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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
序章 星の下の運命
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星の下の運命 part3

 ーギルド近くのカフェにてー


 「じゃまず自己紹介からね。僕はティー・・ティルディー。苗字は無くて平民!年齢は十八。出身は・・東の都の首都。上級の魔術師だよ。」


 ティルディーは姿勢を正しそう俺に名乗った。その所作はまるでどこかの令嬢みたいだ。・・・って見惚れている場合じゃないんだけど。それに今自己紹介ですごいことを言っていた。


 「え、魔術師!?」


 魔術師と聞いて俺は思わず聞き返した。『魔術』というものは星が使う『魔法』を人間が研究をして作り上げたものである『魔法』と『魔術』の違いとしては『魔法』は自然の全てを理解する必要があり詠唱はいらない。『魔術』は自然の理解が曖昧な人間が作り出したものなので詠唱が必要だ。詠唱によって自然の理解不足を補っているようなもの。


 星が使う『魔法』と似ているだけあって扱うのはとても難しいといつかに話した魔術師が言っていた。・・・その時は魔術師とか魔法とかもよく知らなくてめっちゃくちゃからかわれた・・。


 駆け出し冒険者時代の苦い思い出の一つだ・・。珍しさあまりまじまじと見てしまったが俺も自己紹介しなければ。


 「俺はソアン。ゴホッツゴホッ・・失礼。俺も苗字はない、平民だ。年齢は十八で出身は南の都の村出身の上級の戦士。」


 緊張のせいかめっちゃくちゃカタコトに話してしまった。・・伝わっただろうか。


 「ソアンね。えっと大丈夫?風邪?」


 お・・伝わっていたみたいだがそれより自己紹介中、咳をしたせいで心配させてしまったらしい。


 「・・・大丈夫だ、少しむせてしまっただけで。」


 俺はそう言うとポケットから小瓶を取り出しその中に入っていたものを一粒手に取って口に入れた。これでもう大丈夫だろう。


 「そう。気を付けてね?じゃあ自己紹介もしたことだしそうだな・・・まず旅の目的について聞かせてよ。僕も一緒に行くわけだし聞く権利ぐらいあるでしょ?」


 ティルディーは興味津々そうな目で俺を見た。こんな陽キャ属性に見られると本当に胃に穴があく・・。ジトっとティルディーを見てからため息をついて話し始めた。


 「・・・昔誘拐犯から助けてくれた少女を探しているんだ。お礼を言うために。別れ際に星の丘へ行けば・・みたいなことを言っていたから・・・だから星の丘へ行って星に願うのが目的。」


 俺は真剣な眼差しでティルディーを見た。笑われるのかなと思ったが意外にも真剣に俺の話を聞いていた。


 「星の丘で願いをねぇ・・。でもそうね、星に願えばだいたいのことは叶う・・それも絶対に叶えられないような・・・人知を超えた願いでも星なら叶えてくれる・・。」


 そう言うとティルディーは注文したココアをごくごくと飲みほした。・・酒じゃないんだから・・。というかさっきの意味って・・?


 「ーーーーーーーーーーっじゃあ!さっさと星の丘いかないとね!」


 ティルディーはそう言うと机に大きな地図を出してきた。・・さっきの言葉は聞けなかったがまぁいいか。・・・でも本当にこの地図でかいな・・しかも貴族が持っていそうなくらい綺麗で大きい地図だ。


 冒険者を数年やっている俺でも見たことがない。まぁ貯金もあまりないからそもそも買う機会もないけど・・。


 「これは・・・世界地図?」

 

 「そうだよ。数年前に・・・助けた商人さんに貰ってね。ソアンはこの世界に東西南北の都があるのは知ってる?」


 「ああ。今いるここが南の都だろう?」


 俺は南の都を指さした。今の社会は教育が行き届いていて農村部出身の俺でも読み書きとか算術、最低限の地理などは学校で学んだ。

 

 まぁ国が無償でやっている学校は十五歳までの中等部までだから本当に最低限だけど。北と西は南と同じく中等部までらしいけど東の都は十八歳までの高等部まで無償らしい。


 いやぁいいね金持ちの国は・・。


 「そうそう。そして星の丘があるのは・・・。」


 ティルディーはペンを取り出し星の丘の場所をペンで指した。


 「ここ東の都、の奥地。」


 「ここに星の丘が・・・。」


 「そう。まず南の都を出て南と東の関所へ向かうそして関所から星の丘へ向かう。でも移動するのに必須な馬車の本数が少ないのとここから関所までと関所から星の丘への直通の馬車がないの。」


 苦笑いしながらティルディーは言った。


 「そうなのか。というかそれにしてもかなり遠いな・・・。」


  俺は地図を見ながらそう呟いた。


 「そうなんだよ。まぁ今月の新月は約二週間後。時間はたっぷりあるし寄り道しても辿り着けるよ。」


  ティルディーは胸を張ってそう言った。・・今思ったがティルディーってかなり大雑把な性格か?


  初対面ではかなり大人しい性格だと思っていたが多分緊張していたからだろう。心の中で思ったが口には出さずそっと心の奥にその言葉をしまった。


  魔術で攻撃されても嫌だしね・・。前に魔術師の地雷をふんで丸焦げにされたし・・。


 「なら良かった。じゃあ出発はどうする?」


  俺は早く行きたいせいか少し早口で言った。少しはしゃぎすぎて子供っぽすぎたかな?と思ったけどティルディーは気にしていないようだ。


 「僕は明日がいいかな防具とか点検したいし。それに関所までの直通の馬車はここから少し離れた町へ行かないと無いんだ。」


 「そうか。じゃあ今日は一旦解散して明日また集合するか。集合場所と時間は・・。」


 言いかけたがそういえば俺はあまりこの街に詳しくないため何か目印になりそうな建物がないか頭の中で思い返す。


 しかしこの街に来てから依頼以外で歩いていない事を思い出しそうそうに挫折する。


 「・・・この町の門にしよ、門に九時集合。分かりやすいし。」


 俺が頭の中で考えていたらズバッとティルディーが言った。


 「了解。じゃあ改めてこれから二週間よろしくな。ティルディー。」


 そう言って俺は手を差し出した。


 「うん。これからよろしくソアン!」


 ティルディーは俺の手を取り握手をした。

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