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ペガサス隊 その1

ペガサスは希少種のため、オーライン城にも60騎しかいない。

しかも、そのうち10騎は皇族の移動やセレモニーに用途が限定されているため、出陣できるのは最大で50騎という事になる。


ペガサス隊の特徴はなんといっても、ず抜けた機動力を備えながら空中に舞い上がる為に助走が不要で、それでいて小回りが利く。

戦闘においては、降下速度も速いので急降下しながらの攻撃も有効だが、概ねそんなことはしない。相手の射程外となる上空から遠隔攻撃を行う事で反撃を受けるリスクが激減するからだ。

これはペガサスが希少種である事にも起因する。戦闘行為での損耗を極力避けて、移動や情報伝達や斥候など機動力を最大限活かすという考え方が一般的。

だが、フロンテはそうではなく、減ったら減ったで構わない。遊ばせておくなら居ないのと同じ、という考え方をしていた。


かくして、50騎のペガサス隊がオーライン城から出陣した。希少なペガサス隊を統率するのが隊長のニセンジ・シロ。

ペガサスの外見は白馬が多いのだが、ニセンジの愛馬は珍しい黒一色。ニセンジはその黒馬に白い光沢のある甲冑を纏って騎乗する。

黒と白の強烈なコントラストは、1周回って妙にしっくりくる。

外見はともかく、貴重なペガサス隊を任されているだけあって兵士として優秀。だが世渡り下手とでも言うのか、政争に利用される事が多く、いまいち実力が発揮出来ていないというのがニセンジという人物評だ。


フロンテに出陣を命じられる前からニセンジはペガサス兵5騎ほどに偵察を命じていた。それが戻ってきたので報告を受けていた。

別部門の物見が調査に出ている事も承知しているが、それよりペガサスの方が早いとのニセンジの読みで、実際にその通りだった。

(別の物見はまだ戻って来ていない)


報告によると敵拠点は3か所、兵器タイプは、大砲、回回砲、大型弩砲とバラバラ。城からの距離はそれぞれ約3キロメートル。

(この城に備わる砲撃兵器の射程は300メートル程だからまったく勝負になっていないな)

ニセンジは冷静に自城の兵装と比較分析しながら報告を聞いていた。


各拠点には人員5名前後が配置されており、兵装が統一されていない事から冒険者パーティーか傭兵と推測される。

「3か所のうち、回回砲と大型弩砲の2拠点から弓矢を射かけられました。しかしこちらは十分な距離を確保した上空にいましたので被害はありません」

「大事が無くて何よりだ。限られた時間でここまでよく調べてくれた。今の報告を騎士団長のリオン殿にも情報共有してくれ。その後はそのまま出陣に備えるように」

「承知しました」


(人数からすると他国からの侵略という可能性は低そうだが、相手は冒険者たちか。彼らの高い能力と多彩さは厄介だな。訓練された正規兵が相手ならこちらもセオリー通り戦えば良い。練度なら部下たちも決して劣る事は無い。故にペガサス隊の優位性がそのまま結果に結びつく。だが冒険者というやつは、常日頃から様々な魔物と相対していて時は初見の敵と戦う事も多い。そのせいか、常識が通じなくても直ぐにアジャストしてくる。それが予期せぬ結果につながる)


入手した情報を元にニセンジが戦術を検討していると、フロンテがやってきた。その後ろには護衛のギーブイも同行している。

「なんじゃ、まだおったのか?」

「偵察に出していた兵士が戻って来たので報告を受けておりました。これから出陣致します」

止む事のない城への攻撃に対して、小心者のフロンテは苛立ちを隠さない。


「撃ってきているのは少人数らしいな。それならば精鋭揃いのニセンジ殿のペガサス隊なら、あっという間に制圧してしまうのう。だが、もしかしたらカレン様を連れ去った連中とも繋がりが有るやもしれぬ。気を付けるようにな」

ここへ来る前に偵察の結果を耳にしたのだろう。気を遣っているようで皮肉にしか聞こえない圧を掛けてくる。

「はっ、そうお待たせせずに勝報をお持ち出来るかと」

「うむ、吉報を期待しておる」

 

(冒険者とペガサス隊の相性を考慮して可能ならリオン殿の騎兵隊に任せたかったのだが、そうも言ってられんか)

ニセンジは兵士を消耗品と捉えており、しかもそれが態度に漏れ出るフロンテの事が好きではなかったが、いつものように仕事と割り切って気勢をあげる。


「でるぞ。ペガサス隊、出陣!」

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