表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/60

目覚め

<回想:パレード開始の直前の出来事>


「チェロック、アスカ、それから(みんな)。相談があるんだが……」

さあもうすぐパレードが始まる、そんなタイミングでギルバードが話を切り出した。

ギル「クレストルの事なんだが……」


アスカ「良いわよ。貴方も同じ答えでしょ、チェロック?」

チェロ「ああ、そうだな」

ギル「まだ中身を言ってないんだがな」

アスカ「あら、クレストルに付いていたい。で、パレードを欠席するんでしょ。違った(笑)?」

ギル「その通りなんだが、よく分かったな」

チェロ「俺だって分かったぞ。付き合いも長いし。あと、お前は結構分かり易い時が多い(笑)


ギル「すまないな。今日目覚めるはずなんだ。そしたら遅れて合流するつもりだ」

アン「なんで目覚めるって分かるんサー」

ギル「なんでって、お告げみたいなもんがあったというか……」

ドラゴニックの事を説明する訳にはいかず、口籠(くちごも)ってしまう。


アスカ「理由はおいといて、ギルバードが言うならそうなんでしょう」

ギル「カレンもアコーダもそれでいいか?」

アコー「(おれ)の立場では嫌とは言えない。それに元はと言えば、クレストル殿の怪我(けが)(おれ)が原因だ。ギルバード殿の判断に(ゆだ)ねたいと思う」

カレン「大人になったんだねぇ、アコーダ。ギルバードに任せておけば大丈夫、大船に乗った気でいなさい」

アコー「ああ、うむ」

   (そのギルバード殿がパレードに出ないって話なんだけど……、まあ良しとするか)


<回想:クレストルの覚醒>


クレストが眠るベッドのサイドテーブルの花瓶には大きな花が飾られている。

「いい匂いがする。病人には香りが強すぎるかもしれんが、お前は悪いところが1つもないらしいから問題ないよな」

ギルバードがクレストルに話しかけた。返事は期待していない。独り言みたいなものだ。


ドーン、ドドドドドという音を伴って花火が打ち上げられ、パレードが始まる。

「音と振動が凄いな。部屋の中にいても響いてくる。パレードが終わったら即位戴冠式、その後は晩餐会(ばんさんかい)。長い一日になるぞ」


ギルバードが窓を全開にする。

「良い天気だなぁー。天色(あまいろ)の空がとても気持ちいい。絶好のパレード日和だ」

御料車が少しずつ遠ざかっていくのが見える。想像していたより護衛騎士の数は多かったが、観客はそれを遥かに上回っている。

「焦る感情が全く湧いてこない。へぇー、今日必ずお前が目を覚ますと確信してるんだな俺。自分でも気付いてなかったが、結構ドラゴニックの事を信頼してるみたいだな」


「いつまで寝てるんだ、クライド!ぐずぐずしている時間はないんだぞー。……なんてな」

今度は大きめ声でクレストルに話しかけてみたが、やはり返事は返ってこない。

窓から入って来る心地良いそよ風に身を(ゆだ)ねて、目をつむる。

「これが終わったら次はどうするかな。アイシスやサンドラあたりを訪ねてみようか」

そしてこの先の事を考えてみる。


突如そよ風が気まぐれを起こし、強風が舞い込んでくる。

(あお)られてベッドのサイドテーブルに飾ってあった花瓶が倒れ落ちて割れる。

ガシャン!と大きな音がした。


「華が大き過ぎてバランスが悪かったんだな」

ギルバードが落ちた花を拾う。

「ギル(にぃ)、なんか割れた音がしたけど、どうかしたのか?」

ギルバードが誰かに話しかけられた。

 

ギル「花瓶が割れてしまって……おい、お前……」

ギルバードは驚いた表情を見せながらもとりあえず床にこぼれた水を()いている。

クレス「なんだか体がバキバキなんだけど、寝違(ねち)えたかな」

ギル「寝違えは首だろう。体がバキバキなのは1週間丸々眠っていたんだから、まああ当然だろう。それより、今お前ギル(にぃ)って……記憶が戻ったのか……」


クレス「記憶?ああ、なんか妙な感覚があるな」

(のち)の確認作業で明確になるのだが、どうやらクライド・ラインベッカとクレストル・マークチェイス両方の記憶が残っていて、一部が混じり合っているような感覚らしい。


ギル「それにしても目覚めるって、そういう意味かよ。ドラゴニックのやつめ」

悪態を付きながらも嬉しさを隠せていない。

クレス「細かい話は後にして、ギル兄、今の状況を教えてくれないか」

ギルバードはアコーダ救出作戦の結果からパレード&即位戴冠式までの流れを()(つま)んで説明した。


クレス「そうか。俺の道具が役に立ったんだな。良かった」

ギル「役に立ったなんてレベルじゃない。功労者だよ、クレストルは」

クレス「でもまだ終わってないよな?」

ギル「その通りだ」

クレス「じゃあMVPを取りに行かなきゃな」

ベッドから出て、クレストルが体操をして体をほぐす。

 

ギル「でもお前、体がまだ……。ずっと寝たきりだったんだ、無茶するな」

クレス「俺は基本無茶が嫌いだ。道具が壊れるからな。それでも今は無茶のしどころだと思う。迷惑かけた分を取り戻したい!」

15年振りの再会?にもかかわらず、クレストル(クライド)の態度は至って普通。

あまりに呆気(あっけ)なさ過ぎてギルバードにしてみれば、もう少し感慨に(ふけ)っていたいところだが、クレストルはお構いなし。

「腹減った」といって、着替えるのと並行してパンとスープを駆け足で平らげた後は、クラフトマスターの面目躍如。

あっという間に魔力バイク2台の整備を済ませてしまう。


クレス「魔力バッテリーに魔力を貯めといてくれたんだな」

ギル「カークとカレンがな。お前が眠っている間に遊びで乗り回して結構上達したみたいだぞ」

クレス「へぇー、そいつは是非とも感想を聞いて今後の改良の参考にしたいもんだ。さて」

最終チェックを済ませたクレストルがグッドサインをしながら「いつでも行けるぜ!」と力強く言った。


「よし、パレードの御料車に追いつくぞ」

ギルバードとクレストルが魔力バイクに(またが)り、勢いよく走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