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復讐の女神は微笑む ~婚約破棄された公爵令嬢の父の遺言で事件の再調査を始めました~  作者: てんきどう


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呪われた島 3

童謡「かごめかごめ」は、いつか使ってみたいと思っていました。




 リーン達は、嵐が吹きすさぶ中、邸を追い出されてしまった。

 空は暗く、激しく雨風が吹きつけてくる。

 荒れ狂った波の音が聞こえてくる。

 雨具もあまりきかない。すぐに全身ずぶ濡れになってしまうだろう。

 アイラは、「ウォームウインド」と唱えて皆に魔法をかける。

 温風が皆の体を包み込んだ。冷えた体が暖まり、濡れた部分も乾いていく。


「助かります。ありがとうニャ」

「これはいい! ありがとうございます。アイラ殿!」

「あったかいね。ありがとう! アイラおばさん!」

「よかった。実は、この魔法は長くは使えないんだ」

「どうしてニャ? ずっとこうしていたいくらいニャン」

「洗濯物を乾かしたり部屋を暖めるには便利なんだけどね。人体に長く使うと乾燥しすぎて、お肌がカサカサになるんだ」


 それを聞くと、ルピナスが大慌てした。


「早く私達が休める場所を探しましょう!」

「そうしましょう。まったくこんな酷い扱いをするホストなんて聞いたことがないニャ!」

「この島には他に建物なんて見当たらないし、本当に困ったね。嵐もいつ止むか分からないし……」


 その時、リーンの頭の毛がさらに激しく動き出した。

 一定の方向を示しているようだった。


「アイラおばさん。髪の毛が何か示してるような……」

「リーンの髪の毛って一体……? 他に行く所もないから、行ってみよう」

「うん!」



 4人は嵐の中を歩き出す。

 アイラの風魔法が守ってくれるので移動しやすい。

 草むらを抜けて、波飛沫が激しく飛び散る岩の間を進んでいく。

 幾重にもいりくんだ細道の奥に、人ひとりがやっと通れるくらいの洞窟の入り口が見つかった。


「リーンの髪って凄いね。陽の光も入らない所だし、この洞窟は探しても見つからないよ」

「流石です! リーン様!」

「うううーん。髪がピコピコ動いてて、イライラするんだよね。奥に何かいるよ。何だろう?」

「本当ですニャ。髪の動きが激しくなってますニャ」

「ライティング」


 アイラは光魔法で、洞窟内を明るく照らす。

 嵐がおさまるまでは、洞窟内で雨風をしのぐしかなかった。

 4人は慎重に奥へ進む。広い空間に出た。

 加工された石が積み重ねられて、まるで古代の神殿のようだった。

 鳥と亀をモチーフにして彫られた像が、高い所に飾られていた。

 それを見て、アイラは目眩がしてきた。


「デジャヴが……! リーンの言う通り、嫌なものが出てくる気がしてきた!」

「ここは、古代エルフの神殿です。伝え聞いた通りです。ここが発見されるなんて素晴らしいです! アイラ殿、リーン様!」

「ここが、ご先祖さまが守っていた遺跡なんだニャ……」

「ううう……髪の毛が動きすぎてうっとおしい」


 4人の感想は、さまざまだった。

 洞窟の中には、古びた壁画もあった。

 海の中に大きな黒い獣がいる絵だ。


 他にも何かないか、アイラ達は探しまわる。

 アイラは、古代エルフ語で刻まれた詩を見つけた。

 研究者が残した童謡の原文らしい。


 籠め 籠め

 籠の中の鳥は

 何時出やる

 夜明けから晩の間に……


 アイラ達は悩んだ。


「つるとかめ……? なんだろう?」

「ツルっと噛め……? ところてんやゼリー?」

「多分違うニャ……」


