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各近況 その1

<城内のカレンたち近況>


隠し通路が地下であるのに対して、アコーダが幽閉されている部屋は城の上層にあり、辿り着くためには下から登って行く必要がある。

1階フロアーではリオンに見逃して貰ったカレンたちだが、その後のフロアーでは敵と遭遇する度に足止めを喰らって思うように進めない。

但し、敵と遭遇してそのまま正面切った戦闘になるかと言えば、必ずしもそうでもなかった。

今は城が攻撃を受けている非常時故に、通常であれば不審者を発見した折には直ぐに修羅場と化す。

だが、相手は皇女カレンである。いくら指名手配が掛かっているとはいえ、二の足を踏む兵士も少なくない。


カレンたちとしても本来は味方の兵士たちである。敵意(てきい)()き出しで向かって來るのであれば、否応なく反射的に斬って捨てるが、そうでなければ躊躇してしまう。

中には城の回廊ですれ違うなどして、どこか見覚えのある顔だったりするのだから、どうしても剣先は鈍る。

カークとカローランにとっては知った顔ではないが、カレンに対する忖度(そんたく)はある。


「本当に斬ってもいいのか?」

「…………」

カークに問われても、カレンは答えられなかった。

結果として、遅々として進まずに時間が浪費してしまっていた。


<アルジョン 弩砲 近況>


弩砲の運用と守護を担っているのは冒険者パーティー『アルジョン』のメンバー5人。

リーダーのアスカ・イースを筆頭に、副長ミュウウィ・ザライブ、ジェイミ・クーパス、ベレル・フィリ、ラミオ・ガークロス。

本来はもう1人、アン・フォーリアもメンバーなのだが、今はギルバードたちの大砲の方にヘルプで借り出されている。


弩砲は大雑把に一言で言うなら巨大な自立式のボウガンである。専用の器具を使って弓を弾くのだが、クレストル製の弩砲は射程が3キロメートルを越える兵器だけあってかなりのパワーを要する。

それでも彼女たちは弓を弾いては城に向かって撃ちだす作業事をひたすら勤勉に繰り返した。

放たれた巨矢の多くは城壁に突き刺さっている。


「ほえー、よくこれだけ巨きなモノを運び込んだわね。組み立てた私たちがいうのも何ですけど」

ほえーというのはミュウウィ・ザライブの口癖だ。キャラ設定でそうしているわけではなく驚いた時などに自然に出るらしい。

作戦行動前の組立て作業は彼女たち全員に加えて、回回砲を担当しているグリフォンのメンバーも手伝っている。

弩砲の組立てを終えると、移動して回回砲を皆で組み上げた。


「発射する弩砲も凄いけど、巨矢もこれだけの数を用意出来たわね、感心するサー」

ジェイミ・クーパスが言った。パーティーで1番の弓の名手だったが、ミュウィ加入後は2番手に甘んじている。

「もう何発も撃ったけど、まだまだ残数はあるわよ」

発射の合図と残数管理はアスカの役割だ。


ペレル「これを造ったクラフトマスターの彼は道具を発明するだけじゃなく、それを量産する為の道具も併せて考案するらしいわよ」

ミュウ「ほえーー、どのジャンルにも天才というのがいるものですね」

アスカ「材料集めは、ギルバードの人脈を存分に使ったらしいわ。まだあいつの顔は利くんだねぇ」


ペレル「これで恩人に少しは借りを返せたかな?」

ミュウ「恩人?」

ジェイ「ああ、副長がまだ参加してなかった頃に、ウチらはダンジョンでやらかしてさ。助けに来てくれたのがギルバードが以前いたパーティーって訳」

アスカ「あんときは未熟だった」

ジェイ「その後、アスカにとっては同門の後輩になるんだけど、ウチらにとってはやっぱり恩人のイメージが強いのさ」

後にギルバードは深紅火山流格闘術の門を叩いており、アスカの弟弟子になっている。


アスカ「さて、そろそろギルバードの読みでは、城から敵が出てくる頃よ」

ミュウ「さっきペガサス兵が来てましたよ。ギルバードさんの言った通り、敢えて届かない距離から弓矢を撃って追い払いましたけど、あれで良かったんでしょうか?もうちょっとだけ引き付ければ当てる自信ありましたよ」

ジェイ「きっと考えがあるんサ。グリフォンの射手にも同じ指示を出してたっぽい」

ミュウ「ほえーー、まあ数が少なかったから偵察でしょう。意図があって逃がしたんでしょうけどね」


会話が盛り上がるが、同時に手も動かす。アルジョンのメンバーは勤勉に弩砲を撃ち続けた。


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