明晰夢
今日もまた見る。
いつもの夢。
長い階段を降りていく、いつものように一面の券売機で見たい夢を探す。
「うーん」
「何かお探しですか?」
「え!?」
「おやおや、驚かせてしまい申し訳ございません。」
「喋れるんだ、、、、」
今まで一度も会話をしてこなかったため、どこか機械的に感じていた。
「もちろんです。夢の国の番人をしておりますイヴと申します。」
「ユズです。どうも、、ふふ、なんか改めて自己紹介なんて恥ずかしいなぁ~!」
「ところでユズさん。今日はおススメのタイトルがございますが、是非一度ご覧になってはいかがでしょうか?」
ズイッと顔を近づけ、食い気味に言うイヴ。
若干引きながら、特に見たい夢もなかったので提案を聞いてみることにした。
「どんな夢なんですか?」
「とても愉快爽快なファンタジーですよ。ある国の勇者と異世界転生してきた聖女が仲間とともに強大な敵を倒しに行くのです。」
「まぁありがちですね~?なんでおススメ?」
「よくぞ聞いてくれました!!そう。強大な敵は本当に”悪”なのでしょうか?主人公目線から都合が悪いから”悪”にされているのでは?”正しいこと”とは何なのか?」
なんだか哲学?みたいで頭壊れそう。
結局何をする話なんだろう?
「フッフッフ。己の道は己で決めるものですよ。もちろん好きに行動していただいて構いません。」
「ほーん、、、」
「やる気が感じられませんねぇ。そうだ!特典として、全属性の魔法の適正と知識レベルは~・・・ん~そうですね!人並み程度。その代わり世界で一番最強の運の持ち主というのはどうでしょうか?」
どうでしょうかと言われても、まぁ夢だしね。なんでもいっか!
「なんでもいいです。(言われてもよくわからないし)」
「おぉー!そうですか!ありがとうございます!それでは、お連れいたしますね!」
今日はいつものドアじゃないんだなぁ。
とぼんやり思いつつ手を取られたと思ったら、パチンと指を鳴らし
気づいたら人ごみにいた。
「え。まじか。ここどこ。」