「はーっはっは!」


 意味を読み解いてると、突然、不気味な男の高笑いが響き渡った。

 アイラ達は驚き焦って、冷や汗が出た。

 彼女達が声のした方を見上げると、男が立っていた。


「あーっはっはっは! 脆弱な人間どもに、ここを見つけられるとはな! 褒めてやろう!」


 それは、姿が見えなくなっていたトーヨーだった。

 神殿の高い天井から、こちらを見下ろしている。


「なんだ、トーヨーさんか。モリア伯爵かと思った。安心したよ」

「主様が来られたのかと思いました。怖かったー!」

「トーヨーさん。無事だったんですね。良かったニャ」

「いやいや。もうちょっと驚いてよ。絶妙のタイミングだったでしょ?」


 トーヨーは、肩を落としてガッカリした。

 アイラ達を怖がらせたかったが、失敗したようだった。

 リーンはイライラしている。口を尖らせて文句を言い出した。


「トーヨーおじさんって人間じゃないでしょう! 私の髪が動いて訴えてくるの。うっとおしいんだから」

「うっとおしいって言葉を使わないでよ。傷つくなあ。お嬢ちゃんだってさ。そう言われたら傷つくだろう?」


 アイラは、心配そうにリーンを見つめる。


「よしよし。リーン。トーヨーさんの気配がイライラするの?」

「うーん? そうなのかなあ? 何か大きな気配がする。でも、よく分からなくてイライラする」

「この島に来てから、ずっと髪が動いてたものね。人間じゃないトーヨーさんか。どうしてここに? 何かご存知なんでしょう?」


 アイラは、リーンの髪の毛を優しく押さえ込む。

 そして、トーヨーを睨みつけた。

 トーヨーは不思議になった。


「人間なのに俺達の気配が分かるなんて。君は本当に人間? メリーって聖女より聖女らしいね」

「……それで、『俺達』って他に誰がいるんですか?」

「質問に質問で返すなよう。俺はここに封印されている友を迎えに来たのさ」

「封印されてるお友達って『大いなる災い』ですか……。なるほど。つまりあなたは……」

「そう! 俺、魔族! あったま良いねー! 見た目は人間だから、いつも気づかれないんだけどね。俺と友は、古代から海を泳ぎ回った仲なんだよ」


 ルピナスは、それを聞くと臨戦体制に入った。唸り声を上げた。


「友を解放したいんだけど、方法が分からなくてね。でもまあ、童謡がヒントにはなったよ。つるとかめとがすべればいいのかなって。つまりこの神殿にある鳥と亀のモチーフを壊して滑り落とせばいいんだろう」

「やめろー!!」


 ルピナスが剣を抜いて、神殿の岩を駆け上がってトーヨーに斬りつけた。

 トーヨーは、ヒラリとかわして空中に浮く。

 ルピナスは攻めあぐねた。


「可哀想だろう? 友は何千年もこの島に封印されているんだぜ。もう解放されて、俺と一緒に東の地へ帰ってもいいと思うよな」

「エルフ達が何千年も守ってきた平和を、壊すことは許されない!」

「頭固いなあ。ルピナスちゃんだっけ。男にモテないよー」

「余計なお世話だ!」


 トーヨーは巨大な魔力の刃を作り出すと、古代神殿の石を切り裂いていった。


「ほらほら、危ないよー! 避けて避けて」

「ふざけるなああ!!」


 アイラは魔法で結界をはり、崩れてくる岩からリーンとゼンザイを庇っている。

 

(神殿を破壊すれば、封印が解けて『大いなる災い』が復活してしまう。感知できない瘴気を放つ魔族は厄介だ。『うしろの正面だあれ』は『大いなる災い』を意味しているんだろう)


 ルピナスはトーヨーを押さえ込もうとするが、トーヨーの方が上手だった。神殿はどんどん壊されていく。『大いなる災い』が目覚めるのも時間の問題だと思われた。

 アイラは考え続ける。


(それなら封印方法は!? その方法が分かれば封印をやり直せるかもしれない……!)

