愛姫地獄廻戦壱
大樹と離れてから、また出逢うまでの物語です。
大樹と離れてから愛姫はゆっくりと暗い道を歩いてる。
遠くに灯りがぼんやりと見えてるのでそこに向かって歩く。
しばらく歩くと大きな門にたどり着いた。
そこには沢山の妖怪やお化け達がいっぱいに並んでガヤガヤとうるさく順番待ちをしていた。
愛姫もそこに並び順番を待つ。
そしてやっと愛姫の順番になった。
真面目そうな鬼が
「愛姫様ですね。これから地獄に行ってもらいます」と言い、何やら紙を愛姫に紙を渡す。
「これから沢山の罰を受けて頂きます。その紙は罰が完了すると、担当の鬼からハンコが貰えるので集めて下さい。ハンコが貯まれば生まれ変わりのチャンスですよ。まぁ、罰はかなり厳しいですけどね」と鬼は言った。
愛姫は
「おーおー!やっぱり全部終われば、生まれ変われるんじゃな!さっさと終わらして、大樹に逢いに行かぬとな」と言うと、門をくぐって地獄に入って行った。
すると「第一の罰はこちらでーす!」と手を上げながら叫ぶ鬼が居た。
愛姫はそこに近寄りまた順番待ちをした。
愛姫の順番になり説明が始まった。
「第一の罰は永久螺旋階段です。とにかく下まで下りて地獄まで向かって下さい」と説明された。
愛姫は下を覗き込見ながら
「飛び降りてもいいのか?」と、鬼に聞くと
鬼は「構いませんけど、下に到達した衝撃で、無に帰ると思いますけど…」と言った。
愛姫は「飛び降りてもズルにはならんのじゃな!?」と言い着替え始めた。
「着物では動きづらいからのぉ」と持ってきた大樹とお揃いのパーカーに着替えた。
そして髪をほどいて後ろに一つに縛り、サングラスをかけて「よぉしっ!準備万端じゃっ!」と言って螺旋階段に近づいて行った。
すると担当の鬼が
「供え物の持ち込みは固く禁じられていますーーー!」と愛姫に駆け寄ってきた。
愛姫は
「硬いこと言うなぁ〜。出世せんぞ!妾はこの格好の方が力が入るんじゃ!それじゃ!また何処かでな」
と、言いニッコリ笑って螺旋階段の真ん中の穴に飛び降りて行った。
その時の心境を担当の鬼は、こう閻魔に語った。
「いやぁ、まさか飛び降りる人が居るなんて思わなかったですよ…どんな高さか分からないんですよ…
下に何があるのかも分からないのに…ニコッて笑って飛んで行っちゃったんですもの…この螺旋階段を担当して初めての出来事でした…」
そして飛び降りた愛姫は手をグーパーグーパーして
「こっちに来てから随分と妖力が戻って来たのぉ?全盛期までとはいかんが、これならかなり無茶も出来そうじゃな!はっはっはっー!」と、楽しそうに落ちて行った。
それを見ていた、周りの妖怪達も真似をして飛び降りてみるが、アッと言う前にスピードが上がり燃え尽きてしまった。
階段を降りている他の妖怪達は、はぁはぁと息を切らし、足も血だらけで辛そうに降りている。
そして気持ち良さそうに落ちていく愛姫を羨ましそうに眺める事しか出来なかった。
「大樹!待っておれ、すぐに帰るからな!こんな罰など大樹とのこれからの生活を考えておれば、アッと言う間に終わってしまうじゃろ!」
と、これからの生活を想像してニヤニヤしながらものすごい勢いで愛姫は落ちて行った。
続




