家庭的大妖怪料理
初デートを終えた僕達はそれからも毎日毎日遊んだ。
民家で遊んだり、僕の体を貸して僕の家に行ってゲームをやったりして、夕方にバイバイする。
もう楽しいばかりの毎日だ。
そんなある日僕の家で遊んでる時に僕のお腹がグゥーっとなった。
「なんじゃ、坊やお腹が空いたのか?よし!妾に体を貸してくれ。いつも世話になってるからのぉ、今日は妾がご飯の支度をするとしよう。ご飯作りは得意なのじゃ」と得意げな顔で言った。
僕は「ご飯作れるの?」と少しびっくりして聞くと、ちょっとムスッとして
「あたりまえじゃ!早う買い物に行くぞ!」と僕の中に入ってきた。
スーパーに着くと
「妾は芋の煮っ転がしとお味噌汁は得意なのだ。」と言いながらサツマイモやジャガイモを見て選んでいる。
買い物をある程度済まして、また自転車で家まで帰った。
家に着くとお母さんに「母上、少し台所を借りるぞ」と僕の体で言ったものだから、
お母さんはキョトンとして「あぁっ、どうぞ」と言った。
愛姫が僕の体で手際よく料理を始めた。
「うふふ。久しぶりゆえ指が無くなったらすまんの!」などと言いながらとても楽しそうに2人で料理をしていった。
「よし!完成じゃ!」と愛姫がお皿に料理を乗せてそう言った。みんながご飯を食べる所に運んで家族を呼んだ。
お父さんやお母さんばあちゃんが食卓に並び
「大樹が作ったの?凄いな!」と言って喜んでくれた。
「いただきます!」と皆んなで食べ始めた。
愛姫はまだ食べ始めずに皆んなの顔色をうかがっていた。
「美味しいな!どこで覚えたんだ。なんだか懐かしい感じね」などなどの感想が飛び交い愛姫はご満悦だった。
愛姫は僕の体で「どうじゃ?うまかろう?芋の煮っ転がしは昔から得意なんじゃ!」と言ってしまった。
相当嬉しかったんだな。
皆んなキョトンとして僕を見る。お父さんとお母さんとばあちゃんで何やらアイコンタクトしている。
僕たちは気にしないで体を変わりながらご飯を食べていた。
すると愛姫がテレビを見て「相撲がやってる!雷電爲右エ門はもうおらんか?あの人の相撲はすっごく面白かったの〜」とまたしても僕の体で口に出してしまった…
やはり家族はキョトンとしていた。
ご飯を食べ終わり愛姫と僕とで片付けをしているとお父さんが話しかけてきた。
「ご馳走様。とても美味しい芋の煮っ転がしでした。」とよそよそしく話したと思ったら急に話し方を変えて
「なぁ、大樹…こないだ話してたお寺の話しなんだけど今から見てくれる事になったんだ。今から行くよ…」と言った。
僕は「今日?うん!わかった。洗い物や片付けが終わったら用意するね。最後までやるのが料理なんだって」と返した。
お父さんはふぅーっとため息をついてどこか悩んでる様子だった。
片付けを終えて部屋に戻り用意をする。
「ねぇ、成仏しちゃわないよね」
と、心配そうに愛姫に頭の中で話しかけると
「前も言ったろうに、そんな簡単に成仏出来たら妾はとっくの昔に成仏しておるわ。坊やは心配症じゃの〜」と笑いながら言った。
僕は「辛かったら言ってね。思いっきり走って逃げるから!」と言った。
愛姫はクスクスと笑い
「おぉ、頼もしいの。日本一の大妖怪を苦しめるお経なら坊やに助けて〜って言うからな」と言った。
僕はグッと拳を握り「任せといて!必ず守るから!」と意気込んだ。
愛姫は「頼りにしておるぞ」とニッコリ笑った。
玄関に向かうと家族が待っていた。
「さぁ、行こう。車に乗って」とお父さんが言った。
僕達は車に乗ってお寺に向かった。
続