 


 ……何かが、海中でカッ!と目を開いた。

 それはゆっくりと動き出す。

 島全体が、地震で揺れた。

 海が割れ、海底から巨大な黒い何かが迫り上がってくる。

 それは海上に姿を現すと、天空に向かって響き渡る咆哮をあげた。


「ぐうおおごあああああ!」


 咆哮を聞いて、トーヨーは大喜びした。


「目覚めた! 我が友よ、迎えにきたぞ! さあ一緒にひと暴れして東へ帰ろう! この美しく強い生物こそ、美しく気高い俺に相応しい! あはははは!」


 ゼンザイは、宇宙にでも連れていかれたような虚無の顔になってしまった。次の瞬間、リーンの服の中に潜り込む。ガタガタと震えだしてしまった。

 アイラ達は、崩れる洞窟から脱出する。

 洞窟から出ると、嵐の中に海の中で立ち上がる巨大な黒い生物が見えた。


「あれは……一体……?」

「太古の昔、東方の国からやってきた怪物、巨神羅です!」


驚くアイラ達に、ルピナスが答える。

トーヨーは叫んだ。


「彼は、かつてエルフ達にこの島に封印されました。可哀想に! 俺はずっと彼を探していました。美しいでしょう!? 見なさい! この黒光りする体! 鋭い牙を!」


 トーヨーは、芝居がかった大袈裟な仕草で言い放つ。

 アイラは、それを聞いて不快になった。


「美しいって……どこかで聞いたセリフだな」


 アイラは、ちらっとジェームズ•モリアを思い出したのだ。

 しかし、今はそれどころではない。

 リーンが怪物を見て、震え出したのだ。


「か……か……か……」

「大丈夫よ。リーン! 落ち着いて! 大丈夫だからね!」

「さあ! 恐れひれ伏せ! 崇め奉れ! 恐怖で声も出ないか! あっはっは!」


リーンは気持ちをおさえられず、叫びだした。


「カッコいいー!! 大怪獣きたー!!」

「…………へ?」

「やっぱり……」


 アイラは頭を抱えた。

 リーンは、昔からこういうものが大好きだったのだ。大喜びしている。

 トーヨーは、目が点になっている。


「アイラおばさん。私、あれと戦いたい! 一生に一度は大怪獣と戦うのが、全国の子どもの夢でしょう!」

「戦いたいの!? 全国の子どもってそうなの!?」

「巨人化できる方法ってある!?」

「ゴーレム魔法の応用で、土を身に纏えばなんとかいけるかな……」


 リーン達が集まって相談している間に、騒ぎを聞きつけたメリー達が邸から出てきた。

 メリーは、全力でダメーダヤ達を癒したのだ。

 彼女は、大怪獣を見て叫んだ。


「これはきっとゲームの第二部ね! あれは魔王よ! 魔王を私達で倒して、皆でハッピーエンドになるの!」

「うおおおおー!」


 ダメーダヤ達は、メリーの祝福を受ける。

 剣を携えて、大怪獣に立ち向かっていく。

 ……そして、巨大な尻尾に薙ぎ飛ばされた。

 彼らは、遥か彼方へ飛ばされていってしまった。

 大車輪のように回転しながら飛んでいくダメーダヤ。

 ダメーダヤ様メリー様万歳! と叫びながら飛ばされるヨイショトリオ。

 飛ばされて、遠くでキラキラと星のように輝いたメリー。

 彼らの叫びが、アイラ達に届いた。


「メリー。大丈夫だ。俺達の愛は不滅だ! 何度でもやり直そう!」

「はい! ダメーダヤ様!」

「ダメーダヤ様! メリー様! 万歳! 万歳!」


 アイラは目眩を感じた。思わず呟く。


「すごくタフな方達だね……。まあ、癒しの元聖女メリーがいるし、海じゃなくて山のある方へ飛んでいったからね。大丈夫でしょう……多分……」


 リーンは、アイラにゴーレム魔法の応用をかけてもらって巨大化していく。

 ただし、リーンの動きに合わせて魔法をかけるので、アイラは無防備になってしまう。

 ルピナスが、アイラを守る役目をかってでた。

 ゼンザイは、アイラの服の間に入りこんで恐怖で震えている。


 やがて巨人になったリーンが、トーヨー達の前に現れた。

 トーヨーが驚き、そして笑い出した。


「いろんな敵と出会ってきたが、巨大化して戦うやつはおまえが初めてだ」

