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プロローグ
――異能力。
漫画やアニメなんかでよく聞く単語だろう。直接攻撃から搦め手、世界のあらゆる法則に喧嘩を売ったような能力を駆使して悪と戦う話なんてのは定番だ。
そんな作品を大勢の人が楽しむ。無論、フィクションとして。そりゃもちろん異能力バトルなんてジャンルはフィクションにしか聞こえないだろう。
警察や軍隊ですら手に負えないような能力がこれでもかと出てくる。現実でそんなことができてしまえばテロだって凶悪犯罪だって手に負えなくなるもんな。
しかし真実は少し違う。
フィクションにしか思えない異能力者。そいつらは確かに存在する。常人が決して訪れることのない孤島に隔離されていて、誰もその存在を知らない。いや、知らされていないだけだ。
これから幕を開けるのは、そんな異能力者が集められた孤島の物語。
そこから逃げ出す物語だ――。