表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星は僕を見ていない  作者: 雪道 蒼細
二章 謎の症状編
11/90

謎の症状 part2

 俺とティルディーは街の人に聞きこみをすることにした。情報収集をしなければこの謎の症状の原因も分からない。


 「この街でなにがあったんですか?」


 俺は近くにいた涙が止まらないというおじいさんに足をかがめて聞いた。


 「領主様の・・。ううっ、領主様がご結婚された奥様が来てから謎の症状が出始めたんじゃ。奥様は自分のせいかもしないって数日に一回は街の様子を見に来てくれるんじゃが・・。原因はわからんよ。うううっつ・・」


 おじいさんは泣きながら事情を説明してくれた。他の街の住民にも同じことを聞いたが皆症状は領主の妻が来てからだと言う。でも奥様は原因解決に必死だから奥様のせいではないと思うと言う人もいた。

 始めは数人程度だったがここ一か月でさらに症状を訴える人が増えたらしい。この街はもともと冒険者や商人などの出入りが少ない閉鎖的な街だったそうで他の街やギルドにすら情報が流れていなかったみたいだった。

 ここ一ヶ月は前よりも閉鎖的だったらしい。数人の冒険者は一カ月以内にも来たみたいだったが、逃げてく者や治そうとして症状が現れてしまった者ばかりで解決しなかったらしい。


 「・・領主の妻か。そもそも領主ってすぐには会えないよな」


 この街から少しだけだけ見える館をみながら俺はそう言った。少なくとも南の国では貴族様なんて簡単に会えなかった。それに平民だと、たまたま視察に来ていた貴族を見れるくらいだ。


 「そうだけどさ、街がこんな状態なわけだしきっと領主さんも話を聞いてくれるよ。行くだけ行ってみよ・・?」

 「どうした?」


 急にティルディーが動きを止めた匂いを嗅ぐ動作をし始めたので何かと思い尋ねた。


 「いや?なんか、甘い匂いがするなーって。いいなぁお菓子。僕結構好きなんだよね」

 

 今はそう言っている場合ではないだろうと思いつつティルディーの背中を押しながら領主の館のある方向へと向かった。

 (でも・・確かに甘い匂いがする気がする)

 

 ーーーー領主の館前ーーーーーーーーーーーー


 「ここだね・・・」

 「ここだな・・」


 俺とティルディーは大きすぎる館を前に立ち尽くしていた。南の国にいたときでさえ、こんなに大きな館は見たことがなかった。まぁ南の国の首都へ行けば見れただろうがあまり人の多いところは好きではないので行く機会はない。


 「ほら、ソアン、門をたたいてよ」


 いまだに立ち尽くしている俺に対してティルディーがそう言った。内心ティルディーがたたいてほしいななんて思ったけどこう断定されては断れない。


 「・・・・あぁ」


 ・・・はぁー俺に頼むのかよ・・。あまりこういうのは率先してやりたくはないがまぁ致し方ない。俺は返事をして勢いよく門を手でたたいた。


 ギギッギギギ


 門の音と共になんかやばそうな音もセットで鳴り響いた。やばい壊したか?


 「ソアン壊したんじゃない・・?」


 ティルディーが恐る恐る聞いてきた。・・俺もその考えに少しだけ至ったがそれは考えたくない。貴族様の門を壊したと分かればめっちゃ高額な賠償金を払わなければいけないはず。俺の今まで稼いだ額で足りるだろうか・・。いや考えない方がいいなうん。


 「やめてくれ、何も言うな」


 俺はそう言うと耳を塞ぎじっと館をみた。すると数秒後、館の扉が開いた。


 「あれ?あの人は?」


 杖をついて出てきた三十代くらいの男性は門の前に立たずむ俺たちの前へやって来た。足が悪いんだろうか。


 「お前たちは冒険者か・・?」

 「あぁ・・そうです。街の様子がおかしいから領主様に事情を聞きに来ました」


 ・・・やべぇ敬語忘れるところだった。もしこの人が貴族なら不敬罪になってしまう。こんなところで不敬罪で処刑!なんて言われて人生エンドしたくない。

 ハッピーエンドどころかバッドエンドだし!俺は気を引き締め俺は街の人から聞いた情報を男性に話した。


 「領主は私だ。やはり街でもそんなことが・・・」


 事情を聞いた男性は顔をしかめながらそう言った。というか、この人が領主か・・。良かったちゃんと敬語使っておいて。そして俺は失礼ながらもじっと顔を見た。


 「『やはり』とは?なにか心当たりが?」


 俺が領主を観察していると今まで静かに話を聞いていたティルディーが口を開いて領主に聞いた。


 「いや、私の家の住み込みの使用人もその症状を訴える者が数名いてな。それと妻が・・・。いやなんでもない。帰ってくれ。これ以上話すことはない」


 ・・・?「妻」というワードを話し始めた途端急に話すのを止めてしまった。何かあるんだろうか?


 「失礼を承知で聞きますが妻とは?領主様の奥様のことですよね?何か心当たりが?」

 「・・・・」


 領主は怒ることも何も言うことはなく黙ってしまった。帰れということだろうか?でもあと少しで情報が手に入りそうだ・・ここは引きたくない。


 「あの、領主様、一度奥様と会話することは可能でしょうか?」


 領主の妻に何か聞ければ少しはこの状況も進展するかもしれない。

 

 「・・・妻は最近部屋にこもっていて会えるかどうか・・まぁ一旦入ってくれ」


 領主はそう言うと俺達を館へ案内した。どうやら奥様には合わせてもらえるらしい。その時領主が扉をノックしたとき服から腕が少し見えた。 

 ーーー?今領主の腕に傷跡が見えたような?あとなんとなくだが甘い匂いがする。香水だろうか。

 数秒間扉を領主がたたいても返事はない。どうやら出てきてはもらえないらしい。


 「・・・・やはり駄目なようだ。すまないが帰ってくれ」


 ・・・俺たちはそう言われるほか引くしかなかった。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