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プレセア・シャロン

その()()ちはおよそ宮廷魔導士らしくない姿だった。

着ている物は豪華で上質だが、全身は(すす)(ほこり)にまみれ、薄汚(うすよご)れている。


プレセア・シャロンは宮廷序列1位の(ほま)れを受け、オーライン皇国王の御前で15年前にギルバードとの手合わせを行ったにも拘らず、アンチマジックで魔法を封じられ、何も出来ぬまま敗北を(きっ)した。

だが、プレセアはそれに腐ること無くなく上には上がいる事を肝に銘じて、それまでにも増して自己研鑽に打ち込んだ。

その甲斐あって序列1位の座を他に譲ることなく、皇族からの信任もより厚いものとなっていた。


そのプレセアが宮廷の隠し通路を使って単身脱出を試みていた。

カレン・オーライトが皇宮から抜け出し、2週間程経った頃、事件は勃発に至った。

予てより禅譲(ぜんじょう)の噂が出るほど現オーライン皇国王の体調は思わしくなかった。

その折に皇女カレン・オーライトの失踪という状況下で国防次官であるフロンテ・ネガスが反旗を(ひるがえ)したのだ。


皇国王を毒殺(という噂)、軍権を掌握して皇子であるアコーダ・オーライト(カレンの弟)を幽閉。周りを与する者で固め、正統たる皇族に忠節を尽くして敵対する者は(ことごと)く処刑した。


(今は失踪扱いだけど、カレン様が健在と分かればフロンテが放っておくはずがないわ)

カレンがギルバードの小屋を訪れてからもプレセアは妹のソアラから適時カレンの動向について連絡を受けており、それを皇国王にだけ直接報告していた。

しばらくカレンを自由にさせるという皇国王の意向を受けてプレセアも静かに見守るだけに徹していたのだが、結果的にそれが僥倖となる。

宮廷内でカレンの行方を知っているのが限定されるため、ひとまずフロンテ派の網から逃れる事が出来た。


(まあそれも時間の問題でしょうけど)

プレセアは辛うじて難を逃れたが、独力での皇子奪還は望むべくもなく、一先ず宮廷から脱出してカレンとの合流を目指す事にした。

今はとにかくカレンとソアラと合流して保護する。その先はどうするか決めていない。

逃げるのか、無茶と知りつつも皇宮を奪還して幽閉されている皇子を救出しようとするのか。


(カレン様の性格上、どちらを選ぶか考えるまでもないわね)

悲観的な材料を探そうと思えばいくらでも湧いてくる。でも今は希望だけを追う事に決めた。

(彼の力を借りる事が出来れば……。今の私の力は当時のやっと追いついたかも知れない程度だけど、私が進歩しているように彼も15年間で更に強くなっているはず。そしてアコーダ様を救出して皇女皇子の2人が揃えば、仕方なくフロンテについている従臣をこちら側に引き込む事が出来るはず)


薄暗い隠し通路でプレセアは光だけを見つめる。

(魔法を使えば、もっと速く移動する事も出来るけれど、きっと探知されてしまう)

用心深く、そして信念を持ってプレセアは自らの足を前に出し続けた。

 

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