幸福道中爆心恋慕
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町まで行く途中に、貯めていたお年玉を取りに家へ戻った。
玄関を開けて部屋へ向かうと、ばぁちゃんが数珠をジャッジャッと鳴らしながら、、「あ、あぁ……あ〜、なんまいだー!」と叫んでいる。
僕はばぁちゃんを見て「ばぁちゃんただいまー」と言って、自分の部屋へ行った。
お金を取って家から出ようとすると、家族が玄関で待っていた。
「どうしたの?」と聞くと、お父さんが少し申し訳なさそうに言った。
「あのな…大樹…ちょっと気になることがあってな…お寺の予約を取ったんだ。あとで一緒に行ってほしい」
僕は愛姫の方をちらっと見て、頭の中で聞いた。
(大丈夫? 愛姫ちゃん成仏させられちゃう?)
すると愛姫は、勝ち誇ったような顔で言った。
「ふっふっふっ!何を申すか? 坊主など恐るるに足らずじゃ。そんなことより、妾は早よう買い物に行きたいのじゃ!早よう行こう!」
僕はにっこり笑って、頭の中で答えた。
(うん。わかったよ)
そしてお父さんに向かって、
「はーい。いつ行くか決まったら教えて。じゃ、買い物に行ってきます!」と言って、玄関を出た。
◇◇◇
町までの道のりは、自転車の二人乗り。
なぜか愛姫は、しっかり横向きで後ろに乗り、僕の背中に頭をつけながら景色を楽しんでいる。
飛んでついてくることだってできるのに。
……なんだか、幸せだな。
◇◇◇
町に着き、大型ショッピングモールが見えると、愛姫は目を輝かせた。
「ぬぉぉぉぉ!坊やっ! 城じゃ! 城ではないか!?」
僕ははしゃぐ愛姫を見て、くすっと笑った。
「あはは!お城とはちょっと違うけど、いろんなお店が入ってるから楽しいよ。行こう」
そう言って、手をつないだ。
中に入って、「何から見たい?」と聞くと、愛姫は少し考えてから言った。
「そうじゃのぉ〜、本で見た服が欲しいのぉ」
「了解。じゃ、服から見に行こう」
僕はその手を引いて、歩き出した。
◇◇◇
途中ですれ違う霊感の強そうな人は、、
「ひっ!」と声を上げて驚いていたけれど、僕たちは気にせず、でもなぜかニヤニヤしながらぐんぐん服屋さんへ向かった。
着いたとたん、愛姫のファッションショーが始まる。
僕が服を持ち上げると、それに合わせて愛姫が体を寄せる。
愛姫が別の服を指さすと僕がまた持ち上げる。
そしてまた合わせる。
……それを何度も繰り返した。
やがて一着のパーカーの前で、愛姫が止まった。
「うん! 妾はこれと雑誌の服にすることに決めたぞ!」
ご満悦の顔で言う。
「OK。そのパーカーならお揃いもいけそうだね。僕も買っちゃお。いい?」
「ぬっふっふっ!お主も好きじゃのぉ〜☆」と、にやにやされる。
僕は少し恥ずかしくなり顔を赤くしながら、同じ色のパーカー二着と洋服を持ってレジに並んだ。
◇◇◇
並んでいる途中、とても可愛いパジャマを見つけた。
それも手に取ると、愛姫が言う。
「なんじゃ? それは。可愛いのぉ」
「んっ?これは、僕が選ぶ愛姫ちゃんへのプレゼント。寝るときに着て」
愛姫は少し照れて、
「……ありがとう」と言った。
レジで店員さんが、じろじろと僕を見る。
、、そりゃそうだ。
女性の服を何度も空中に持ち上げてにやにやし、同じ色のパーカー二着と女性の服、女性のパジャマ。
……怪しまれるよね。
◇◇◇
お会計を終えて服屋さんを出て、いろんなお店を見て、話して、笑って。
とても楽しい時間を過ごした。
そして帰りにクレープ屋さんに寄った。
「のぉ、坊や。もしや、取り憑いたら妾も味がわかるかのぉ?」と愛姫が聞く。
「そうそう。僕もそう思ってたから買ってみたんだ」
「では…お言葉に甘えて失礼するよ」
そう言うと、愛姫はすぅっと僕の中に入った。
クレープを一口食べる。
「うわぁぁぁぁ!びっくりしたぁ!なんじゃなんじゃぁぁ! 美味すぎるではないか!?」
あっという間に食べてしまった。
「よかったね。味がわかって。僕も嬉しいよ…。うん…僕の分も…食べちゃった…あははっ!」
愛姫も満足そうに笑った。
「あははっ!すまんすまん。もう一つ、土産に買ってくれ」
◇◇◇
もう一つクレープを買い、帰りに花屋さんへ寄って、牡丹の花を五輪。
僕たちは、自転車二人乗りで、いつもの民家へ帰った。
背中に、こつん。
誰にもわからない小さな重みと、あたたかい幸せを感じながら。
続




