カレンとリオン
カレンたち4人は隠し通路内で1度だけ戦闘を行った後、城内に侵入した。
カーク「今のところ順調と言っていいね」
カロ「ドカンドカンと凄まじいのう。派手な陽動をさせたら相変わらず一流じゃのう」
カーク「相変わらず?」
説明を面倒に感じたカローランはスルーした。
ソアラ「まだフロンテには気付かれてはいないみたいです。慎重に行きましょう」
カレン「自分の生まれ育った城に忍び足で侵入するなんて、奇妙な感覚だわ」
緊張の糸が張り詰め過ぎないよう、まるで息継ぎをするみたいに一瞬だけ僅かに会話をしただけでまた移動を始める4人。
少ししたところで先頭を歩いていたカークが違和感を感じて立ち止まる。
甲冑の音が近付いてくる。
視認は出来ていないが、音からカークが判断する。
(相手は1人だ)
声には出さずにゼスチャーと口の動きだけで他の3人に情報を伝える。
先手必勝、今度はカークとカローランの2人が攻撃を仕掛ける。
カークの剣、カローランの戦斧が相手の長剣とぶつかり合い「ギィーン」と鈍い金属音が鳴る。
(防がれた)
カークとカローランの2人と相手の騎士が、刃と刃を押し合う鍔迫り合いのような状態になり、次撃を繰り出すべくカレンが突っ込む。
騎士とカレンの目が合う。
「リオン?」「カレン様?」
その時にやっと互いに相手が誰であるかを認識して、少し距離を取る。
「カーク、いいから」
再度剣を構えたカークに対してカレンが制する素振りをしたので、剣を下ろした。
それを見たリオン(近付いてきた騎士)も剣を下ろし、鞘に納めた。
「御無事でなによりです。カレン様」
「貴方も息災でなによりです、リオン」
カレンの持っているリオンに対するイメージは、忠誠心の高い優れた騎士ながら、その忠誠の対象は皇王ではなく国に対して、といったところ。
カレン(ソアラも)とは仲が良くも悪くもなく普通である。
そして命令には忠実だが、少々融通が利かない、そんな感じである。
カレンの父親で前皇国王はそんなリオンだからこそ、信頼を寄せて騎士団長として重用していた側面もあった。
敵に回るのか、それとも味方になってくれるのか。カレンは判断が付きかねた結果、直球をぶつけてみる事にした。
「私はアコーダを救出しに来たの。出来ればリオンにも協力して欲しいのだけれど……」
「申し訳ありませんが、現在城を攻撃している相手の迎撃を私は命じられていますのでご一緒出来ません。それから……」
「カレン様を連れ去った容疑でプレセア殿、ソアラ殿を捕えるようにとの命令が出ています」
「どうせフロンテでしょう。それで貴方はどうするの、私たちを拘束するの?」
少し考えてからリオンが答える。
「……いえ、カレン様のご様子を見る限り、連れ去られたというのは事実では無さそうですから今回は見なかった事にします。ですが、城が攻撃を受けている非常時に容疑者2人と不審者2人を連れ歩いている、それだけで本当は拘束すべきなんでしょうね」
カーク(不審者って俺とカローランの事かよ……)
カレン「全員私の友人です。それと……いえ、やっぱり何でもない」
リオン「そろそろ出陣の時間ですので最後に1つだけ。フロンテ殿は『最悪のN』という、およそ皇宮人に似つかわしくない2つ名を持っている謎の多い人物です。それが今や国防次官に止まらない宰相の如き力を持っておられる。努々油断なされぬように」
カレン「最悪のN……分かったわ。ありがとう。じゃあね」
ソアラ「カレン様、フロンテの2つ名については私も聞いた事があります。ただ、その由来は不明で過去に本人に尋ねた者もいるらしいのですが、はぐらかされたとか。それともしかしてギルバードさんの話をされるおつもりでしたか」
リオンと別れた後、ソアラが尋ねた。
カレン「うん、これから迎撃に出るっていうから、こちら側に取り込めないかと思ってね。だけど藪蛇になりそうだからやめたわ。まっ、リオンは強敵だけど、ギルバードならなんとかするでしょ」
こうしてカレンとリオンの会談は大きな揉め事に発展するい事無く終わりを告げた。




