入城
動きのとれない御料車でのパレードに見切りをつけ、魔力バイクのタンデムでの入城を目指す。
カレンはギルバードの後ろ、アコーダはクレストルの後ろに乗る、はずだったがカレンが思いっきりゴネた。
カレン「私は前がいいわ!」
ギル「俺の方が運転は上手いんだし、カレンは後ろに乗って手を振ってればいいんだよ。」
カレン「なによ!私だって練習して上手くなったんだから!」
因みに、馭者2人と戦う為に自らドレスを短く切って露出過剰となったカレンだったが、プレセアとソアラの配慮で今は表に出ている肌面積は多少抑えられている。
バラカーンが使者としてやってくるまでの3日間、暇を持て余したカレンは魔力バイクを乗り回していた。
この頃はアコーダを救出したばかりで身の危険を心配する向きもあったが、素直にじっとしているカレンではない。
元々の身体能力の高さも相まって魔力バイクを乗りこなせるようになっていた。
ギルバードもカレンも譲る事はなく、最終的にクレストルが折れた。
カレンの後ろにクレストルが乗り、ギルバードの後ろにアコーダが乗る形に収まった。
「さあ、行くわよ」
カレンが勇ましく先頭を走る。塀や壁を利用して屋上に駆け登り、建物間をジャンプで越えていくのは、ギルバードとクレストルが宿屋から出発した時と同じ。
違うのはスピード。カレンが負けん気を出して「自分の方が上手い」と言わんばかりにオーバースピード気味に建物を渡っていく。
それでも事故を起こす事もなく進んでいくのは流石と言えるが、もはやパレードの延長ではなくレースに近い。
クレストルは開発中の試運転で多少の無茶は経験済み。音を上げる事こそ無いもののタンデムは初めてで勝手が違ったらしく、しがみ付いているのが精一杯だった。
クレス「おい、スピードの出し過ぎだぞ」
カレン「何言ってるのよ、まだまだ行くわよーー!」
ギルバードも負けん気は強い方だが、ここでノってしまうとカレンが喜んで更にスピードを上げるだけなので、保護者意識を強くして自重した。
ギル「大丈夫か、アコーダ。魔力バイクは初めてだろう?」
アコー「乗るどころか見るのも初めてだが、なんとか噛り付いてでも落ちないようにするよ。それとあんなに自由に活き活きとしている姉様を見ているのは気分が良い」
ギル「……確かにそうだな。必死な顔をしているクレストルにはもうちょっとだけ頑張ってもらおう」
斯くして、カレンが先頭を維持したまま屋上で行けるところまで城に近付き、そのまま入城。クレストルも何とか耐え忍んで落ちずに済んだ。
間を置かずにギルバードとアコーダも無事入城を果たした。
ギルバードが予想した通り、御料車からアコーダとカレンの2人がいなくなった事で自然と観客が減り始める。
10分もすれば進行ルートからも人がいなくなり、御料車は動き出した。
反乱を企てた馭者A&Bの2人は既に護衛騎士に引き渡され、追っての沙汰待ち。
重傷を負ったカローランはソアラの魔法のおかげで一命を取り止め、今は普通に動けるくらいまで回復している。そのカローランが馭者の代わりを務めた。
4人減った結果、御料車に残っているのは6人。このうちバラキューダスとハイウエは古くからの重臣。プレセアも宮廷序列1位の魔導士でこの3人は、そこそこ名の知られた有名人。
※ 勇者候補のカークは名前の認知度はあるが、顔は知られていない
既に観客は疎らとなっていたが、暖かい拍手の中、パレードは終了した。




