私の婚約者が決まった話
リアナの婚約者が決まったというお話です。どうぞ最後までお読みください。
「リアナ様、第一王子様とのご婚約おめでとうございます!」
そう言って彼女が育てたという花束を私に渡すローズ。
「わぁ~!凄くきれいな花ね!ありがとうローズ。」
そう、私リアナ・グローレンスはこの間、国の第一王子と婚約したのである。今から詳しく話すわ。
数日前
「リアナもエイルも、そろそろ婚約する年ですわね」
お母様が手に本の様な物を抱えてニコニコしている。なんだか嫌な予感がするのは気のせいかしら。お兄様はお母様が抱えている本らしきものに目をやり、軽くため息をつく
「つまり俺たちにお見合いしろということですか?」
とお母様に単刀直入に聞く。なるほど。確かにお兄様は婚約者を決めるべき年ではある。つまり手に抱えていたものはお兄様用のお見合い資料かしら?でもなんでか量が多いし、私まで巻き込むということは………
「ええ、その通りよエイル。でもまずはリアナ。少しこちらにいらっしゃい。」
ごくりとつばを飲み込む私。お母様はニコニコしているけれど目が不穏な感じになっている。恐る恐るお母様の方へ進むと、お母様は表情を変えて
「リアナ。今から第一王子のロン王子がこちらにいらっしゃるそうよ。」
「ロン王子が…………なぜ?」
「フフフ、あなたのお見合い相手よ。さあっ!!!今すぐ支度してらっしゃい!!!!」
強めの口調で話すお母様の顔は焦りと緊張が混じっていて、結構恐ろしく見えた。
「いいいい今すぐ支度してきます!!!!!」
大急ぎで部屋を飛び出す私!近くの部屋に入り支度しようとすると、マリーが私の支度を手伝ってくれた。マリーの服選びのセンスは凄まじいのでここは任せよう
「さあリアナ、出てきてちょうだい。」
お母様に言われて支度を終えた姿を見せる私。
薄い桃色をベースとしたAラインのワンピースにルビーのネックレス。全てマリーが考えたコーデだ。マリーの服のセンスは半端ない!本当にマリーにはいつも感謝しているわ。
「あら素敵ね。さすがはマリーのセンスね。」
「恐れ入ります奥様。」
「よし、これで準備は済んだわね。」
お母様の表情が和らいだことに安心する。そういえばお兄様がいない。
「あの、お兄様はどちらに?」
「エイルは早速お見合いに行ってもらっているわ。」
さ、さすがはお母様、お母様は昔から手回しが早いのよね。するとメイド長が
「奥様。ロン王子がお越しになられました。」
「分かったわ、応接間にお通して。リアナ、頑張るのよ”絶対”に失礼な行動はしないように」
おお。なんだかすごいプレッシャーを感じるわ。頑張らないとね。
「ロン王子。お初にお目にかかります。リアナ・グローレンスです。」
「これはこれはリアナ様。僕はロン・リヴァーです。」
王子様と話すことなんて絶対ないと思ってたのに、まさか話すなんて。
「リアナ様。少し外にでも出ませんか?」
「はい。行きましょうか。」
おお~!近くで見るとこの子、結構な美形だわ。茶髪に黒目。言い寄る御令嬢がわんさかいる理由もわかったかもしれない。失礼なことはないように気をつけないとね。
「リアナ様。す、少し離れていただけませんか?…」
へ?気付いたらきれいな顔でつい引き寄せられてしまい、結構近くまで顔を覗いていた。彼は驚きの顔だった。早速やらかしてしまった~絶対いやらしい気持ちがあると勘違いされてしまう。いや、その前にまず首がはねられるかも……
「し、失礼しました。どうかお許しを~~!!!!」
土下座しようと思ったらロン様が慌てて止めた
「いいえ!どうかお顔を上げてください。」
よ、よかった~、ギリギリ許してもらえたわ。ここはお言葉に甘えよう。
「…ありがとうございます。」
とこんな感じでお見合い一日目は終わった
二日目
「数日ぶりです。ロン王子。」
今日は応接間でお茶を飲みながらお話しようと思う。
「リアナ様の魔力属性は何ですか?」
「私は水です。ロン王子は?」
「僕は風です。実は僕、水の魔法に興味がありまして、良ければリアナ様の魔力をお見せしていただけませんか?」
「はい、構いませんが。一度庭に出てからお見せします。」
一度庭に出てみせよう。屋敷でやったらお母様やお兄様に小言をもらうだろうからね。
「危ないのでお下がりください、王子。」
王子にけがを負わせたら大変なので下がらせておく。せっかくなので今日は、私の得意な水のアーチを作ろう!ちなみにこれは、お兄様に教えてもらったテクニックである。
「はあっ!!!!!!」
ブシャー!!!!!!
