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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
五章 真実の星編
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真実の星 part1

 氷竜の峡谷の後、俺たちは歩いて星の丘へ繋がる村へと到着した。氷竜に聞いたところ、もう今日が新月の夜らしい。長いこと話をしてたものだと思ったが、渓谷と地上では時間の流れが違うから仕方のないことらしい。・・今はちょうど正午を過ぎたあたり。俺とティルディーはかなり早いが星の丘へ続く道を歩いていた。


 キラはというと「僕はなんとなく立ち入る場所ではないと思います」と言い俺たちが星の丘から帰ってくるまで村にいると言っていた。


 「「・・・・」」

 

 長い沈黙が流れる。「城で魔物と戦ったときに使っていたのは魔法なのか」「昔助けてくれた少女はティルディーなのか」二人になったら聞こうと思っていたことがたくさんあるのに聞き出せない。


 ーーこれまでの関係がすべて崩れてしまいそうで・・。過去に俺は人間関係でやらかしたことがある。あんなに仲の良かったはずの親友を無くした。それから俺は誰かの心の奥に踏み入るのが怖くなった。また人間関係が崩れてしまうのではないかと思って。でも言わなきゃ俺も後悔する気がする。もう話せなくなるかもしれないのに・・


 言い出そうか迷い、地面を見つめていると、ティルディーは歩く足を止め俺の方を見た。


 「・・・何か・・・話したいことでもあるの・・・?ずっと僕を見てる・・」

 「えっ・・・」


 そうやら無意識にティルディーを目で追っていたらしい。


 「えっと・・」

 「・・・・・」


 ティルディーは視線をずっと俺に向けている。逸らすこともなくただ言葉を待っている。俺も覚悟を決め口を開いた。大丈夫だ。きっとティルデイーなら・・それに俺も前の俺じゃない。ちゃんと聞かなきゃ・・。


 「・・・・ずっと聞こうか迷ってたんだ。ティルディーが俺を助けたあの時の少女なのか・・城で俺を助けてくれた時なんで魔法を使ってたの・・・とか・・・・」


 俺は言葉に途中詰まりつつも聞きたいことを聞いた。ティルディーが視線を逸らさなかったように俺もティルディーから視線を逸らさない。


 「・・・・ねぇソアン。一つだけ一つだけ昔話してもいい?」

 「え。あ、あぁまぁ・・」


 急にティルディーがそう言ったので俺は承諾した。でもなぜ昔話なのだろう。・・・・それとも昔話で俺の質問に答えてくれるのだろうか。


 「・・・・僕、本当はもっと早くこの話をしようと思ってた。でもソアンとの関係が崩れそうで話せなかった。でももう話さなきゃ・・じゃあ聞いててね」


 それからゆっくりとティルディーは話をし始めた。いつかの昔話を。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ーーー十年前


 「あーぁ。魔術、せっかく上達したのに誰も褒めてくれないし、お勉強だってやってもやってもどんどん課題出させるだけだし・・・。頑張れば頑張るほど敵が多くなる・・・。やだな・・」

 金髪の少女はそう独り言を言いながら星の丘で寝転んでいた。


 「・・もうすぐ日が暮れるけど、どうせ私が帰っても帰らなくても誰も気にしないんだろうな。お父様もお母様も大切なのは弟だし。どうせ私はいらない子。誰でもいい私だけを見てほしい・・。見なくてもいいから「頑張ったね」とか「すごいね」とかそういう言葉がほしい・・ほしいだけなのに・・・なんで・・」


 そういうと少女は重くなってきた瞼を閉じてその場で寝てしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 朝日が少女を照らすころ朝日のまぶしさで少女は目を覚ました。夜をここで過ごしてしまったのだ。


 「・・ん、?あ、あれ?もう朝!帰らなきゃ!」


 少女はそう言うと急いで立ち上がり家は戻ろうとした、さすがに一日と外で過ごしていたことを知られると怒られるかもしれない。走ろうとしたとき何かに躓き転んだ、


 「いったあ、こんなところにい、、。え?」


 そこにいたのはキラキラと光る星だった。本来空に浮かんでいるはずのお星様。新月の夜、夜明けと共に空へ帰るはずの星は夜が明けた朝また地上ーー星の丘にいた。


 「あなたいいの?星はお空へ帰らなきゃ」


 少女はそう言ったが僕はそこで意識が消えた。


 ーーー少女と 星の出会いだった。そう本来こんな朝日が当たる中ではありえない出会いだった。


 僕らは出会うはずなかったのに・・・これが僕の人生を大きく変えた一つの出来事だった。

 



 

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