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アコーダ・オーライト

国防次官フロンテ・ネガスが幽閉しているアコーダ皇子を救出する。

これが作戦の目的であり、その為に全員が苦労を厭わず友人たちをも巻き込んで行動している。

それが今、宮廷省長官のバラキューダスが突然ギルバードたちの前に現れてアコーダ皇子のいる場所まで案内してくれると言う。


意図は不明だが、宮廷省長官の肩書とフロンテと昵懇(じっこん)の仲という事実の威力は絶大。途中で兵士と出くわしてもバラキューダスは顔パスで何事も無かったように通過出来た。

中には後ろを歩いているギルバード、ソアラ、カローランの3人に脅されているか、弱みを握られているのでは?と勘繰る兵もいたが、それもバラキューダスの一喝で事が足りてしまう。

一方で「何故アコーダ皇子のところに案内してくれるのか?」「フロンテとの関係は?」などと質問を投げかけてもバラキューダスは返事をしない。


唯一、返事をしたのはソアラが「遠回りしていませんか?」と指摘した時だけだ。

ギル「どういう事だ?」

ソアラ「先程の場所から今いる場所に来るまでの最短ルートが別にあるんです。通って来た道はかなり遠回りしています」

3人が立ち止まり、バラキューダスの反応を窺う。


バラキ「皆さんと一緒だからです。怪しい皆さんと一緒に動いていても大抵の場合、私が『問題ない』と言うだけで素通り出来ます。だが全てがそうではない。ですからなるべく兵士の少ないルートを選んでいるのです」

カロ「どうじゃ?ソアラ」

ソアラ「……分かりません。城内の構造には詳しいのでまわり道をした事は間違いありませんが、兵士たちが多くいそうな場所までは把握していません」

カロ「ではついて行くしかない、という事のようじゃな」


(MB:カレンとカークの元に急ぐべきかと思われます)

ギル(分かっている。だが本来の目的はアコーダ皇子の救出なんだ)

(MB:ここをカローラン殿とカレン様に任せて、ギルだけ別行動するという選択肢があります)

ギル(それも考えたんだが……無理だ。これが罠という可能性も否定できないし、リスクが大き過ぎる)


本来は楽天家のギルバードは悩んだ末に、このままついて行く決断をした。ひたすら不安そうなソアラとカローラン。

そんな事はお構い無しにバラキューダスはどんどん進んでいく。

 

そうして、しばらく歩いていると見張りの兵士が立っている部屋に到着した。

バラキューダスは部屋の鍵を開けさせたうえで、兵士たちには立ち去るよう命じてドアをノックする。

バラキ「アコーダ様、悲劇の英雄ギルバード・ラインベッカ殿をお連れしました」


ギル(その呼ばれ方は久しぶりだな)

???「入ってくれ」

中から少年の声で返事があり「失礼致します」と言って部屋の中に入る。


ソアラ「アコーダ様、良くご無事で……」

ギルバードとカローランはアコーダとはこれが初対面。唯一顔を知っているソアラが顔を見るなり、膝を折って頭を下げた。

アコー「うむ、ソアラも大過ないようで何よりだ。でもここに来るまで大変だったろう?苦労を掛けたね」

ギル(本物なのか、カレンとは異母姉弟らしいが……。カレンより3歳年下のはずだが、落ち着いていてそうは見えないな)


顔をギルバードの方に向けてアコーダが話かけてくる。

アコー「英雄殿、幼少の頃より名と武勇伝は耳にしている。(おれ)はアコーダ。お逢い出来て光栄だ」

ギル「英雄殿はやめてくれ。俺はギルバード、こっちはカローラン。丁寧な挨拶で恐縮だが、そんな事をしている場合じゃないんだ」

アコー「うむ、城から脱出させてくれるんだろ。ギルバード殿が来るのを待ってたんだ。待ちきれずに何度単身で脱出しようと考えた事か。その回数だけバラキューダスに(いさ)められたのだ」

カロ、ソアラ「はあっ?」


アコーダの言っている事、特にバラキューダスとの関係と立ち位置が最初理解出来なかった。話をよく聞いて整理すると次のような事らしい。

・フロンテとバラキューダスが昵懇の仲である事は事実

・それを利用してフロンテがアコーダを害する事がないよう巧みに誘導

・大人びているアコーダだが、姉のカレンに似て短気な部分もある。幽閉された後も1人で強行脱出を計画するが、危険過ぎると説得して外部からの助けが来るのを待つように(いさ)めた

・おまけにカレンとギルバードの繋がりも城に居ながら把握しており、必ずアコーダを救出に来ると確信していた


要はバラキューダスなりのやり方でアコーダを守っていたという事らしい。

ギルバードたちには、特にソアラにとっては(にわ)かには信じがたい話ながら、当のアコーダ本人がバラキューダスに全幅の信頼を置いており、恩人と言って(はばか)らない。

それでも、まわり道をしながらもアコーダと無事に会えた事を顧みて、ソアラがわだかまりを振り切る。

ソアラ「疑って申し訳ありませんでした。バラキューダス様のおかげでアコーダ皇子にお逢い出来ました。有難うございました。」

バラキ「臣として当然の事をしたまでです。お気になさらずに」

 

ギルバードは頭を切り替える。

ギル「カローラン、ソアラの2人はアコーダ皇子と一緒に脱出してくれ。俺はカレンとカークを探す」

アコー「それなら(おれ)も一緒に行きたいのだが」

ソアラ「私も行きたいです」

ギル「駄目だ。万一を考えるとカレンとアコーダは別行動の方がいい。気持ちは分かるんだが、カレンの事は俺に任せてくれ」


不満を隠さない2人に対してギルバードは一歩も退かず、視線を逸らさない様子をみて、遂にアコーダが折れる。

アコー「仕方ない。ここはギルバード殿に任せて(おれ)は言う通りにしよう」

アコーダの言葉でソアラも渋々折れて同意した。

 

斯くして、アコーダ、ソアラ、カローランの3人は来た道を戻って脱出を目指す。

別行動のギルバードはカレンとカークを探して走り出した。


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