真実の星 part2
「ん・・ん。あれ?ここは?」
僕はゆっくりと目を開き体を起こした。だが目の前に広がる景色はいつも空から眺めているものだった。
「あ!気が付いた?えっと、大丈夫?お星さま」
「!?え?君は・・?」
僕はびっくりして数歩後ろへ下がった。ベットの上だからあまり下がれないが・・。目の前に大きな女の子がいた。髪は金髪でキラキラとした赤い目だとっても綺麗・・お姫様みたいだ・・。
「あ、私ね?ごめんねちょっとびっくりしてて・・。私はこの家の娘。ティルディーって呼んで。あなたは?」
彼女・・ティルディーはニコッと笑って僕を持ち上げた。フレンドリーな性格なのかそういう性質なのかどこか心を預けられそうな安心感が沸き上がった。
「・・僕はティー」
恐る恐る名を口にする。知らない人には個人情報を漏らしてはダメみたいなことを誰かに言われたことがある気もするがなんとなく信用できそうな感じがしたので名前を言った。
・・・・まぁ名前くらいなら知られても問題ないだろうと思い。
「ティー!なんだか名前似てるわね!」
そういいティルディーはベッドへ腰かけた。僕もやっとこの状況を飲み込み始めた。そして昨日の記憶を辿る。昨日は新月の夜で星が月に一回だけ地上に降り人の願いを叶える日。僕は生まれて初めて地上に降り、舞を踊って夜が明けそうになったから空へ戻ろうとしていた。
・・・・はずだったがそこから記憶がない。多分上手く魔法を使えなくて空へ帰れなくなったんだと思う多分・・。僕は魔法を使うのが上手じゃないから・・・。
「ねぇ・・・・」
「あ・・・!えっと」
考えすぎていたせいでティルディーの呼びかけに応え忘れていた。彼女の方を見ると少しもじもじとした態度でこちらを見てくる。・・・?一体何だろうと思い僕はじっと見つめた。
「あのさ!!もし帰る場所がないんだったらさ・・。その・・。ここに住まない!?」
本人も思ったより大きな声が出たのか少しびっくりして顔を赤らめている。
「え・・。」
僕は予想外の言葉に言葉を失った。
本来星の丘の結界外になったら星は存在を保てないが、どうやらここは星の丘付近の家なのか結界が行き届いているらしい。そのため僕も存在を保つことができてる。
・・そんな話はどうでもよくて。まあ、でも空へ帰れなくゆくあてもないため結局この家へ住むことになった。
これが僕とティルディーの初めての出会い。・・・このころはティルディーが未来の僕の一番の居場所になるなんて想像もしてなかった・・。
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数日後。やっと、地上の生活に慣れてきた頃、ディルディーの諸事情を知った。ティルディーは貴族の令嬢だがこの家では空気扱いだと言うこと。自分の理解者はいなくてここの家に居場所はないと言うこと。
今住んでいる屋根裏も居場所といえば居場所らしいがあまり落ち着かないらしい。色々な話を聞いて僕たちは友達になった。
「ねぇティーの住む空?空ってどんなところなの?みんなキラキラしてるの?」
ティルデイーはキラキラと目を輝かせて僕に聞いてきた。出会った夜にぽろっと星について口を滑らしたら、それからずっとティルディーは星について僕に聞いてくる。
今まであまり関心がなかった星だったけどティルディーに質問され始めてから少しだけ僕も星について考えるようになった。それに、こうやってティルディーが目を輝かせて聞いてくるから話している僕も楽しい。
「んーとね。キラキラはしてないかな・・。みんなすごいんだ魔法の扱いが完璧でなんでも上手にこなすの。僕は落ちこぼれだからあんまそういうことできないんだけど・・。なんていうかティルディー以上の化け物がたくさんいるって感じかな・・」
そう・・。みんなが完璧なのだ・・天才なのだ。天才じゃない僕は努力して勉強や魔法を習得するのでいっぱいいっぱい。みんなの会話にも入れず、いじめられた・・。でもティルディーはそんなことしない。だからとても心地がいい。
「へぇ。私の方はそんな天才の集まりみたいなのは逆に聞かないかも。私が逆に浮いてるって感じかな。魔術とか勉強とか頑張って手に入れたものなのにねたまれて家族にまで空気扱い・・・。なんだか私たちの世界って反対だね・・・」
ティルディーがそう言ったあと笑い出した。それにつられて僕も笑う。・・なんでティルディーと僕が正反対なのに安心できるか分かった気がする。
僕らパズルみたいなんだ。僕とティルディーがピースでそのピースがカチッとはまる感じ。それが僕らだ。正反対だけど環境は似ていて分かり合える。初めての親友・・。
「ねぇねぇもっとティーの話聞きたい!そうだな・・」
「えぇー僕の方がティルディーお話聞きたい!もっと人間のこと知りたいよ!!」
そう何時間も僕たちは話し合った・・・。こういう時間をたくさん過ごした。話し合いは嫌いだったけど好きになった。 ティルディーのおかげ・・。
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「あ、ティー見て見て!これバームクーヘンっていうの!おいしいんだよ!食べてみて!」
・・とある時には未知のお菓子を食べたりもした。僕はぐるぐるとした物体とにらめっこしていた。星の世界では食べ物という概念は存在しない。自然の力でエネルギーを蓄えているからだ。
だからティルディーに食べ物というものを教えてもらったときとても驚いた。人間は不思議なものを食べるのだと。
昨日はウインナーとチーズ一昨日はジャーマンポテトっていうもの。そして今日はバームクーヘンという食べ物らしい。「ばーむくへん」と最初に言ったら笑われた。むーせっかく星が頑張っていってるのに・・・笑うなんて・・。
「ぱくっ!」
僕は口にバームクーヘンというものを入れた。ふわふわとした触感がものすごく美味しかった。ウインナーのじゅわって感じやジャーマンポテトのほくほくといった触感とはまた違っていて面白い。味も甘くて幸せな気分だ。
「あはは!ティーいい笑顔!」
ティルディーは笑った。僕もつられて笑う。なんで笑ったかは分からない・・でもこういう時間は僕は好きだった。張り詰めた空気間でもなく誰もそれを批判しない。
そんな幸せな時間・・・。
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「ねぇティー・・私さ、あのキラキラした星にいつかなってみたいよ・・」
僕はその言葉を聞いて驚いた。だって僕にとって星での生活はとても嫌なものだったから。そんな話をした後でもティルディーの意見は変わらなかった。
でもティルディーは”天才”の部類の人間だから意外と合うのかななんて思った。
「えぇ・・逆に僕は人間になりたいよ・・・。暗闇の中でも立ち上がることを忘れない光り輝く人間になりたいよ・・。僕ら星は天才ゆえに挫折を・・暗闇を知らないから・・」
・・・そう僕は逆に人間になりたかったのだ。でもティルディーは苦い顔をしていた。ティルディーは話してくれたがこの家では空気扱いだからあまりこの空間はいたくないらしい。だからそんな顔をするのもうなずけた。
それにさっきティルディーが星になりたいといったとき多分僕も同じ顔をしていた気もするし。それからどっちの方がいいか論争などが繰り広げられた。
いつも一日があっという間で笑いの絶えない日々だった・・・。ずっとこういう時間が続けばいいと思った。僕もティルディーも笑いあえるそんな幸せな時間が・・。そして数年が経った。




