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2マンセル

4人の射手による第1次襲撃をミュウウィの警告と堅実な守りで防いだ一行だったが、それも束の間。しばらくすると第2次襲撃を受ける。


先程は4人の射手による奇襲だったが、今度は倍の8人。但し、問題は人数ではない。

射手は先程と同じ4人なのだが、それぞれに盾を構えた人員も一緒に配置されている。つまり、こちらにも狙撃手が配置されている事に気付いた敵が対応策を講じてきたのだ。

こうなると射手は盾に守られながら矢が射てるようになる、(すなわ)ちやりたい放題されてしまう事になる。


ミュウウィたち狙撃班4人は既に敵の位置を把握。これを排除すべく矢を放った。狙いは正確、だが(ことごと)く盾に(はば)まれてしまう。

敵も待ってはくれない。任務を果たすべく御料車のアコーダとカレン目掛けて矢を放つ。こちらもアスカたち近接班が防いで事無きを得る。

ミュウウィたちは再度敵を狙って矢を放つ。しかし、やはり盾で防がれてしまう。


(これはまずいぞ)

近接班のリーダーであるチェロックは今の状況を冷静にアナライズしていた。そして決断を下す。

チェロ「アスカとアン。それからイプスとコンパス。2マンセルで敵の狙撃手を打ち払ってくれ」

アスカ「4人も減っちゃうけど、守りは大丈夫なの?」

チェロ「このままじゃあジリ貧状態だ。こっちは残ったメンツで何とかする!」

そう言ってチェロックが頷いてみせると、アスカも無言で頷き返した。

 

チェロ「ピーテ、グラディエ、ベレル、ラミオ。近接班は俺たち5人になっちまうが、ここが踏ん張りどころ。腕の見せ所だぜ!」

ピーテ、グラディエ「おう!」 ベレル「はいよ」 ラミオ「後で(おご)りなさいよね」

チェロ「いいとも。もっとも俺より先にギルバードが奢るっていうだろうから、俺の酒はその後になるぞ」

 

アスカ「アン、行くわよ」

アン「あいサー!」

イプス「コンパス、僕たちも行くよっ」

コンパス「はいよ!」

盾に守られた射手を打ち払うべくアスカ、アン、イプス、コンパスの4人が動き出した。だが、街には観客で溢れている。

敵のいる場所まで辿り着くにも人が障害物となって時間が掛かってしまう。


そこでアスカたちは御料車から離れると、護衛騎士たちの人垣をジャンプで越えて近隣建物の屋上に登った。

方法は4人4色。雨樋(あまどい)をよじ登ったり、ボルダリングのように壁の出っ張りを利用したりと様々。

4人とも動きは素早かったが、1番はアスカ。アジリティが優れているだけでなく、護衛騎士を越える際にも「ごめんねー」と言いながら騎士の肩を足場にして、より高く遠くに跳び、先頭を走った。


2マンセルはそれぞれアスカとアン。イプスとコンパスの組合せ。

4人は屋上に登ると、今度は|敵のいる建物に向かって、屋根伝やねづたいに走って跳んで移動を開始した。


「ほえー、さすがに距離がある中であんだけデカい盾を持ち出されたら(らち)があかんねー。どうしたもんかな」

攻めあぐねているミュウウィの元に同じ狙撃班のゲード・レネがやってきた。

ゲード「盾が邪魔じゃん。そっちはどうじゃん?」

ミュウ「こちらも同じです。まずいですね」

そんな時、敵の死角になるラインを選んで移動しているアスカたちの姿が見えた。


ゲード「近接班が動いたじゃん!俺らも行こうじゃん」

ミュウ「行きましょう!」

弓矢が通じない状況を近接戦で打破すべく、ゲードとミュウウィのコンビも屋上に登る。

敵に向かう途中、離れているジェイミ・クーパスとクロスファー・アクレイにもそれぞれゼスチャーで「行こう」と伝える。


意を汲んでクロスファーが直ぐにジェイミと合流、こちらも移動を開始した。

射手と盾役の敵の2マンセル4組に対して、アスカたちも4組の2マンセルで立ち向かう。

その間も御料車に向かって矢は射ち続けられている。


人数が9人から5人に減っても飛んで来る矢を遮断し、心を折る事なく護衛を続けているチェロックたち。

地道にシールドを張って魔法攻撃をカットしているプレセアとソアラ。

そして最後の砦を務めるカークとカローラン。

なにより身を危険に晒しても仲間を信じて民衆に笑顔を見せ続けているアコーダとカレン。アスカたちの対応が急がれる。


<急襲>


射手「くそー、ガードが堅いな」

盾役「そろそろ来るかもしれんな」

射手「何の事だ?」

盾役「ターゲットからの直接攻撃の事だ」

射手「そういえば矢が飛んでこなくなったな」


敵の射手と盾役がそんな会話をしていたところにアスカ&アン、イプス&コンパス、ゲード&ミュウウィ、ジェイミ&クロスファーの2マンセル4組のチームが急襲した。敵の所在は、家屋の窓、屋根の上など多種。


深紅火山流格闘術を極めるアスカは強襲1番、体重を乗せた蹴りで盾ごと敵2人を吹っ飛ばした。

半身をカバー出来るほどの大きなロングシールドは弓矢を防ぐには最適だが近接戦闘には向かない。盾役は起き上がりざま、アスカに向かって投げつけてくる。

アスカは裏拳を振るうようなモーションで飛んで来た大きく重い盾を振り払った。


同様に他のチームも敵を急襲。剣をはじめ、各々が得意とする武器で襲い掛かる。

狙撃班の4人は自他ともに認める弓矢の名手だが、近接戦も苦手という訳ではない。老舗冒険者パーティーのメンバーとして、その名に恥じない勇猛さを発揮する。


決して弱い相手ではない。急襲を受けても(ひる)まずに反撃を仕掛ける気概も有していた。

だが、迷宮の魔物を相手に生き抜いてきた冒険者たちと対峙するには10年早かった。少なくとも2対2で戦うべきでは無かった。

結果として、アスカたち2マンセル4組のチームは危なげのない戦いを展開し、期待通り敵の弓矢の排除を達成した。


弓矢で狙われる脅威が取り除かれた頃、城までのルートは残り3分の1。

射手に狙われはしたものの、パレードの進行は比較的順調に推移していた。それが御料車は前に進めなくなり、足踏み状態に(おち)いっていた。

ルート確保は護衛騎士が(おこな)っていたが、これが上手く機能しなくなった。


護衛騎士の人垣が介在する事でパレード初期には、御料車と観客との距離が確保されていたのだが、いつの間にかかなり近付いてしまっている。

観客と離れていた事で、チェロックたち近接班は弓矢からアコーダとカレンを守る事に集中出来たのだが、今やそうもいかなくなっている。

 

(単に観客が多すぎるのか?それとも故意に混乱を招いている騎士がいる?)

チェロックは護衛騎士に敵が紛れ込んでいる事を疑うのだが、答えは出ない。


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