「きゃっほうううう!」

「グウゴアアアアア!」


 リーンは、大怪獣と取っ組み合った。

 彼女は大怪獣を殴ったり叩いたり、尻尾を掴んで振り回して、とても楽しそうだ。

 大怪獣に噛まれても、口から火を吹き付けられても、ゴーレムの体のほとんどは土なので平気だった。

 しかし、大怪獣が口から光線を吐いた時、ゴーレムの体が崩れてしまった。

 大怪獣は勝ち誇ったように、咆哮をあげた。


「ケホケホ。火はともかく、口から光線を吐かれると困るなあ。土の体が崩れちゃう……」




「不様ですね」


 冷たい声の主は、ジェームズ・モリアだった。

 彼の後ろには、古風なメイド姿のエルフが控えていた。

 彼らは、盛り上がった土の上から土底のリーンを見下ろしている。


「あ! おじさん! 久しぶり! 元気だった?」

「私は、まだ若いんです。お兄さんと呼びなさい」


 アイラが、リーンを庇うように駆けつけた。


「モリア伯爵様、やっぱり生きてたんですね」

「ジェームズだ。モリアの姓は捨てましたよ。ルピナスの忠告も虚しく、エルフの古代遺跡を破壊しましたね! かつてエルフ達が苦労して眠りにつかせた大怪獣が目覚めてしまった……。まったく、異世界転生者達ときたら! 破壊するしか脳がないんですかね! 私達は、予算もつかず無給で、古代遺跡や自然環境を保護して回っています! 国が保護する法律を作らないから!!」

「古代遺跡を破壊したのは、あそこにいる魔族トーヨーです。私達ではありません」

「そうです。主様! リーン様達は、今回は関係ありません!」


 ルピナスはリーン達を庇った。しかし、恐怖で震えた。

(主様のご機嫌が悪い。保護活動のストレスでイライラされている。リーン様達は、あんな大怪獣と戦って頑張っているのだ。庇ってさしあげたい。遊んでいるように見えることもあるが、それはきっと気のせいだ)


 リーンはジェームズに叫んだ。


「ジェームズお兄さん! 私困ってます。まだ異世界転生者は、お嫌いですか?」

「……よろしい! あなたは、ラファエル殿下を助けてくれた。一度だけ見逃してさしあげますよ」


 ジェームズはにぃっと笑う。


「よかったよ。私もお兄さんを殺さなくてすむよ」


 リーンも、ケホケホと咳き込みながら笑って言い返した。

 彼女は立ち上がり、ジェームズに手を差し出す。


「ジェームズお兄さん。手を組もうよ」

「……一度だけですよ!」


 リーンとジェームズは、手を繋ぐと大怪獣の前に立った。

 リーンは、繋いだ手の感触に不思議と懐かしさを感じた。


「ジェームズお兄さん、お父さんみたい」

「ですから! 私はまだ若いんです! そんな歳じゃありません!」



 アイラは、古代遺跡に詳しいジェームズに聞かなければいけないことがあった。

 2人が大怪獣と戦う前に、ジェームズに質問する。


「ジェームズさん。古代のエルフは、どうやってあの大怪獣を海底に封印したんですか?」

「歌です」

「歌?」

「そうです。『つるとかめとすべった』のつるは聖鳥のことです。古代神話の聖鳥は、白銀の大鷲です。かめは亀の甲羅で作られた竪琴を意味します。聖鳥の歌と亀の竪琴を統べる……それが封印の儀式です。古代では、エルフが聖鳥から歌を教わって歌い、亀の竪琴を奏でたそうです」

「それが、あの童歌の本当の意味なんですね」

「素晴らしいでしょう! なのに古代遺跡を破壊するなんて……絶対に許さん!!」

「その聖鳥の歌は、残っているんですか」


 ジェームズは、後ろに控えているメイドのエルフを呼び寄せた。


「エゼル。来なさい。おまえがやりなさい」

「かしこまりました。主様」


 長い金髪のエルフが、無表情に亀の甲羅で出来た竪琴を出してきた。

 そして甲高い鳥のような不思議な声で歌い出した。

 大気に溶けていくような澄んだ声だった。


「私があれを抑えてるから、おまえが眠らせるのです」

「はい。主様」


 エゼルは、情熱的な目をして答えた。

 

