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初恋はオバケ  作者: 星 見人
5/22

幸福道中爆心恋慕

見て頂きありがとうございます。励みになりますので、良かったらブックマーク、評価、コメントよろしくお願いします。


 町まで行く途中に、貯めていたお年玉を取りに家へ戻った。


 玄関を開けて部屋へ向かうと、ばぁちゃんが数珠をジャッジャッと鳴らしながら、、「あ、あぁ……あ〜、なんまいだー!」と叫んでいる。


 僕はばぁちゃんを見て「ばぁちゃんただいまー」と言って、自分の部屋へ行った。


 お金を取って家から出ようとすると、家族が玄関で待っていた。


「どうしたの?」と聞くと、お父さんが少し申し訳なさそうに言った。


「あのな…大樹…ちょっと気になることがあってな…お寺の予約を取ったんだ。あとで一緒に行ってほしい」


 僕は愛姫の方をちらっと見て、頭の中で聞いた。


(大丈夫? 愛姫ちゃん成仏させられちゃう?)


 すると愛姫は、勝ち誇ったような顔で言った。


「ふっふっふっ!何を申すか? 坊主など恐るるに足らずじゃ。そんなことより、妾は早よう買い物に行きたいのじゃ!早よう行こう!」


 僕はにっこり笑って、頭の中で答えた。


(うん。わかったよ)


 そしてお父さんに向かって、

「はーい。いつ行くか決まったら教えて。じゃ、買い物に行ってきます!」と言って、玄関を出た。


◇◇◇


 町までの道のりは、自転車の二人乗り。


 なぜか愛姫は、しっかり横向きで後ろに乗り、僕の背中に頭をつけながら景色を楽しんでいる。


 飛んでついてくることだってできるのに。


 ……なんだか、幸せだな。


◇◇◇


 町に着き、大型ショッピングモールが見えると、愛姫は目を輝かせた。


「ぬぉぉぉぉ!坊やっ! 城じゃ! 城ではないか!?」


 僕ははしゃぐ愛姫を見て、くすっと笑った。


「あはは!お城とはちょっと違うけど、いろんなお店が入ってるから楽しいよ。行こう」


 そう言って、手をつないだ。


 中に入って、「何から見たい?」と聞くと、愛姫は少し考えてから言った。


「そうじゃのぉ〜、本で見た服が欲しいのぉ」


「了解。じゃ、服から見に行こう」


 僕はその手を引いて、歩き出した。


◇◇◇


 途中ですれ違う霊感の強そうな人は、、


「ひっ!」と声を上げて驚いていたけれど、僕たちは気にせず、でもなぜかニヤニヤしながらぐんぐん服屋さんへ向かった。


 着いたとたん、愛姫のファッションショーが始まる。


 僕が服を持ち上げると、それに合わせて愛姫が体を寄せる。


 愛姫が別の服を指さすと僕がまた持ち上げる。


 そしてまた合わせる。


 ……それを何度も繰り返した。


 やがて一着のパーカーの前で、愛姫が止まった。


「うん! 妾はこれと雑誌の服にすることに決めたぞ!」


 ご満悦の顔で言う。


「OK。そのパーカーならお揃いもいけそうだね。僕も買っちゃお。いい?」


「ぬっふっふっ!お主も好きじゃのぉ〜☆」と、にやにやされる。


 僕は少し恥ずかしくなり顔を赤くしながら、同じ色のパーカー二着と洋服を持ってレジに並んだ。


◇◇◇


 並んでいる途中、とても可愛いパジャマを見つけた。

 それも手に取ると、愛姫が言う。


「なんじゃ? それは。可愛いのぉ」


「んっ?これは、僕が選ぶ愛姫ちゃんへのプレゼント。寝るときに着て」


 愛姫は少し照れて、


「……ありがとう」と言った。


 レジで店員さんが、じろじろと僕を見る。


 、、そりゃそうだ。

 女性の服を何度も空中に持ち上げてにやにやし、同じ色のパーカー二着と女性の服、女性のパジャマ。


 ……怪しまれるよね。


◇◇◇


 お会計を終えて服屋さんを出て、いろんなお店を見て、話して、笑って。


 とても楽しい時間を過ごした。


 そして帰りにクレープ屋さんに寄った。


「のぉ、坊や。もしや、取り憑いたら妾も味がわかるかのぉ?」と愛姫が聞く。


「そうそう。僕もそう思ってたから買ってみたんだ」

「では…お言葉に甘えて失礼するよ」

 そう言うと、愛姫はすぅっと僕の中に入った。


 クレープを一口食べる。


「うわぁぁぁぁ!びっくりしたぁ!なんじゃなんじゃぁぁ! 美味すぎるではないか!?」


 あっという間に食べてしまった。


「よかったね。味がわかって。僕も嬉しいよ…。うん…僕の分も…食べちゃった…あははっ!」


 愛姫も満足そうに笑った。


「あははっ!すまんすまん。もう一つ、土産に買ってくれ」


◇◇◇


 もう一つクレープを買い、帰りに花屋さんへ寄って、牡丹の花を五輪。


 僕たちは、自転車二人乗りで、いつもの民家へ帰った。


 背中に、こつん。


 誰にもわからない小さな重みと、あたたかい幸せを感じながら。



            続


 

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