今日は張り切ったのでいつもより大きくなっちゃった。
「…………」
王子の方を見ると、王子は目を丸くして固まっていた。王子の顔にこんなに強い魔力見たことないと書いてあった。固まっている王子に声をかける
「王子?私の魔力はいかがでしたか?」
「………はっ!すみません。あまりにも強い魔力でしたので驚いて固まってしまいました。お見せくださりありがとうございます。」
噓をついているような表情は見当たらないのできっと本心だろう。
「嬉しいお言葉ありがとうございます。」
やった~王子に技、褒められちゃった!これでお兄様によい報告ができるわ!「リアナ様の魔力は国で一番と言えるでしょう。この国は…ってリアナ様、聞いていますか?」
褒められたー!やっぱり今回の人生スムーズそうね!楽勝!
「リアナ様、リアナ様。」
ようやく王子が私の名前を呼んでいることに気づいた。
「ああ、えっとすみません、何ですか?」
「婚約の話なのですが、リアナ様の魔力はすごくお強いです。今、この国の魔力はほかの国より非常に弱い状態で、これは国際問題でもあります。ですが、リアナ様がいれば、この国の魔力は高まるのではないでしょうか?………リアナ様、国のためにも、一族のためにも僕と婚約してくれる気はないでしょうか?」
「…………へ?」
最初に出た言葉はこれだった。いやいや、話がいきなり過ぎない?そういえばローズが言ってたっけ。第一王子のロン様は国のことを第一に考える人で、大切な話が少し急だって。年々その癖はよくなってきてるらしいけどもう少し時間がかかりそうらしい。でも美形だからか言い寄る御令嬢は絶えないらしい。
そもそも王族の誘いを断ることなんて、最初からできないのだ。でも、王子の婚約者なんて前世では一度でいいからなってみたいと思ったものだ。んー………いろいろ断ったら面倒なことになりそうだし、前世の夢をかなえるのもいいかもしれない。ここは覚悟を決めなければならない。
「リアナ様、僕との婚約お受けしてもらえますか?」
王子が私の目の前で膝たちをし、手を差し伸べる。
「はい、喜んで。」
王子の手に自分の手を重ねる。王子の唇が優しく私の手に押し当てられる。このまま婚約破棄されなければ私は王子の妃となる。フフッ、これからの人生どうなるのか楽しみだ!
「おめでとうリアナ。まさか王子とお見合いしたら、こんなに早く決まるなんて思わなかったわ。」
「おめでとうございます、お嬢様。」
皆から祝福され、少し照れくさくなってしまう。まだお兄様の姿が見えないわ。お兄様が帰ってくるのはいつかしら?ちょうどその時メイド長が
「今、エイル様がお帰りになりました。」
やっと帰ってきた~お兄様にいろいろ報告しなきゃ!
「ただいま帰りました。」
「お帰りなさい。随分長かったわね。朝から行かせたはずなのに、晩餐に帰ってくるなんて。」
「実は…………」
なるほどね。お兄様が美形すぎて相手の御令嬢がぶっ倒れたんだと、しかも引き止められて長話させられて、倒れた御令嬢の看病までしていたらしい。そりゃあ帰りが遅いのも仕方ないよね。
で、結局お兄様のお見合いは、しばらく延期になるらしい。あ。そうだ、お兄様にも婚約したことを伝えなきゃね。お兄様はよくロン王子と仲良くしているから喜ぶだろう。
「お兄様、お帰りなさい。私、ロン王子と婚約したのですよ!あとね、ロン王子にお兄様から教わった技を褒めていただいたんです。お兄様のおかげで______」
「…………は?」
「つまりロンと婚約したのか………?」
「はい。そうですが?」
「そ、そうか…………おめでとう。」
そう言うとお兄様は下を向いて、何かをぶつぶつと言っていた。聞こえたのは「なんで妹が」や「あんな国第一の男の妃なんて」とか、なんだか意味深なことを言っていた。まあいいや、きっとお兄様なりの心配の仕方だろう。
皆食卓に着いたわね。
よし!お祝いの代わりにお腹いっぱい食べるわよ!
今回も最後までお読み下さりありがとうございました。