「では、もう一度始めましょう」


 アイラが、リーンに魔法をかけて巨人化させる。

 ジェームズは、巨人リーンの左肩に乗った。


「無様な戦い方をしたら、お尻ペンペンしてやる」

「むきー! 私は、そんなに子どもじゃないもん!」

「どうだか? 人をおじさん呼ばわりする奴は子どもでしょう」

「そこまで根にもつかなあ! ジェームズお兄さん!」

「よろしい」


 リーンは、大怪獣とまた取っ組み合いを始めた。

 大怪獣が口から光線を吐こうとするたびに、ジェームズは壊れた邸の一部を魔法で持ち上げて、大怪獣の口に押し込んだ。口の中で大爆発が起こる。光線がリーンに届くことはなかった。


「ジェームズお兄さん! やるね!」

「この程度で満足するんじゃありません」

「もっと強い魔法があるの!?」

「やはり子どもですね?」

「むう!」


 巨大ゴーレムリーンの唇がむくれた。長い大怪獣を思い切り殴りつけた。殴られた大怪獣は頭を振ると、巨大な尻尾をリーンにぶつけてくる。リーンは尻尾を殴りつけ、大怪獣の体は横回転に一周する。

 

 トーヨーも魔力で攻撃してくるが、ジェームズの古代魔法とアーティファクトで応戦されてしまう。

 激しい戦いの中で、大怪獣の動きがゆっくりとしたものになってきた。

 リーンは、それに気づいて大怪獣から離れた。


「もう、おねむなのかな」

「そのようです」

「そうか。今回は俺も一緒に海底に行ってやるよ。一緒に行こうな……」


 次の瞬間、大怪獣は力を振り絞るように巨人リーンの腕に噛みついた。

 そして噛みついたまま光線を吐き出した!

 大怪獣と巨人リーンは、ゆっくりと一緒に海の中へ倒れていった……。

 それを見たアイラ達は、叫んだ。


「リーン!!」

「リーン様ー!!」


 アイラの服から、ゼンザイが飛び出して、荒れ狂う海を呆然と見つめた。

 力なくアイラが崩れ落ちた。

 ルピナスは唇を噛み締めた。


「そ、そんなリーンちゃんがやられたニャ……」

「リーン様の勇姿は忘れません……!」

「リーン……」




 哀しみにくれるアイラ達から離れた海辺に、ずぶ濡れの男が這い上がってきた。


「油断しすぎですよ!」

「海水いっぱい飲んじゃった……辛い~」


 ジェームズがリーンを小脇に抱えて、海の中から岩肌を上ってきたのだ。

 アイラ達は大喜びで、リーン達の元へ駆け寄って抱き合った。


「よかった。リーンが無事で……」

「本当に良かったニャー」

「えへへ。心配かけてごめんね」


「主様! 流石です!」

「当然です」


 ジェームズは、表情一つ変えずに服を魔法で乾かした。ルピナスは尊敬の眼差しでジェームズを見つめている。


 トーヨーと大怪獣も、海面から顔を出してきた。

 こっちを、じっと見つめた。

 そして、トーヨーと大怪獣は、ゆっくりと海底へと歩き始めた。

 


 リーン達は、去っていくトーヨー達を見守った。

 姿が見えなくなるまで、静かに見守っていた。

 嵐は、いつの間にか去っていた。

 雲の合間から、太陽の光が神々しく降りそそいでいた。






 リーンは、感慨深く呟いた。


「あー……怪獣のお肉って、どんな味がするんだろう」

「やめなさい! 確実にお腹壊しますよ!」


 アイラは、リーンにビシッと注意をするのだった。






ギリシャ神話の元祖アポロンの竪琴は、亀の甲羅と牛の腸でつくられたリラです。それが、オルフェウスに受け継がれ、星座のこと座になったそうです。

ゼウス神の聖鳥が大鷲です。

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