暴走愛転結界突破
持って来た荷物を沢山お供えして2人で遊び始めた。
牡丹の花を窓際に飾ったり、漫画を読んだり、ファッション雑誌を読んだり、話しをしたり、とにかく楽しい時間が続いた。
ただゲームだけはお供えしても出来なかった。
愛姫はうつ伏せに寝転がって足をパタパタとさせて雑誌を読む。
僕はその隣でゲームをやったり宿題をやったりした。
愛姫に現代の勉強を教え、僕は江戸時代の話しを教しえて貰ったりした。
毎日、毎日2人のこんな楽しい遊びが続いたある日に愛姫が突然お願いしてきた。
「あの…坊や…お願いがあるんだが…少し聞いてくれるか?」
僕はコクッと頷き
「いいよ!お願いは何?」と聞いた。
愛姫は申し訳なさそうな顔で
「妾、町に行ってみたいのじゃ。もうここに封印されてからかなり時間が経っておって…そのぉ、町が気になるのじゃ!あとこの服も欲しい…」
と、照れながら言った。
僕はニコッとして
「いいよ!どうしたらいい?」と聞いた。
愛姫はまたまた申し訳なさそうに
「坊やに…坊やに…取り憑かせてくれー!そしたらあの結界を超えられると思うのじゃ。」
と、慌てながら言った。
僕は満面の笑みで
「オッケー!そんな事なら全然大丈夫だよ。早く町に行こう!」と両手を広げて愛姫を迎え入れる素振りをした。
愛姫は凄く嬉しそうな顔をして僕に魂道を繋ぎ「失敗したらゴメン!」っとベロをぺろっと出して僕の中に入って来た。
愛姫は
「おぉーおぉー!初めて人に取り憑くがこんなに簡単に入れるのだな!しかも妾が動かせるではないか!」と感激していた。
僕の手や足を動かしてとても楽しそうだ。
そして結界の前に立ち止まって愛姫が話しかける。
「坊や…失敗したらすまん…結界突破は初めてで上手くいかなかったら坊やの体にも何かしらの影響があるかもやしれん?」
僕は笑って「さぁ行こう!何かあっても2人一緒なら何の問題も無いよ!」と声をかけた。
愛姫は嬉しそうにコクッ頷き、一歩また一歩と結界に近づいた。
スルッと結界を抜けてしまった僕達2人は大笑いをした。
「簡単じゃな!さぁ!坊や行くぞー」と愛姫が鼻息荒く言った。
僕は「愛姫ちゃん…お手柔らかに」と頭の中に話しかけた。
愛姫は「妾に任せておかんか。さぁ!出発じゃ!」と自転車にまたがり山道を駆け下りて行く。
グングン駆け下りていると愛姫が
「この乗り物は早いのぉ〜!楽しいの!…所でこれはどうやったら止まるのだ?!」
僕は「愛姫ちゃんブレーキ!!」と言ったが愛姫はハテナ顔だ!
愛姫は「んー」と悩み
「坊や!交換じゃ!」と意識を僕に移した。
急に変わった僕はバランスを崩して勢いよく転んだ!
愛姫は「すまん!坊や大丈夫か?」と心配していたが僕は大笑いした。愛姫もつられて笑った。
あの家から愛姫を連れ出せた。その事実だけで僕はとっても嬉しくなった。
僕は「さぁ!行こう。愛姫ちゃんの好きな所どこでも連れてってあげるよ!」と言った。
愛姫は「そんな真っ直ぐ言うな…照れるじゃろ!」と言った。
続けて「多分ここまで来れば体から離れても魂道が繋がっておれば問題ないじゃろ?」と体からスゥーっと抜けた。
僕は「少し寂しいな、、」と言うと
愛姫は「ずっと取り憑いておると坊やに負担がかかるから取り憑くのは大事な時だけじゃ。
それに取り憑いて無くても隣に居るしの」と笑った。
僕は微笑んで
「さあ!後ろに乗って!本当は2人乗りはダメだけど僕達2人は大丈夫でしょ」と言った。
愛姫は「ふふっ。どうせ他の人には見えないからの。いざ!町まで行かん!」
そう言うと2人は自転車を2人乗りしながら町まで目指した。
2人仲良く頭の中で色んな話しをしながら。
続