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星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
三章 宝石の姫編
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宝石の姫 part4

 旅を始めて五日目。新月まで今日を入れて後九日。


 あの後情報を共有し、気づいたら夜が明けていた。・・徹夜してしまった・・いや途中寝たから徹夜ではないか。・・まぁでも、話し合いをしたらかなり話がまとまった。

 王妃は昔穏やかな性格で、今みたいにヒステリックを起こしたり誰かに暴力をふるったり急に荒れたりするような性格ではなかったらしい。

 専属侍女の方の情報はというと侍女は伯爵令嬢で王妃とは幼馴染の仲。真面目で仕事熱心だったが、ある時から仕事中にぼーとするようになったそう。双子を出産後理由は分からないが国を追放されたらしい。そして今も行方はわからないと・・。


 「やっぱりおかしい!!」


 俺はそう言って立ち上がった。思いっきり立ち上がったせいで膝を机にぶつけた。痛い。


 「何が?ソアンの寝癖ですか?」


 キラが目をこすりながらそう言った。おいこらお前なに適当なこといってんじゃい!と思ったが、いちいちキレていたら話が進まないのでスルーすることにした。


 「違う!寝癖はおかしいが!」


 俺は慌てて寝癖を直してキラに説明した。・・・意外と寝癖はやばかった。ぐわんぐあんの髪だった。


 「王妃と専属侍女だよ!王妃が結婚して一年後ぐらいから様子がおかしいって、それに性格があそこまで普通変わるか?そりゃ体調とかなにか嫌な事件とかがあったら変わるけど突然だぞ・・?」


 ・・そう。突然王妃と専属侍女の性格は変わったのだ。それも二人同時に。

 

 「まぁーそれはおかしいかも・・?」


 ティルディーもあくびをしながら返事をした。ティルディー相変わらず眠そうだな・・。


 「魔物に呪われているとかじゃないよな・・?」


 俺は二人の顔を見て聞いた。俺は呪いとか魔術が関係している方はからっきしだ。呪いなんて魔王が存在した時代ぐらいしか聞いたことがない。だからお伽話系の話かと思っていたが、可能性があるなら聞いておくにこしたことはない。


 「ん・・呪い?聞いたことはありませんよ。そんなお伽話のような話」


 めっちゃくちゃ「何言ってんだこいつ?」みたいな顔をされた。・・別に俺も本気でそんなこと言ったわけではないが・・魔物の存在があるので、ここで下がるわけにはいかない。


 「魔物のしわさなら・・?」


 そう言うとキラも一理あるかも?みたいな顔に変わった。ほら!そうだろ。魔物なら可能性は・・。


 「魔物・・。ありえなくはないけど魔法使うってかなり難しいよ?」


 おっと可能性は軽く壊されたが難しいと言ってるのだから存在はしているんだろうか。それはそうと。


 「なんでそんなことティルディーが知ってんだ?」


 俺はティルディーを見てそう言った。魔術をティルディーは使うが魔法については知らないはずだ。


 「・・・・・魔術も難しいから」


 まあ確かに。魔術も難しいなら魔法ならもっと難しい。俺は納得し、一度咳ばらいをする。


 「・・まぁいいやあくまで可能性の一つだ。異変調査が依頼だしな。もう一度城に潜入して確かめなきゃ」


 俺はそういって立ち上がった。


 「そうね・・じゃあ今から城へ侵入ね!」

 「え・・・」


 キラだけが俺とティルデイーのやる気を呆然と見ていた。だってまさか今から行くとは思わなかったし・・


 ーーーーーーー

 

 ーーーというわけで城へ潜入捜査に来た。


 二人は二度目だが俺は初めてだ。最初は緊張したが今は緊張が解け、スパイごっこをしている気分で少しばかり楽しい・・。ニマニマとしていたらキラからギロリと睨まれた。・・おっとこれは潜入調査なのだ。気を引き締めなければ!


 『じゃあ、王妃の様子と双子の情報が最優先事項ね。ばれたらこの鈴を壊して』


 とティルディーに言われ二人とは別れた。鈴は前から作ってくれていたものらしく、これを壊せば煙が発生するらしい。なんでもない時に鈴を壊してはまずいと思いポケットにそっとしまった。

 でも、王妃か・・。従者の恰好をしていてそう簡単に会えるもんなのか・・・?。俺は周りを見ながら長い廊下を進んだ。

 廊下には金貨数百枚分に値しそうな金色の輝いているツボやこの城が書かれた絵画。初代国王の肖像画など平民では一生お目にかかれないようなものがずらりと並んでいた。珍しさあまり周囲の気配など気づかず歩いていると急に背中に衝撃があった。・・後ろから誰かに体当たりされたのだ。


