチャンスなんて消えてしまう!』


 次に心の天使が言う


 「んんんん・・・・いや!さすがに駄目だ!!」


 さすがに天使が勝った。


 「どうしたの?急に百面相をして?」


 ティルディーに不思議そうな顔で聞かれた。だがさすがに間接キスで悩んでましたなんて言えねぇ・・。


 「いや、なんでもない。行こうか。」


 俺はこの事実をなかったことにしようとした。・・そう隠蔽というやつである。知ったって俺がそんするだけだしね。地雷を自ら踏みに行く趣味はない。・・でもたまにいるよな空気が読めず地雷をバンバン踏みに行くやつって。・・俺あれ地味に尊敬するんだよな・・。


 「?そうね。じゃあ旅の始まりだぁ!」


 ティルディーは楽しそうに言うと町の門を颯爽と走って出て行った。先ほどまで久しぶりに走って疲れたといっていたのにまた走っている。体力はあるのだろうか。疲れやすいだけで。


 「あ、ちょっと待てよ置いてかないでってば!」


 「ほら!ソアンも!」


 そして俺たちは町を出発した。


 これから魔術師のティルディーと戦士の俺との星の丘を目指す旅が今。


 ・・・・始まった。

 


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