 「ぐえっ」


 やばいめっちゃ変な声出た・・。というか誰だ?こんな高価なもので溢れている城で走りまわるやばいやつは・・?俺もそこそこやばいやつだけどと思い後ろを振り返った。


 「いたた、あ、すみません。仕事の邪魔して・・」


 振り返った先にいたのは小さな女の子(?)だった。額をぶつけたのか手で額を押さえながら小さな女の子(?)はすぐに立ち上がり俺に手を差し出した。


 「あ、ありがとう・・君は・・!?ルビア!?」


 俺はここにいるはずのない顔に驚いてうっかり名前を出してしまった。だがすぐに正気に戻り、目立つことをしてしまったと思いめっちゃ焦った。


 「へ?私は・・・あっ。あーっ!?」


 女の子は髪に手を当てて何かがないように辺りを見回して声をあげていた。俺の視線の先にあるのはルビアとルビアの足元に落ちている長い髪のかつらだ・・。


 「「・・・・・・・」」


 長い沈黙の末空き部屋に手を引っ張られた。多分ルビアもばれるのはまずいのだろうと思い大人しく空き部屋に入った。そして二人っきりになったと思った瞬間、俺はルビアにネクタイを引っ張られ綺麗な目を鋭くとがらせこう言われた。


 「今の、秘密にしろよ・・。じゃ・・」


 そういい出ていこうとするルビアの手を掴んだ。さすがに「今の、秘密にしろよ・・」だけでは色々疑問点が残りすぎる。せっかくルビアに出会えたのなら色々質問しなければ気が治まらない。


 「待って、その君はルビアだよな・・・・。なんでここに?というか男・・?どういうことだ?いやですか・・?」

 「・・・・・」

 「ルビアは何者なの?貴族だったの?それとも王族?」


 ここにいるなら俺と同じく侵入者の可能性もあるが普通にドレス姿で歩いているならマジで貴族の可能性が出てくる。めっちゃ敬語はずしてしゃべっていたやばいかも。という焦りの方が多い・


 「・・・君、私のことは調べたんだろ?だいたい予想はついてるんじゃないか?」


 ・・・予想はついていない・・。双子の情報は全然入手できなかったとティルディーとキラが話していたから。俺は目をそらさずじっとルビアの目を見つめる。


 「・・・ふーん。知らなかったんだ。私は第二王子であり第一王女でもある。片割れは・・。双子だったけどもういない。六歳のとき病気で死んじゃったから」


 「死・・・?でも死んだという話は出ていないはず・・」


 ・・そうキラが入手した情報では第二王子と第一王女がいて二人は双子で離宮にこっそりと住んでいるということだった。だからてっきり生きているものだと思っていた。


 「生まれつきの病気だったしね。それに私たち双子の情報は基本的に誰も知らないし離宮には侍女一人と護衛騎士一人しかいないから。普段は会わないし隠そうと思えば隠せちゃうもんなんだよ」


 そういうものなのか?と思ったが口には出さない。出したら多分話があっちいったりこっちいったりで大変なことになりそうだしな。それにしても・・生まれつきの病気か・・。苦しかっただろうに・・。


 「そうなのか・・・じゃあなんで第一王女のふりもして一人二役もしていたんだ?」

 「・・生きられなかった妹の分まで王女として生きようと思ったから。妹は世界を知りたがってたから。まぁ半分はこれが理由だけど半分はどっちの姿も使えた方が都合がいいから」


 都合がいいからかい・・。


 「えっと・・あとなんで昨日は街に・・?」

 「・・妹の姿なんて誰も知らないしな。王子として街に出て言ったら護衛もつけてないんだから誘拐とかされるだろ?まぁお忍び姿というか・・」

 

 もごもごとそう言った。まぁそうか離宮住まいの王子でも王子だもんな・・。攫われたらかなりの問題だ。それに第二王子の顔は意外と知られているようだったし素顔で出かけるというわけにもいかないのか。大変だな王族って・・。


 ・・・ん?でも王子ならなんで城で依頼しないんだろうか・・。さすがに金はあるだろうに・・。


 「なぁ・・。なんでわざわざ俺から財布を盗んだんだ?王子なら金あるだろ?」

 「いや・・・そもそも目立って依頼はしたくなかったんだ。そんなときに近くの街から「謎の症状を解決した二人組がいる」っていう話を聞いて。まぁ三人だったから疑問には思ったが特徴はあっていたからな。普通に話しかけようかと思ったがあまり人と話さないしな話しかけ方がわからなくて財布をすった」


 ・・・王子よ普通に話しかけてくれ・・。心の中でそう願ったが伝わるわけもない。まじであの時は全財産失うかと思った。

 

 「・・・」




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